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第九章 追われる者
第百三話
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ティモシーは、パチッと目を覚ました。今回も夢の内容を全て覚えていた!
ガバッと起きると薬師の制服に着替える。イリステーナに話を聞こうと思った。今なら聞けば、この国に来た理由も話してくれるかもしれない。そして、エイブの事も……。
そう思って着替え終わった頃、通路が騒がしくなる。そして、ノックもなしにドアが開けられた。
入って来たのはイリステーナだった。
「お待ちください。まだ寝て……あれ、今日は随分早いな……」
そう驚いて言ったのはランフレッドだった。勿論フレアも一緒についてきている。そして何故かルーファスにレオナールもいた。ダグも騒ぎを聞きつけ、そっと覗いている。
「起きていたわね! あの後、エイブと何を話しました? 全てお話しなさい!」
唐突にイリステーナは言った。
「え!」
ティモシーは驚くも、ハッとする。皆がいる前だ。しかもエイブにはもう会うなと言われていた。
「ちょっと待って!」
「待てないわよ! 会いに行くの彼に?」
イリステーナの問いにティモシーは、ブンブンと顔を大きく横に振る。会いに行こうとしたのは、イリステーナにだ。
「違います! あなたに会いに行こうと……」
「彼女に? では、夢でまた接触したのは本当なのですね?」
「夢……だと?」
レオナールの問いかけに、ルーファスが反応した。レオナールはしまったと思うも遅い。
「まさか、あの日からずっと夢であいつと会っていたのか?」
今度はランフレッドがティモシーに問う。ティモシーはブンブンと顔を横にふった。
「お、覚えてない!」
「覚えてないって! 覚えているから皇女に会いに行こうと思ったんだろう? 何故だ。何故、俺にも黙っていた!」
ランフレッドが更に問い詰める。
「だから覚えてないんだってば!」
「ランフレッドお待ちなさい!」
言い合いになり始めた二人をレオナールが制す。
「レオ殿はご存知だったのですか? それを私達に秘密に?」
レオナールが止めるも今度はルーファスが疑惑を抱く。
(このままだとレオナール王子まで……)
「もう! そうだよ! エイブさんと夢で会っていた! レオナール王子に黙っているようにお願いしたんだ!」
ティモシーが叫ぶようにそう言っていた。
「あいつがお前に何をしたか忘れたのか? それなのになぜ?」
「………」
「俺ってそんなに信用ないか?」
「ランフレッド、お待ちなさい。きちんと後でお話しますから」
(全てがバレてしまう……。何もかも終わる!)
ティモシーは、そう思った瞬間、頭が真っ白になった。
「言えない事だってあるんだ! それを知られたくないから黙っていた。だからレオナール王子には黙っていてもらったんだ!」
「エイブに脅されていたのか?」
驚いて、ランフレッドが言う。
「違う! 脅されてなんていない! でも知られたく内容が夢にあったんだ! もう放っておいてよ!」
ティモシーはたまらずランフレッドを突き飛ばし部屋から逃げ出した!
「おい!」
ランフレッドが捕まえようとするも、その手をティモシーは払いのけ走り去る。
「レオ殿! ご説明頂きたい。私はあなたを信用していたのですが!」
ルーファスが毅然としてレオナールに言った。
「別に裏切ってはおりませんよ。ティモシーは魔術師の組織の事を知る人物と繋がっています。その者の信頼を得なければ、情報は手に入りません。ティモシーにはその方を説得してもらう予定でした。ですが……難しくなったかもしれません。ティモシーに何かあれば、協力はして下さらないでしょう。すみません。私のミスです。つい、口が滑りました」
レオナールは、ため息交じりに述べた。
「で、その人物とは?」
レオナールは、首を横に振った。
「ティモシーには、私を信頼して頂かなくていけません。ですので今はまだお話できません」
「私……余計な事をしたのですね」
イリステーナは、俯いて呟いた。
「あなたも夢で彼と会ったのですね? やはり元からその能力があったという事ですか?」
「さっぱりわからないだが。夢を見る能力とかなのか?」
レオナールの言葉にルーファスは問う。
「いいえ。精神を体から切り離し、自由に移動できる能力のようです。残念ですが、私には出来ません。ですが、イリステーナ皇女にはお出来になるようです」
