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第58話
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私は研究者になってから手に入れた魔法に関する書物を読み返していた。
特殊な魔法陣という書物に、闇魔法の魔法陣の事が書いてありそちらに気を取られていたけど、今まで知らなかった事が書かれてあったのよね。
魔法陣の重ね描き。
同じ魔法陣を複数の種類の属性で描くというもの。
これにより、魔法陣の効果がガラリと変わる。
試してみたけど、かなり難しくて上手くいかなかったのよね。
で、ふと思ったのよ。
一応、何種類か載っていて、その効果が闇魔法と同じようなものもあったと。
「やっぱり」
全く同じではないけど、似たものがある。
ルイス様が私にさせたい事ってこれじゃないかしら。
この本には、闇魔法の事も載っているからこの本を手にした可能性はある。
ただ彼は、いつ魔法学園の試験を受けたのかしら。私と同じ年ではないわ。彼はいなかったもの。
今年受けてダメだった。という事でもないし。
数か月であそこまでなら逆に怖い。
あ、私が受けた次の年かしら。11歳の年に受けた。もし合格できても、貴族学園に通えるわ。
彼は、公爵家の息子だものOKを簡単に貰えなかったはず。
そして、試験を受ける機会をもぎ取った。なのに、闇魔法だけだったという理由で、筆記試験に合格したのに不合格になった。
凄く悔しかったでしょうね。
もし、そうなら3年程で、あそこまで。しかも独学なのよね。
執念って恐ろしい。
でも、他の属性を習得してみようとは試みなかったみたいね。
まあ公爵家だとはいえ、魔法を勝手に使ったとなれば罰せられるから、魔法陣だけにしたって事かしら。
魔法陣の使用は、魔法アイテムに使われている事もあり、使っても罰せられない。
また、勝手に作成しても罰せられない。
そもそも、魔法博士以外が作れるという考えがないので、そういう法がないのだけどね。
魔法学園に通っていて、魔法博士になれなかった者も作ろうなどと思う者もいないはず。
彼らは貴族で、もし上手く行けば親と同じ爵位を得られるという事で魔法博士を目指す。
私達の様に、魔法を使いたいという思いからではない。
まあ私は、独身でいる為に最初は目指してはいたけどね。
ルイス様はどうだったのか。
そういえば、姉が一人いるけど兄はいない。彼には、婚約者もいる。
レオンス様みたいに、魔法学園に通った後に貴族学園にも通う事になっていたのであれば、彼が継ぐのよね。
だったら彼もレオンス様同様、魔法を使いたいから魔法学園に通いたかった。
だからこそ、魔法陣の研究を密かに続け、闇魔法も役に立つと認めさせる為に?
だとしても、ちょっとズレているわね。
魔物を倒すなんて確率的にかなり低いし、盗聴なんて悪手でしょうに。
けど、闇魔法って他の属性と違って特殊なのよね。
系統で言うと、『時間』かしら。
音を留める=時間を止める。
しかもそれをコピーできるなんて、よく研究したと思うわ。
そういう使われ方をしていたなら、盗聴器として魔法アイテムが存在していてもおかしくない。
それをルイス様は、開発した事になる。
確かに、凄い発見だし上手くやれば、魔法学園に通う事も可能だったのかもしれない。
けど、王族相手に仕掛けるなんてあり得ない!
公爵家の息子なのになんで、こんな事をしたのかしらね。
そもそもこれゲームでは、結果どうなったのかしら?
うん? 待てよ。
あそこに仕掛けられていたとして、あれが使われるタイミングって、今回の時ではないわよね。
ゲームでは起きない内容だもの。
あぁこれは、ルイス様の人生を狂わせてしまった感じ?
もっと凄い思惑を暴露して、認められたのかもしれない。
……思いつかないけどね。
とにかく私も、ルイス様と同じぐらいの闇属性の知識を持たないとね。
彼に対抗できないし、フロール嬢に対して何か対策が思いつくかもしれない。
と決まれば、魔法博士図書館よね!
