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第7話 メリットとデメリット
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「そういえばそれ、どうしたの?」
僕が手にしている枝杖を富士元は、指さした。
「あ、これ樹霊にもらったんだ」
「やっぱり」
「私も欲しいわ!」
欲しいと言って五十嵐が僕をじーっと見つめる。僕に言われても困るんだけど。
『精霊王を助け出す協力を彼にするなら何か授けよう』
「「するする!」」
二人は目を輝かせて即答した。というか、僕助け出す約束していないような。
『それを受け取ったのだ。いまさらだろう』
樹霊の言葉に、僕が何を言ったのかもわからないはずなのに二人はうんうんと頷いている。
「で、何をくれるの?」
『そうだな。フジモトと言ったか。君にはもうすでに与えたではないか』
「えー!!」
「じゃ私にはなにを?」
『では、そのメタモルフォーゼ に通信機能を施そう。遠くに居ても二人と会話できるようにな。どうだ?』
五十嵐は、うーむと考えこんでいる。
「リサーチには、もってこいね」
リサーチって、尾行したり侵入した時の事を言ってるんだよな。ここ異世界かもしれないってわかってる?
「そうね。それでもいいけどあなたとも遠くても会話が出来るといいわね」
『それならマオができる。枝杖を通してな。ただしマントを羽織っていると難しいかもしれない。能力を半減させるマントのようだからな』
「え!?」
あれ? このマントには制服にする能力しかないんじゃなかったのか?
「マオとしか通話できないってのが悔しいけどいいわ。マオ、ちゃんと連絡係頼んだわよ」
「……わかったよ」
「それと、私の事をヒトミンと呼ぶ事を許すからこの世界でイガラシなんて呼ばないでよ。わかった?」
「え……」
変なこだわりがあるんだな。
「なるほど。樹霊が私の事をフジモトって言ったのはそのせいね。私の事もヒナって呼んでよ」
「……はいはい」
二人は嬉しそうにニマ~としている。な、何か企んでないか……。不安だ。
そう言う事で、五十嵐じゃなかったヒトミンは通信能力を手に入れた。これで別行動しても大丈夫ってわけでもないが、安否確認はできるか。
「ところで魔法でも授かったの?」
「え? なんで?」
突然、ヒトミンが聞いてきた。
「だって、杖だけあったって魔法使えないでしょう?」
「あぁそういう事。ドリズルでモンスターを浄化できるってっさ」
「あら、凄いじゃない。レベルは上がらないだろうけどね」
「え……そうなの?」
ゲームでは、浄化させるとレベルが上がらない仕様だったのか。
「でもここ、異世界かもしれないから上がるかもしれないだろ」
「場所は関係ないわよ、きっと」
と今度は、ヒナが言った。二人は、僕にレベルが上がってほしくないのか?
「あ、そっか。知らないのね。じゃまずゲームの仕様を説明するわ」
「え、今それ必要?」
ヒトミンの言葉に返すと、二人は必要だと頷いている。まあ全部が一緒ではないようだけど、装備や魔法など自分たちに対しては、ゲーム仕様みたいだからな。関係あるか。
「まずレベルは999レベルが上限。それでカンストよ」
「999……気が遠くなる数字だな」
「魔法やスキルにもレベルがあってこれも999が上限よ。でもまだ誰もカンストした人はいなかったわね。使わないとレベル上がらないからね」
ヒトミンの説明に知っていると僕は頷いた。
「うん。それは聞いて知っていた。ドリズルはもう12レベルだってっさ」
僕がそう言うと、二人は顔を見合わせる。
「それって樹霊が、ステータスを見れるってことかしら?」
『そうだな。能力を見れる。全員レベル1だ』
「聞いた? ヒトミン」
「えぇ。やっぱり仕様はそのままよ」
「……二人だけで納得してないで教えてよ」
「気を落とさないで聞いてね」
言葉とは反対ににっこりとしてヒトミンが言う。僕にとっては嬉しくない情報みたいだ。やっぱり聞くのやめようかな。
「そのフェアリーの装備は、レベルがカンストした者が好んで装備するものよ。なぜなら、得た経験値は全て魔法やスキルの経験値に振り分けられるのよ」
「は?」
待て待て。それって僕はレベルが上がらないって事か?
「カンストしたプレイヤーなら喉から手が出るほど欲しい装備よ。魔法って基本使わないと上がらないからね」
右手人差し指を立てウィンクまでして、ヒナが言った。
やっぱり聞きたくない情報だった~!
モンスターはやっつける事ができるから何とかなるかもしれないが、追っ手には殺さるって事じゃないか!
「大丈夫よ。魔法攻撃は何とかなるから。物理攻撃は避けるしかないわね」
「うん? 魔法攻撃はなんとかなるとは?」
「なったじゃない。魔法攻撃吸収してたでしょう? その装備は魔法を吸収する能力が備わっているのよ。MP変換してくれるの」
ヒトミンの解説に、ヒナがそうそうと頷いている。
あれって、僕の装備の力だったのか! ってきり樹霊のお陰だとおもっていた。レベルが増えるなら文句ない装備だったのに!
「まあ赤居はレベルが上がらない事も知っていて選んだようね。あいつもゲームしていたのね」
って呑気にヒトミンが言っているが、僕には死活問題なんだけど!