「そうね。彼から教わったのよ。……わかったわ。話すわ。どうしてこの国を訪れたのか」
イリステーナは、静かに語り始めた――。
ガバッと起きると薬師の制服に着替える。イリステーナに話を聞こうと思った。今なら聞けば、この国に来た理由も話してくれるかもしれない。そして、エイブの事も……。
そう思って着替え終わった頃、通路が騒がしくなる。そして、ノックもなしにドアが開けられた。
入って来たのはイリステーナだった。
「お待ちください。まだ寝て……あれ、今日は随分早いな……」
そう驚いて言ったのはランフレッドだった。勿論フレアも一緒についてきている。そして何故かルーファスにレオナールもいた。ダグも騒ぎを聞きつけ、そっと覗いている。
「起きていたわね! あの後、エイブと何を話しました? 全てお話しなさい!」
唐突にイリステーナは言った。
「え!」
ティモシーは驚くも、ハッとする。皆がいる前だ。しかもエイブにはもう会うなと言われていた。
「ちょっと待って!」
「待てないわよ! 会いに行くの彼に?」
イリステーナの問いにティモシーは、ブンブンと顔を大きく横に振る。会いに行こうとしたのは、イリステーナにだ。
「違います! あなたに会いに行こうと……」
「彼女に? では、夢でまた接触したのは本当なのですね?」
「夢……だと?」
レオナールの問いかけに、ルーファスが反応した。レオナールはしまったと思うも遅い。
「まさか、あの日からずっと夢であいつと会っていたのか?」
今度はランフレッドがティモシーに問う。ティモシーはブンブンと顔を横にふった。
「お、覚えてない!」
「覚えてないって! 覚えているから皇女に会いに行こうと思ったんだろう? 何故だ。何故、俺にも黙っていた!」
ランフレッドが更に問い詰める。
「だから覚えてないんだってば!」
「ランフレッドお待ちなさい!」
言い合いになり始めた二人をレオナールが制す。
「レオ殿はご存知だったのですか? それを私達に秘密に?」
レオナールが止めるも今度はルーファスが疑惑を抱く。
(このままだとレオナール王子まで……)
「もう! そうだよ! エイブさんと夢で会っていた! レオナール王子に黙っているようにお願いしたんだ!」
ティモシーが叫ぶようにそう言っていた。
「あいつがお前に何をしたか忘れたのか? それなのになぜ?」
「………」
「俺ってそんなに信用ないか?」
「ランフレッド、お待ちなさい。きちんと後でお話しますから」
(全てがバレてしまう……。何もかも終わる!)
ティモシーは、そう思った瞬間、頭が真っ白になった。
「言えない事だってあるんだ! それを知られたくないから黙っていた。だからレオナール王子には黙っていてもらったんだ!」
「エイブに脅されていたのか?」
驚いて、ランフレッドが言う。
「違う! 脅されてなんていない! でも知られたく内容が夢にあったんだ! もう放っておいてよ!」
ティモシーはたまらずランフレッドを突き飛ばし部屋から逃げ出した!
「おい!」
ランフレッドが捕まえようとするも、その手をティモシーは払いのけ走り去る。
「レオ殿! ご説明頂きたい。私はあなたを信用していたのですが!」
ルーファスが毅然としてレオナールに言った。
「別に裏切ってはおりませんよ。ティモシーは魔術師の組織の事を知る人物と繋がっています。その者の信頼を得なければ、情報は手に入りません。ティモシーにはその方を説得してもらう予定でした。ですが……難しくなったかもしれません。ティモシーに何かあれば、協力はして下さらないでしょう。すみません。私のミスです。つい、口が滑りました」
レオナールは、ため息交じりに述べた。
「で、その人物とは?」
レオナールは、首を横に振った。
「ティモシーには、私を信頼して頂かなくていけません。ですので今はまだお話できません」
「私……余計な事をしたのですね」
イリステーナは、俯いて呟いた。
「あなたも夢で彼と会ったのですね? やはり元からその能力があったという事ですか?」
「さっぱりわからないだが。夢を見る能力とかなのか?」
レオナールの言葉にルーファスは問う。
「いいえ。精神を体から切り離し、自由に移動できる能力のようです。残念ですが、私には出来ません。ですが、イリステーナ皇女にはお出来になるようです」
「そうね。彼から教わったのよ。……わかったわ。話すわ。どうしてこの国を訪れたのか」
イリステーナは、静かに語り始めた――。
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