――◇――◆――◇――
私は、手元で灰になっていく手紙を見つめ、一つため息をついた。
「今度は彼をか……。まあもう、ゲーム通りのエンドなんて何一つ望めないでしょうし。あの男に、私と同じ思いをしてもらうのに、彼女を奪う作戦も上手くいかなかったし。もうハッピーエンドは諦めましょう」
折角、ガムン公爵が私を公爵夫人にする手伝いをしてくれると言うのだから、乗らない手はないわ。
まあガムン公爵は、彼を貶めたいだけでしょうけどね。
甘いのよね。私が本当の事を知っているとも知らずに、私を動かしている気になっているのだものね。
学園舞踏会ね。前世で言えば学園祭。そこで仕掛けるね。
いい事思いついたわ。まだ彼に、一泡吹かせられるかしらね。
「そうね。3年生の先輩の意見だったら文句を言いづらいでしょう。縦割りいいシステムよね」
ペンを取り、ガムン公爵に手紙を書く。
それからレターを裏返し、魔法ペンで文字を書く。
これが私達の連絡方法。
魔法ペンは、自分の魔力を注ぎ書くペン。と言っても、魔法博士になるような者でないと本来は使えない。
なぜなら、自分の魔力が見える様にならないと、このペンは使えないから。
ガムン公爵にも同じペンを渡してある。
まあ、あっちは書いた文字が見えないから届いた文字はかなり読みづらいけど。
ガムン公爵がこの手紙を読む時は、開封前に封蝋に魔力を注ぐだけ。
封蝋に魔法陣が描かれているなんて誰も思わないものね。
これをしなければ、裏に書いた文字は浮かび上がらない。
さて、お義父様。宜しくお願いしますね。
特殊な魔法陣という書物に、闇魔法の魔法陣の事が書いてありそちらに気を取られていたけど、今まで知らなかった事が書かれてあったのよね。
魔法陣の重ね描き。
同じ魔法陣を複数の種類の属性で描くというもの。
これにより、魔法陣の効果がガラリと変わる。
試してみたけど、かなり難しくて上手くいかなかったのよね。
で、ふと思ったのよ。
一応、何種類か載っていて、その効果が闇魔法と同じようなものもあったと。
「やっぱり」
全く同じではないけど、似たものがある。
ルイス様が私にさせたい事ってこれじゃないかしら。
この本には、闇魔法の事も載っているからこの本を手にした可能性はある。
ただ彼は、いつ魔法学園の試験を受けたのかしら。私と同じ年ではないわ。彼はいなかったもの。
今年受けてダメだった。という事でもないし。
数か月であそこまでなら逆に怖い。
あ、私が受けた次の年かしら。11歳の年に受けた。もし合格できても、貴族学園に通えるわ。
彼は、公爵家の息子だものOKを簡単に貰えなかったはず。
そして、試験を受ける機会をもぎ取った。なのに、闇魔法だけだったという理由で、筆記試験に合格したのに不合格になった。
凄く悔しかったでしょうね。
もし、そうなら3年程で、あそこまで。しかも独学なのよね。
執念って恐ろしい。
でも、他の属性を習得してみようとは試みなかったみたいね。
まあ公爵家だとはいえ、魔法を勝手に使ったとなれば罰せられるから、魔法陣だけにしたって事かしら。
魔法陣の使用は、魔法アイテムに使われている事もあり、使っても罰せられない。
また、勝手に作成しても罰せられない。
そもそも、魔法博士以外が作れるという考えがないので、そういう法がないのだけどね。
魔法学園に通っていて、魔法博士になれなかった者も作ろうなどと思う者もいないはず。
彼らは貴族で、もし上手く行けば親と同じ爵位を得られるという事で魔法博士を目指す。
私達の様に、魔法を使いたいという思いからではない。
まあ私は、独身でいる為に最初は目指してはいたけどね。
ルイス様はどうだったのか。
そういえば、姉が一人いるけど兄はいない。彼には、婚約者もいる。
レオンス様みたいに、魔法学園に通った後に貴族学園にも通う事になっていたのであれば、彼が継ぐのよね。
だったら彼もレオンス様同様、魔法を使いたいから魔法学園に通いたかった。
だからこそ、魔法陣の研究を密かに続け、闇魔法も役に立つと認めさせる為に?
だとしても、ちょっとズレているわね。
魔物を倒すなんて確率的にかなり低いし、盗聴なんて悪手でしょうに。
けど、闇魔法って他の属性と違って特殊なのよね。
系統で言うと、『時間』かしら。
音を留める=時間を止める。
しかもそれをコピーできるなんて、よく研究したと思うわ。
そういう使われ方をしていたなら、盗聴器として魔法アイテムが存在していてもおかしくない。
それをルイス様は、開発した事になる。
確かに、凄い発見だし上手くやれば、魔法学園に通う事も可能だったのかもしれない。
けど、王族相手に仕掛けるなんてあり得ない!
公爵家の息子なのになんで、こんな事をしたのかしらね。
そもそもこれゲームでは、結果どうなったのかしら?
うん? 待てよ。
あそこに仕掛けられていたとして、あれが使われるタイミングって、今回の時ではないわよね。
ゲームでは起きない内容だもの。
あぁこれは、ルイス様の人生を狂わせてしまった感じ?
もっと凄い思惑を暴露して、認められたのかもしれない。
……思いつかないけどね。
とにかく私も、ルイス様と同じぐらいの闇属性の知識を持たないとね。
彼に対抗できないし、フロール嬢に対して何か対策が思いつくかもしれない。
と決まれば、魔法博士図書館よね!
――◇――◆――◇――
私は、手元で灰になっていく手紙を見つめ、一つため息をついた。
「今度は彼をか……。まあもう、ゲーム通りのエンドなんて何一つ望めないでしょうし。あの男に、私と同じ思いをしてもらうのに、彼女を奪う作戦も上手くいかなかったし。もうハッピーエンドは諦めましょう」
折角、ガムン公爵が私を公爵夫人にする手伝いをしてくれると言うのだから、乗らない手はないわ。
まあガムン公爵は、彼を貶めたいだけでしょうけどね。
甘いのよね。私が本当の事を知っているとも知らずに、私を動かしている気になっているのだものね。
学園舞踏会ね。前世で言えば学園祭。そこで仕掛けるね。
いい事思いついたわ。まだ彼に、一泡吹かせられるかしらね。
「そうね。3年生の先輩の意見だったら文句を言いづらいでしょう。縦割りいいシステムよね」
ペンを取り、ガムン公爵に手紙を書く。
それからレターを裏返し、魔法ペンで文字を書く。
これが私達の連絡方法。
魔法ペンは、自分の魔力を注ぎ書くペン。と言っても、魔法博士になるような者でないと本来は使えない。
なぜなら、自分の魔力が見える様にならないと、このペンは使えないから。
ガムン公爵にも同じペンを渡してある。
まあ、あっちは書いた文字が見えないから届いた文字はかなり読みづらいけど。
ガムン公爵がこの手紙を読む時は、開封前に封蝋に魔力を注ぐだけ。
封蝋に魔法陣が描かれているなんて誰も思わないものね。
これをしなければ、裏に書いた文字は浮かび上がらない。
さて、お義父様。宜しくお願いしますね。
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