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第十二章 たがう二人の王子
第百四十六話
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レオナール達がヴィルターヌ帝国に着いたのは出発してから七日目の朝だった。宿には泊まったが夜明けと共に出発し先を急いだ。
帝国に着くとすぐにレオナールとルーファスは、謁見の間に通され二人は無事モゼレスに直接会う事が出来た。
ルーファスは少し緊張していた。エクランド国には、謁見の間などないからだ。グスターファスと会うのは薬師が多い。普通の会社の様に応接室にて対応していた。国王としてではなく、薬師のトップとして接していたのだ。
「長旅、ご苦労だった。それと、娘を助けてた頂きありがとう」
座ったままだが、モゼレスは軽く頭を下げた。
レオナール達は、片膝を付き彼らもまた軽く頭を下げる。
「して、協定の件だが、その前に結界を完成させてほしいのだが宜しいか?」
「はい。構いません」
モゼレスの問いに、ルーファスは答えた。
「では、レオナール殿。最後の仕上げを頼む」
「はい。お任せください」
城に結界を張る為の魔法陣をそれぞれ違う紙に書きだし、一足先に向かったイリステーナが持って行き、魔法陣を描き終えていたのである。彼女達は馬だった為四日で着いていた。細い道も走る事が出来る彼女達は、近道をすること出来たからだ。
後は、レオナールがトライアングルを描き、発動させるだけだった。
レオナールとルーファスは、モゼレスに一例すると謁見の間を出た。
「早かったな」
ランフレッドがルーファスに声を掛ける。
「先にレオ殿が結界を張る事になった」
「お身体は大丈夫ですか? レオナール様」
それを聞き、心配そうにブラッドリーはレオナールに声を掛けた。
「問題ありません」
その後、レオナールは三つの魔法陣を見渡せる高台に登り、トライアングルを描いた。そして、魔法陣を起動させ三つの魔法陣を中心に寄せる。それはちょうど城で重なり、一つの新たな魔法陣になる。トライアングルは消滅した。これで完成だ。もう一つのトライアングルの使い方だ。
魔法陣を発動させ続けるのには魔力が必要だが、それは漂う魔力を使う。
これでもう精神体を連れ出される心配はなくなった。
「大丈夫ですか?」
ベットに腰を下ろしたレオナールは、そのまま体を横たえる。
「大丈夫です。薬も飲みました。魔力を大量に消費したので脱力感があるだけです」
ブラッドリーは、レオナールの姿を見て大きなため息をついた。
「これだけの事をしたのと見合う情報を提供して頂けるのでしょうか? 逆に裏切りにあう事も考えられませんか?」
「余程の事がなければそれはないでしょう。ここには、ルーファスもいるのですから。まあ、エクランド国と協定を結ぶどころか、戦争を吹っ掛ける気なら別ですが。そうなったらルーファスの命も危ういです。ですがもう、これしか方法がないのですから仕方がありません。陛下もルーファスもわかってここに来たはずです……」
トントントン。
ドアがノックされ、慌ててレオナールは体を起こした。
「はい」
レオナールが返事をすると、失礼しますとドアが開いた。
開けた兵士はビシッと頭を下げる。そして、モゼレスとピルッガが部屋に入って来た。
「下がっていろ」
「っは!」
ピルッガの指示で兵士はドアを閉めた。レオナールとブラッドリーは、まさかの事態になるのではと警戒する。
「そのままでよい。お疲れでしょう」
「はい……」
「そこに座っても宜しいか?」
そことは、設置されているソファーの事だ。
「どうぞ……」
モゼレスとピルッガはソファーに腰を下ろす。
「結界は助かった。ありがとう」
「いえ。お役に立てて光栄です」
モゼレスの言葉にレオナールはそう返すのが精いっぱいだった。ここはエクランド国ではない。皇帝自ら訪ねて来る事は普通はないのだ。
「そんなに警戒しないでほしい。私も魔術師だ。あれだけの事をすれば、身体がどういう状態になるかはわかっている。だから出向いたまでだ」
「お気遣いありがとうございます」
「で、何を聞きたいのだ? 見返りもなしにここまではしないであろう?」
レオナールはジッと二人を見つめた。
普通なら自分の体調を気遣うにしても別に回復するまで待てばいいだけだ。わざわざ情報を提供しに来る事もない。しかも、ルーファスと協定を結ぶ事になっている。その後でもいいはずなのである。
