異世界で奏でるルーンと猫とフェアリーの三重奏

すみ 小桜(sumitan)

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第2話 短い選択時間

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 僕達が、この授業を行うのに一番最初にやったのは、キャラ設定。あり得ないけどそうなんだ――。



 ――では、10分以内に設定を完了してください。

 そう言われてもなぁ。まあ装備は決まっている。赤居に言われた妖精コスチューム(女子用)。どうやら特別に性別関係なく選べるらしい。
 先生の話だと、授業中は装備は見た目だけで効果は一切なし。授業が終わり畑がある敷地のエリアからでると、効果を発揮する。
 それは、装備条件もありらしく、それも考えて装備を選ぶようにと言っていた。
 僕はさらし者になるからそうそうログアウトするつもりだけどね。

 「あの……女の子用の妖精コスチュームでお願いします」

 目の前にあいうえお順に並ぶリストがあるけど、見る事もせずにそう言った。
 そうすると目の前に、妖精のコスチュームが浮かび上がる。

 ――こちらになります。男性用も存在しますが、女性用で宜しいですか?

 「……はい。それで」

 こんなの着るのかよ!

 ――こちらの装備は、授業法によりマントで制服になる使用です。マントには見た目を制服に見せる効果しかございません。50ポイントになります。残り50ポイントです。

 「はい。ありがとうございます!!」

 マントを着けていれば、制服でいられるのか。よかったぁ。さて後は何を装備するかな。

 ――妖精のコスチュームの上に通常、装備を重ねる事はできません。選べるのはフェアリーポーチになります。

 「え……じゃそれで」

 結局装備は、自分じゃ選べなかった。とほほ。

 ――フェアリーポーチは、50ポイントになります。0ポイントになりました。最終確認です。装備はこれでよろしいですか?

 「はい。いいです」

 ――では、残りの容姿と魔法とスキルをお選びください。残り5分です。

 10分ってみじか!

 「じゃ髪は銀で、今より少しながめで。あ、瞳も同じ銀で」

 赤居に妖精のを着てこいと言われてから髪の色は、せめて妖精が似合う色にしようと銀に決めていた。

 ――では、銀の髪と瞳でこのようになりました。

 鏡に映る僕は、普段している眼鏡はしてなくて、マントを外した状態だとそれなりにかわいい。女顔とよく言われたから僕だと知らなければ、女性で通せそうだ。でも僕的には、この格好はめちゃ恥ずかしい。

 残りは、魔法やスキルか。確か二つ選べるんだっけ?

 「えっと一つは、雨を降らせるような魔法をお願いします」

 魔法やスキルは、なぜか授業でも使えるらしくそれを使ってもいいと言っていた。水やりをしなくてはいけないだろうから便利だよな。

――『ドリズル』でよろしいですか?

 どういうのか聞きたいけど時間がない。雨と同じ効果だろうからそれにしよう。

 「はい。それで。あとは……」

 どうしようかな。そうだ。土に栄養を与えると早く育つかも。ゲームだしな。

 「えっと、土などに栄養を与えるような魔法やスキルありますか?」

 ――『ニュートリション』で宜しいですか?

 ――あと、10秒です。

 返答とは違う声も届いた。あと10秒しかない!

 「それでお願いします」

 ――では、『ドリズル』と『ニュートリション』で宜しいですか?

 早く、早く。

 「はい!」

 ――では、授業後お楽しみください。

 間に合った~!



 こうして僕は、何とか間に合ったけど選ぶ時間短すぎ。全部の装備を見て選ぶ余裕はないよな。
 しかし授業をすっとばし、ゲームが始まっちゃったようだけど、不具合なんだろうか?

 「ねぇ、一緒に回らない?」
 「え?」
 「そうねぇ。赤居達よりはいいわね」

 声を掛けてきたのは、富士元で賛成したのは五十嵐。二人は意外と仲がいいのか?

 「本当は、それ着たかったんだけど……お揃いは嫌だから違うの選んだのよね」

 と富士元。
 このコスチュームを着たかったのか!
 まあ同じ班だし、僕がこれを着てこいと言われていたのを知っているからな。

 「えっと、僕はゲームはしないつもりだったんだ」
 「その装備を選んだのにもったいない」

 どうやら五十嵐もこのゲームをしているようだ。もったいないといわれてもなぁ。赤居につかまったらマント取れって言われそうだし。

 「悪いな。えーと……ログアウトはどうやるの?」
 「本当にやめるんだ。ログアウトと願えばログアウトしますかって出るはずよ」
 「ありがとう」

 つまんないという顔を二人にされたが、富士元が教えてくれた。
 ログアウトしたい。……あれ? 何も反応がない。

 「ログアウトしたいんだけど!」

 しーん。

 「あのさ、何も起こらないけど?」
 「え? 本当? 戦闘中でなければ、ほとんど出来るはずなんだけどなぁ」
 「本当だわ。でも変ね。ここではログアウトできませんとかメッセージもないわ」

 五十嵐も試したらしいけど、ちょっと不安な言葉も発した――。
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