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第十四章 パンドラの箱
第百六十九話
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「これが全てよ」
ミュアンは、一気に話した為か、ふーと大きく息を吐いた。
「コーデリアさんも逃げて来たなんて……。でも、父上といつ出会ったのでしょうか。助けを求めて来たとしてもそれで結婚はおかしいです……」
信じられいとレオナールは呟く。
「婚約が決まったのは半年前です。私の国ラミアズア国とサラスチニ国は、薬師にも力を入れていて、よくエクランド国に出向いていたのです。勿論彼女も……」
「え? エクランド国にですか?」
ミュアンは頷く。
「資格を得る為ではなく、薬師の技術を会得する為です。薬師になれば色々制限されます。私達の国は、薬師の資格を持たないけど、それなりの技術を持った者達が沢山いたのです」
「そんな事が……」
ブラッドリーも驚いて声を漏らす。
あり得ない事だった。普通は資格を得てより良い仕事につく。その為に獲得する。ラミアズア国とサラスチニ国は、技術を盗む為にエクランド国来ていたのだ。
「それで色々知識を持っていたのですね」
レオナールも納得した。エクランド国の隣国だったハルフォード国に訪れた時に、ギデオンと何だかの形で知り合い、彼女は来るたびに会っていたのかもしれない。そして、追われハルフォード国に逃げ込んだ。
ギデオンはもしかしたら全てを知って彼女を娶ったのかもしれない。
「では、本当に私はいらなくなった……」
「レオナール様! その様な事は絶対にありません!」
呟いた言葉にブラッドリーは反論する。
「今さらだけどさ、ブラッドリーさんって王子の部下なの?」
ブラッドリーとレオナールは、エイブの言葉にポカーンとする。
「あなた、トンマーゾから何も聞かされていないのですか?」
「あの人は、俺にさせたい事を命令するだけ」
レオナールの質問にエイブはそう返した。
「私は、ハルフォード国の者だ」
「やっと、色々繋がったよ。というか王子の事は聞いていたよ。トンマーゾさんが珍しく厄介な王子だって煙たがっていたけど、でも聞いていたのと全然違うね? 凄い拍子抜け。ミュアンさんのやり方もどうかと思うけど、今の話を聞くとレオナール王子の親も凄いね」
「何ですか、あなた。侮辱するのですか?」
エイブに鋭い目をレオナールは向ける。
「別に。ただ、ミュアンさんをそこまでして殺す理由って何? ハルフォード国にとってどんな障害になるの? コーデリアさんにあなたを殺す理由があったとして王様にはないよね? というか、その理由を王様に知られたくないからコーデリアさんはレオナール王子、あなたを殺そうとした。そう自分で言っていなかったっけ?」
「え……?」
レオナールは、エイブの言葉に驚く。言われてみればそうだ。レオナールを殺そうとするのは、コーデリアの過去を隠す為。逆に知っていたのならレオナールを殺す意味などない。ハミッシュに王位を継がせたいだけならそこまでしなくても出来るのだから。
そこまで考えたレオナールは、エイブの言い回しにハッとする。
「自分で言っていたとは、どういう事です? まるで聞いていたような言い回しですね!」
「あ、気づいちゃった? ティモシーに話しているの聞いちゃった」
特段隠すつもりもなくエイブは言った。
「それ、トンマーゾには……」
「ミュアンさんに伝えただけ」
レオナールは安堵する。ミュアンの話からするとコーデリアも逃げている。トンマーゾから伝えられれば彼女の命が危ない。
エイブが魔術師の組織から抜け出したがっていたとティモシーが言っていた事は本当だったようだとレオナールは思った。
ミュアンは、一気に話した為か、ふーと大きく息を吐いた。
「コーデリアさんも逃げて来たなんて……。でも、父上といつ出会ったのでしょうか。助けを求めて来たとしてもそれで結婚はおかしいです……」
信じられいとレオナールは呟く。
「婚約が決まったのは半年前です。私の国ラミアズア国とサラスチニ国は、薬師にも力を入れていて、よくエクランド国に出向いていたのです。勿論彼女も……」
「え? エクランド国にですか?」
ミュアンは頷く。
「資格を得る為ではなく、薬師の技術を会得する為です。薬師になれば色々制限されます。私達の国は、薬師の資格を持たないけど、それなりの技術を持った者達が沢山いたのです」
「そんな事が……」
ブラッドリーも驚いて声を漏らす。
あり得ない事だった。普通は資格を得てより良い仕事につく。その為に獲得する。ラミアズア国とサラスチニ国は、技術を盗む為にエクランド国来ていたのだ。
「それで色々知識を持っていたのですね」
レオナールも納得した。エクランド国の隣国だったハルフォード国に訪れた時に、ギデオンと何だかの形で知り合い、彼女は来るたびに会っていたのかもしれない。そして、追われハルフォード国に逃げ込んだ。
ギデオンはもしかしたら全てを知って彼女を娶ったのかもしれない。
「では、本当に私はいらなくなった……」
「レオナール様! その様な事は絶対にありません!」
呟いた言葉にブラッドリーは反論する。
「今さらだけどさ、ブラッドリーさんって王子の部下なの?」
ブラッドリーとレオナールは、エイブの言葉にポカーンとする。
「あなた、トンマーゾから何も聞かされていないのですか?」
「あの人は、俺にさせたい事を命令するだけ」
レオナールの質問にエイブはそう返した。
「私は、ハルフォード国の者だ」
「やっと、色々繋がったよ。というか王子の事は聞いていたよ。トンマーゾさんが珍しく厄介な王子だって煙たがっていたけど、でも聞いていたのと全然違うね? 凄い拍子抜け。ミュアンさんのやり方もどうかと思うけど、今の話を聞くとレオナール王子の親も凄いね」
「何ですか、あなた。侮辱するのですか?」
エイブに鋭い目をレオナールは向ける。
「別に。ただ、ミュアンさんをそこまでして殺す理由って何? ハルフォード国にとってどんな障害になるの? コーデリアさんにあなたを殺す理由があったとして王様にはないよね? というか、その理由を王様に知られたくないからコーデリアさんはレオナール王子、あなたを殺そうとした。そう自分で言っていなかったっけ?」
「え……?」
レオナールは、エイブの言葉に驚く。言われてみればそうだ。レオナールを殺そうとするのは、コーデリアの過去を隠す為。逆に知っていたのならレオナールを殺す意味などない。ハミッシュに王位を継がせたいだけならそこまでしなくても出来るのだから。
そこまで考えたレオナールは、エイブの言い回しにハッとする。
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「あ、気づいちゃった? ティモシーに話しているの聞いちゃった」
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「それ、トンマーゾには……」
「ミュアンさんに伝えただけ」
レオナールは安堵する。ミュアンの話からするとコーデリアも逃げている。トンマーゾから伝えられれば彼女の命が危ない。
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