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 すぐ近くに二人はいた。

 「何やってるの!」

 「あ、お兄ちゃん!」

 「お兄ちゃんじゃないよ! リアカーで待っていてって言っただろう!」

 「だって、紅葉がここのモンスターは強いからスラゼお兄ちゃんじゃ殺されるって言うから」

 とサツナが泣きだした。そうするとレンカも泣き出す。っげ、泣き出した!
 僕が殺されると思って来たのはいいけど、自分達も危ないとは思わないのか?
 はぁ……。

 「あのね、ラスがいるから大丈夫。もう泣かないでよ。それよりリアカーに……」

 「そ、その子達は?」

 振り向くとルイテットさんが立っていた。

 「あ、ごめんなさい。待っている様に言ったんだけど……」

 「おやその子動物じゃないよ。オウギモンガというモンスターだ」

 それを聞いた二人は、僕の後ろに隠れた。
 って、あれ? リスに見える様にしてくれているんじゃなかったの?

 『あら忘れていたわ』

 忘れていたって! 見つかっちゃったんだけど、どうすんの?

 「あぁ、大丈夫。取り上げたりはしないから。ペットとして飼われるぐらい大人しいモンスターだから。ただその子たぶん色からして稀代だね」

 「キダイ?」

 聞き返すとルイテットさんは頷いた。

 「突然変異したモンスターって事。飼うつもりなら鑑定してもらった方がいいかもね。狂暴そうには見えないけど、本来はFランクにもみたいないモンスターなんだけど、ランクがついているかもしれない」

 「そうなるとどうなるの?」

 「君達が対処出来るようなFランクならいいけどそれ以上なら届け出が必要だろう」

 そういうもんだったんだ。まあでもランクはFより下だから大丈夫。

 「それならもう鑑定してありますので問題ないです」

 「そうか。君達も一緒に来るかい?」

 「え? いいんですか?」

 ルイテットさんの申し出に僕は驚いて聞いた。

 「心配で来てくれたんだろう? このまま帰すのもかえって危険かもしれないし。俺は、採取さえできればいいからね」

 と言った時だった。
 ぴょ~んとサツナの手から抜け出し紅葉が森の中に逃げたんだ。

 「待って! 紅葉! 危ないよ」

 とサツナが駆けだす。

 「危ないよじゃなくて!」

 僕達も慌てて追いかける。草が深いので、僕からでは紅葉の姿は見えない。けどサツナは追いかけているみたいだ。

 「ラス! なんとかならない!?」

 『まずいわ! ずっと奥にモンスターがいる』

 「モンスター?」

 『ランクEよ。って、紅葉が止まったわ!』

 「もうダメじゃない」

 紅葉をサツナが抱き上げる。紅葉は、もぐもぐと何かを食べている。土をかき分けたのか、前両足と顔が土だらけだ。

 「はぁ。もうちゃんと掴んでないとだめだろう。奥にモンスターがいるみたいだから焦ったよ」

 「何!? 君、感知も持ってるの?」

 とルイテットさんが驚いている。
 あぁ、しまった。いるんだった……どうしよう。

 『あぁ! 紅葉が食べたのって幻の芋だわ』

 「芋?」

 足元を見ると、紅葉がいただろう場所をラスが覗いている。僕も覗く。

 「これが幻の芋?」

 『食べられてしまったから価値はないかもしれないわね』

 「幻の芋だって!?」

 ルイテットさんがそう言ってのぞいたかと思うと、突然両手で掘り出した。そして、食べかけの芋を両手で持って顔の高さまで掲げて、マジマジと見ている。

 「凄い!! これ、譲ってもらっていいかい? 君達の秘密は守るから」

 「え? 秘密?」

 僕に振り返りルイテットさんがうんと頷いた。
 なんか嫌な汗が流れている。どの事だろうか? 紅葉? それともラス?
 ルイテットさんが立ち上がった。

 「スラゼくん……」

 「はい」

 僕の声は裏返っていた。
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