8 / 83
第8話
しおりを挟む
「無属性なの!? よくそれで」
それから私は、自分の属性の話をした。
エメリック様が凄く驚いた顔をする。
「まあ。それであのぼんくらは、魔法学園によく行かせる事にしたわね」
リサおばあ様は呆れ顔。
ぼんくらって、お父様の事よね。よく思われていないとは思ってたいけど、それなりに気は掛けてもらっている方みたいね。
全く興味がない相手なら、ぼんくらという単語すら出て来ないだろうから。
「お義母様が、受けたいのなら受けて見なさいって言って下さったの」
「あの女狐め!」
私の言葉を聞くと、リサおばあ様の目が三角になった。怖い顔になっているわよ、リサおばあ様。
「おばあ様。顔が怖いよ。ファビアが怯えている。まあ、どうだろうとは思うけど、そのお陰で魔法博士になったのだし」
私の才能に気が付いて言ったわけではないからね。きっと、今のを聞いて、何か裏があったのだろうとリサおばあ様は思ったのよね。私もそう思ったのだし。
「ごめんなさいね。でもまあ、彼女のお陰でこうして魔法博士になったのだものね」
さっきから魔法博士にって言ってるけどまだですからね。
「あのね、私はまだ魔法博士にはなってないわ」
「うん。でも卒業したらなれるんだよね?」
エメリック様の言葉に、私はこくんと頷く。
「でもね、入学した半分ほどしか最終的に魔法博士にはなれないんだって」
「まあ。学校に行って勉強しても半分しかなれない程難しいのね。ファビア。私達はあなたを応援するわ。何か必要な物や事があったら遠慮せずに言うのよ。不正以外の事なら何でも叶えてあげるわ」
「ありがとうございます」
ちゃんと不正はダメって言うところが好きよ、リサおばあ様。
「ここから通わせて頂けるだけで、大変助かりますわ」
「ここからなら30分で行けるから大分違うよね。もう日が暮れて来たから中に入ろうか。君の部屋まで案内するよ」
「ありがとうございます。エメリック様」
「おいで」
エメリック様は、立ち上がった。
リサおばあ様も立ち上がったので、私も立ち上がり屋敷の中へと入る。
魔法のお話なんて、初めてしたかも。楽しかったなぁ。あっという間に時間が過ぎて行った。
日が暮れたという事は、夜7時ぐらいよね。
そう言えば、お父様が荷物を取ってこっちに来るとなると、9時過ぎかしら。
明日届けてもらえばよかったかしら。それから帰ったら夜中になるわね。
部屋は2階の奥。
驚く事に凄く広い。寝室とお風呂場も部屋続きにあり、しかもリラックスルームだと言って、図書館なみに本棚がある部屋が用意されていた。
「趣味の部屋に使うといいよ。ここにいる時は、出来るだけ邪魔しないように言ってあるから」
「あ、ありがとうございます。私の為にここまでしていただいて……」
私的には、寝泊まり出来ればいいのだけど、侯爵家としてはそうもいかないわよね。
「あ、そうそう。君の専属侍女の事だけど、うちの侍女からでいいかな? 子爵家から連れて来てもいいけど」
「いえ、それはいりません」
「え? なぜ?」
「前からおりませんし」
そう言うと、凄く驚かれた。
まあ侯爵家だとあり得ないのかもしれないけど。
子爵家なら居てもおかしくないのだけど、私には必要なかったから。身の回りの事は自分自身でしていたし。
「そうなんだ。では、こちらで選んでおくらか。遠慮しなくていいからね。気兼ねに頼める相手だと思って」
「はい……」
別に遠慮はしていない。いらないんだけどな。
◇
待っていたディナーの時間になった。リサおばあ様の隣に当主のココドーネ侯爵、リサおばあ様向かい側にエメリック様、その横にココドーネ侯爵夫人で、更にその横に私。
たまに真横から凄い視線が飛んでくる。怖い。
気にしてはダメよ。食事に味がなくなるわ。
鈍感な子供のフリをして、気づかないフリをしないと。
一応、ディナーの嗜みも習っておいてよかったわ。私自身も、ガチャガチャ音を立てて食べるのは好きではないし。
「お義母様。本当にこの子を住まわせる気ですか? 変な噂が立たないかしら?」
チラッとココドーネ侯爵夫人が私を見る。
そうよね。やっぱりそうよね。気に入らないわよね。
「一体どんな噂が立つと言うのかしら?」
「エメリックの相手なのかしらって。そんな噂が立ったらエメリックの婚約者のドングニ伯爵家に申し訳ないわ。まるでここから通う為に、魔法学園に入学したようなものですものね」
そう言うと、隣に座る私をギロリと睨む。
さすがに私も動きが止まった。
リサおばあ様とエメリック様が優しいから大丈夫かと思ったけど、やはり貴族の洗礼を受けたわ。
きっと継母の仕業だと思っているのよね。全く違うのだけど。
美味しかった食事が途端に味がしなくなったのだった――。
それから私は、自分の属性の話をした。
エメリック様が凄く驚いた顔をする。
「まあ。それであのぼんくらは、魔法学園によく行かせる事にしたわね」
リサおばあ様は呆れ顔。
ぼんくらって、お父様の事よね。よく思われていないとは思ってたいけど、それなりに気は掛けてもらっている方みたいね。
全く興味がない相手なら、ぼんくらという単語すら出て来ないだろうから。
「お義母様が、受けたいのなら受けて見なさいって言って下さったの」
「あの女狐め!」
私の言葉を聞くと、リサおばあ様の目が三角になった。怖い顔になっているわよ、リサおばあ様。
「おばあ様。顔が怖いよ。ファビアが怯えている。まあ、どうだろうとは思うけど、そのお陰で魔法博士になったのだし」
私の才能に気が付いて言ったわけではないからね。きっと、今のを聞いて、何か裏があったのだろうとリサおばあ様は思ったのよね。私もそう思ったのだし。