何故後回しにしないのだろうかと、レオナールは不安になった。
帝国に着くとすぐにレオナールとルーファスは、謁見の間に通され二人は無事モゼレスに直接会う事が出来た。
ルーファスは少し緊張していた。エクランド国には、謁見の間などないからだ。グスターファスと会うのは薬師が多い。普通の会社の様に応接室にて対応していた。国王としてではなく、薬師のトップとして接していたのだ。
「長旅、ご苦労だった。それと、娘を助けてた頂きありがとう」
座ったままだが、モゼレスは軽く頭を下げた。
レオナール達は、片膝を付き彼らもまた軽く頭を下げる。
「して、協定の件だが、その前に結界を完成させてほしいのだが宜しいか?」
「はい。構いません」
モゼレスの問いに、ルーファスは答えた。
「では、レオナール殿。最後の仕上げを頼む」
「はい。お任せください」
城に結界を張る為の魔法陣をそれぞれ違う紙に書きだし、一足先に向かったイリステーナが持って行き、魔法陣を描き終えていたのである。彼女達は馬だった為四日で着いていた。細い道も走る事が出来る彼女達は、近道をすること出来たからだ。
後は、レオナールがトライアングルを描き、発動させるだけだった。
レオナールとルーファスは、モゼレスに一例すると謁見の間を出た。
「早かったな」
ランフレッドがルーファスに声を掛ける。
「先にレオ殿が結界を張る事になった」
「お身体は大丈夫ですか? レオナール様」
それを聞き、心配そうにブラッドリーはレオナールに声を掛けた。
「問題ありません」
その後、レオナールは三つの魔法陣を見渡せる高台に登り、トライアングルを描いた。そして、魔法陣を起動させ三つの魔法陣を中心に寄せる。それはちょうど城で重なり、一つの新たな魔法陣になる。トライアングルは消滅した。これで完成だ。もう一つのトライアングルの使い方だ。
魔法陣を発動させ続けるのには魔力が必要だが、それは漂う魔力を使う。
これでもう精神体を連れ出される心配はなくなった。
「大丈夫ですか?」
ベットに腰を下ろしたレオナールは、そのまま体を横たえる。
「大丈夫です。薬も飲みました。魔力を大量に消費したので脱力感があるだけです」
ブラッドリーは、レオナールの姿を見て大きなため息をついた。
「これだけの事をしたのと見合う情報を提供して頂けるのでしょうか? 逆に裏切りにあう事も考えられませんか?」
「余程の事がなければそれはないでしょう。ここには、ルーファスもいるのですから。まあ、エクランド国と協定を結ぶどころか、戦争を吹っ掛ける気なら別ですが。そうなったらルーファスの命も危ういです。ですがもう、これしか方法がないのですから仕方がありません。陛下もルーファスもわかってここに来たはずです……」
トントントン。
ドアがノックされ、慌ててレオナールは体を起こした。
「はい」
レオナールが返事をすると、失礼しますとドアが開いた。
開けた兵士はビシッと頭を下げる。そして、モゼレスとピルッガが部屋に入って来た。
「下がっていろ」
「っは!」
ピルッガの指示で兵士はドアを閉めた。レオナールとブラッドリーは、まさかの事態になるのではと警戒する。
「そのままでよい。お疲れでしょう」
「はい……」
「そこに座っても宜しいか?」
そことは、設置されているソファーの事だ。
「どうぞ……」
モゼレスとピルッガはソファーに腰を下ろす。
「結界は助かった。ありがとう」
「いえ。お役に立てて光栄です」
モゼレスの言葉にレオナールはそう返すのが精いっぱいだった。ここはエクランド国ではない。皇帝自ら訪ねて来る事は普通はないのだ。
「そんなに警戒しないでほしい。私も魔術師だ。あれだけの事をすれば、身体がどういう状態になるかはわかっている。だから出向いたまでだ」
「お気遣いありがとうございます」
「で、何を聞きたいのだ? 見返りもなしにここまではしないであろう?」
レオナールはジッと二人を見つめた。
普通なら自分の体調を気遣うにしても別に回復するまで待てばいいだけだ。わざわざ情報を提供しに来る事もない。しかも、ルーファスと協定を結ぶ事になっている。その後でもいいはずなのである。
何故後回しにしないのだろうかと、レオナールは不安になった。
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