僕が手にしている枝杖を富士元は、指さした。
「あ、これ樹霊にもらったんだ」
「やっぱり」
「私も欲しいわ!」
欲しいと言って五十嵐が僕をじーっと見つめる。僕に言われても困るんだけど。
『精霊王を助け出す協力を彼にするなら何か授けよう』
「「するする!」」
二人は目を輝かせて即答した。というか、僕助け出す約束していないような。
『それを受け取ったのだ。いまさらだろう』
樹霊の言葉に、僕が何を言ったのかもわからないはずなのに二人はうんうんと頷いている。
「で、何をくれるの?」
『そうだな。フジモトと言ったか。君にはもうすでに与えたではないか』
「えー!!」
「じゃ私にはなにを?」
『では、そのメタモルフォーゼ に通信機能を施そう。遠くに居ても二人と会話できるようにな。どうだ?』
五十嵐は、うーむと考えこんでいる。
「リサーチには、もってこいね」
リサーチって、尾行したり侵入した時の事を言ってるんだよな。ここ異世界かもしれないってわかってる?
「そうね。それでもいいけどあなたとも遠くても会話が出来るといいわね」
『それならマオができる。枝杖を通してな。ただしマントを羽織っていると難しいかもしれない。能力を半減させるマントのようだからな』
「え!?」
あれ? このマントには制服にする能力しかないんじゃなかったのか?
「マオとしか通話できないってのが悔しいけどいいわ。マオ、ちゃんと連絡係頼んだわよ」
「……わかったよ」
「それと、私の事をヒトミンと呼ぶ事を許すからこの世界でイガラシなんて呼ばないでよ。わかった?」
「え……」
変なこだわりがあるんだな。
「なるほど。樹霊が私の事をフジモトって言ったのはそのせいね。私の事もヒナって呼んでよ」
「……はいはい」
二人は嬉しそうにニマ~としている。な、何か企んでないか……。不安だ。
そう言う事で、五十嵐じゃなかったヒトミンは通信能力を手に入れた。これで別行動しても大丈夫ってわけでもないが、安否確認はできるか。
「ところで魔法でも授かったの?」
「え? なんで?」
突然、ヒトミンが聞いてきた。
「だって、杖だけあったって魔法使えないでしょう?」
「あぁそういう事。ドリズルでモンスターを浄化できるってっさ」
「あら、凄いじゃない。レベルは上がらないだろうけどね」
「え……そうなの?」
ゲームでは、浄化させるとレベルが上がらない仕様だったのか。
「でもここ、異世界かもしれないから上がるかもしれないだろ」
「場所は関係ないわよ、きっと」
と今度は、ヒナが言った。二人は、僕にレベルが上がってほしくないのか?
「あ、そっか。知らないのね。じゃまずゲームの仕様を説明するわ」
「え、今それ必要?」
ヒトミンの言葉に返すと、二人は必要だと頷いている。まあ全部が一緒ではないようだけど、装備や魔法など自分たちに対しては、ゲーム仕様みたいだからな。関係あるか。
「まずレベルは999レベルが上限。それでカンストよ」
「999……気が遠くなる数字だな」
「魔法やスキルにもレベルがあってこれも999が上限よ。でもまだ誰もカンストした人はいなかったわね。使わないとレベル上がらないからね」
ヒトミンの説明に知っていると僕は頷いた。
「うん。それは聞いて知っていた。ドリズルはもう12レベルだってっさ」
僕がそう言うと、二人は顔を見合わせる。
「それって樹霊が、ステータスを見れるってことかしら?」
『そうだな。能力を見れる。全員レベル1だ』
「聞いた? ヒトミン」
「えぇ。やっぱり仕様はそのままよ」
「……二人だけで納得してないで教えてよ」
「気を落とさないで聞いてね」
言葉とは反対ににっこりとしてヒトミンが言う。僕にとっては嬉しくない情報みたいだ。やっぱり聞くのやめようかな。
「そのフェアリーの装備は、レベルがカンストした者が好んで装備するものよ。なぜなら、得た経験値は全て魔法やスキルの経験値に振り分けられるのよ」
「は?」
待て待て。それって僕はレベルが上がらないって事か?
「カンストしたプレイヤーなら喉から手が出るほど欲しい装備よ。魔法って基本使わないと上がらないからね」
右手人差し指を立てウィンクまでして、ヒナが言った。
やっぱり聞きたくない情報だった~!
モンスターはやっつける事ができるから何とかなるかもしれないが、追っ手には殺さるって事じゃないか!
「大丈夫よ。魔法攻撃は何とかなるから。物理攻撃は避けるしかないわね」
「うん? 魔法攻撃はなんとかなるとは?」
「なったじゃない。魔法攻撃吸収してたでしょう? その装備は魔法を吸収する能力が備わっているのよ。MP変換してくれるの」
ヒトミンの解説に、ヒナがそうそうと頷いている。
あれって、僕の装備の力だったのか! ってきり樹霊のお陰だとおもっていた。レベルが増えるなら文句ない装備だったのに!
「まあ赤居はレベルが上がらない事も知っていて選んだようね。あいつもゲームしていたのね」
って呑気にヒトミンが言っているが、僕には死活問題なんだけど!
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