「ごめんなさいね。でもまあ、彼女のお陰でこうして魔法博士になったのだものね」
さっきから魔法博士にって言ってるけどまだですからね。
「あのね、私はまだ魔法博士にはなってないわ」
「うん。でも卒業したらなれるんだよね?」
エメリック様の言葉に、私はこくんと頷く。
「でもね、入学した半分ほどしか最終的に魔法博士にはなれないんだって」
「まあ。学校に行って勉強しても半分しかなれない程難しいのね。ファビア。私達はあなたを応援するわ。何か必要な物や事があったら遠慮せずに言うのよ。不正以外の事なら何でも叶えてあげるわ」
「ありがとうございます」
ちゃんと不正はダメって言うところが好きよ、リサおばあ様。
「ここから通わせて頂けるだけで、大変助かりますわ」
「ここからなら30分で行けるから大分違うよね。もう日が暮れて来たから中に入ろうか。君の部屋まで案内するよ」
「ありがとうございます。エメリック様」
「おいで」
エメリック様は、立ち上がった。
リサおばあ様も立ち上がったので、私も立ち上がり屋敷の中へと入る。
魔法のお話なんて、初めてしたかも。楽しかったなぁ。あっという間に時間が過ぎて行った。
日が暮れたという事は、夜7時ぐらいよね。
そう言えば、お父様が荷物を取ってこっちに来るとなると、9時過ぎかしら。
明日届けてもらえばよかったかしら。それから帰ったら夜中になるわね。
部屋は2階の奥。
驚く事に凄く広い。寝室とお風呂場も部屋続きにあり、しかもリラックスルームだと言って、図書館なみに本棚がある部屋が用意されていた。
「趣味の部屋に使うといいよ。ここにいる時は、出来るだけ邪魔しないように言ってあるから」
「あ、ありがとうございます。私の為にここまでしていただいて……」
私的には、寝泊まり出来ればいいのだけど、侯爵家としてはそうもいかないわよね。
「あ、そうそう。君の専属侍女の事だけど、うちの侍女からでいいかな? 子爵家から連れて来てもいいけど」
「いえ、それはいりません」
「え? なぜ?」
「前からおりませんし」
そう言うと、凄く驚かれた。
まあ侯爵家だとあり得ないのかもしれないけど。
子爵家なら居てもおかしくないのだけど、私には必要なかったから。身の回りの事は自分自身でしていたし。
「そうなんだ。では、こちらで選んでおくらか。遠慮しなくていいからね。気兼ねに頼める相手だと思って」
「はい……」
別に遠慮はしていない。いらないんだけどな。
◇
待っていたディナーの時間になった。リサおばあ様の隣に当主のココドーネ侯爵、リサおばあ様向かい側にエメリック様、その横にココドーネ侯爵夫人で、更にその横に私。
たまに真横から凄い視線が飛んでくる。怖い。
気にしてはダメよ。食事に味がなくなるわ。
鈍感な子供のフリをして、気づかないフリをしないと。
一応、ディナーの嗜みも習っておいてよかったわ。私自身も、ガチャガチャ音を立てて食べるのは好きではないし。
「お義母様。本当にこの子を住まわせる気ですか? 変な噂が立たないかしら?」
チラッとココドーネ侯爵夫人が私を見る。
そうよね。やっぱりそうよね。気に入らないわよね。
「一体どんな噂が立つと言うのかしら?」
「エメリックの相手なのかしらって。そんな噂が立ったらエメリックの婚約者のドングニ伯爵家に申し訳ないわ。まるでここから通う為に、魔法学園に入学したようなものですものね」
そう言うと、隣に座る私をギロリと睨む。
さすがに私も動きが止まった。
リサおばあ様とエメリック様が優しいから大丈夫かと思ったけど、やはり貴族の洗礼を受けたわ。
きっと継母の仕業だと思っているのよね。全く違うのだけど。
美味しかった食事が途端に味がしなくなったのだった――。
203
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。

【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には
月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。
令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。
愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ――――
婚約は解消となった。
物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。
視点は、成金の商人視点。
設定はふわっと。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。

【完結】時戻り令嬢は復讐する
やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。
しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。
自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。
夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか?
迷いながらもユートリーは動き出す。
サスペンス要素ありの作品です。
設定は緩いです。
6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる