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第九章 追われる者
第九十七話
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「あなた、昨日、彼とこっそり王宮を抜け出していたわね。どちらへ?」
「え……」
見られていたんだと思うも、ここまでして何を聞き出したいのかわからない。下手な事が言えないが、その前に内容は話せない。
「彼と男女の関係なのかしら? それとも皆に内緒の別な関係?」
「………」
(もしかしてこの人、レオナール王子の事が好きなのか?)
ティモシーには、それしか思い浮かばなかった。
「誤解だか……」
ティモシーが言い訳をしようとした時だった。脇から魔力を感じ取る。ハッとしてそちらに振り向くと、ホルファンスがバタンと倒れた!
(眠りの魔術!)
ティモシーは、ハッとして横に居るイリステーナを確認するとその場にしっかりと立っている。使者は魔術師と聞いていた。彼女がヴィルターヌ帝国からの使者なのは間違いない。
「彼と一緒に眠りに落ちていれば、死なずにすんだのになぁ、ティモシー。あの魔術師の王子にマジックアイテムでも持たされていたか?」
そういいながら脇から出て来たのは、逃げたはずのトンマーゾだ!
「え? なんでここに……」
「今の言葉聞いていなかったのか? 相変わらず察しが悪いな。皇女を仕留めに来たんだよ!」
「え!」
ティモシーは驚く。彼の言う通り、最初の台詞を聞けばそうだ。だがまさか、トンマーゾがヴィルターヌ帝国の使者を殺しにくるなど思ってもいなかった。ふた方が繋がっているかもと言う話は上がっていたが……。
「なぜこの人を?」
「それ、お前に話す必要あるか?」
「あなた、魔術師ではないの?」
イリステーナは、ボソッとティモシーに問いかけた。ティモシーは、チラッと彼女を見ると、トンマーゾを睨みつけていた。
どう答えていいかわからなかった。そうだと答えた所で、戦える訳でもない。
(そう言えばトンマーゾさんは、俺が魔術師だってエイブさんから聞いていないのだろうか? もしかしてエイブさんは……)
こんな事態だと言うのに、そう思いいたると聞きたくなった。
「……エ、エイブさんはどうしてるの? ザイダさんと一緒?」
「ふーん。なるほどな。……知りたいのなら教えてやる。皇女をヤレ! そうすれば、連れて行ってやるよ。エイブの元にな」
「え……」
ティモシーは、フルフルと顔を左右に小さく振った。
「なんだ、チャンスをやるっと言っているんだぞ? そいつを殺してこっち側に来いっと言っているんだがな。まあ、ザイダのようには、いかないか」
トンマーゾはニヤッとすると、ティモシー達に右手を突き出した!
「そうだ、ティモシー。その女も魔術師だぞ。かばう相手ではないだろう?」
「え?」
ティモシーは、トンマーゾに言われ彼女に振り向く。魔術師だと言われた事に驚いた訳ではなく、魔術師なのに魔術を使って逃げるなどしなかった事に気づいたからだ。
彼女は皇女で魔術師だと周りに知れても、命を狙われたりする立場ではない。隠していたとしても緊急事態だ。後でティモシーに口止めすればいい。それに、彼女自体が対象だとわかっている。何故魔術を使わないだろうか? 不思議に思ってふり見たのである。
「大丈夫だ。一緒にさっき魔術を封じた。ナイフをやるから……」
ティモシーは、イリステーナの手を取り走り出した!
イリステーナは、眠りの魔術はレジストしたが、魔術を封じられていた。逃げるしかない! そう思い咄嗟に手を掴んだ。
ティモシーは走りながら、ペンダントを外した。攻撃は無理でも結界は出来るかもしれない。人気のない所で襲ってきたのだから、人前では魔術は使わないかもしれない。危険かもしれないが、人がいる所まで出ようそう思ったのである。
だが、二人はすっころんだ!
足元に魔術を使われ、転ばされた。
「全く。二度もチャンスをやったのにな。エイブのお気に入りみたいだけど残念だったな。死ね!」
ティモシーは、攻撃が来ると自分の周りに結界を張った!
「……おっと」
トンマーゾは攻撃をしようとするが、攻撃を受け後ろに飛びのいた!
「え?」
魔術が飛んできた方をティモシーが見ると、レオナールがいた。その横には、ブラッドリーと見知らぬ女性が一人。
「イリステーナ様!」
その女性が叫んだ。彼女は、イリステーナより赤みを帯びたこげ茶色の髪を耳の上で一本に縛り、レオナール達と同じ様に薬師の制服を見に着けていた。
「え……」
見られていたんだと思うも、ここまでして何を聞き出したいのかわからない。下手な事が言えないが、その前に内容は話せない。
「彼と男女の関係なのかしら? それとも皆に内緒の別な関係?」
「………」
(もしかしてこの人、レオナール王子の事が好きなのか?)
ティモシーには、それしか思い浮かばなかった。
「誤解だか……」
ティモシーが言い訳をしようとした時だった。脇から魔力を感じ取る。ハッとしてそちらに振り向くと、ホルファンスがバタンと倒れた!
(眠りの魔術!)
ティモシーは、ハッとして横に居るイリステーナを確認するとその場にしっかりと立っている。使者は魔術師と聞いていた。彼女がヴィルターヌ帝国からの使者なのは間違いない。
「彼と一緒に眠りに落ちていれば、死なずにすんだのになぁ、ティモシー。あの魔術師の王子にマジックアイテムでも持たされていたか?」
そういいながら脇から出て来たのは、逃げたはずのトンマーゾだ!
「え? なんでここに……」
「今の言葉聞いていなかったのか? 相変わらず察しが悪いな。皇女を仕留めに来たんだよ!」
「え!」
ティモシーは驚く。彼の言う通り、最初の台詞を聞けばそうだ。だがまさか、トンマーゾがヴィルターヌ帝国の使者を殺しにくるなど思ってもいなかった。ふた方が繋がっているかもと言う話は上がっていたが……。
「なぜこの人を?」
「それ、お前に話す必要あるか?」
「あなた、魔術師ではないの?」
イリステーナは、ボソッとティモシーに問いかけた。ティモシーは、チラッと彼女を見ると、トンマーゾを睨みつけていた。
どう答えていいかわからなかった。そうだと答えた所で、戦える訳でもない。
(そう言えばトンマーゾさんは、俺が魔術師だってエイブさんから聞いていないのだろうか? もしかしてエイブさんは……)
こんな事態だと言うのに、そう思いいたると聞きたくなった。
「……エ、エイブさんはどうしてるの? ザイダさんと一緒?」
「ふーん。なるほどな。……知りたいのなら教えてやる。皇女をヤレ! そうすれば、連れて行ってやるよ。エイブの元にな」
「え……」
ティモシーは、フルフルと顔を左右に小さく振った。
「なんだ、チャンスをやるっと言っているんだぞ? そいつを殺してこっち側に来いっと言っているんだがな。まあ、ザイダのようには、いかないか」
トンマーゾはニヤッとすると、ティモシー達に右手を突き出した!
「そうだ、ティモシー。その女も魔術師だぞ。かばう相手ではないだろう?」
「え?」
ティモシーは、トンマーゾに言われ彼女に振り向く。魔術師だと言われた事に驚いた訳ではなく、魔術師なのに魔術を使って逃げるなどしなかった事に気づいたからだ。
彼女は皇女で魔術師だと周りに知れても、命を狙われたりする立場ではない。隠していたとしても緊急事態だ。後でティモシーに口止めすればいい。それに、彼女自体が対象だとわかっている。何故魔術を使わないだろうか? 不思議に思ってふり見たのである。
「大丈夫だ。一緒にさっき魔術を封じた。ナイフをやるから……」
ティモシーは、イリステーナの手を取り走り出した!
イリステーナは、眠りの魔術はレジストしたが、魔術を封じられていた。逃げるしかない! そう思い咄嗟に手を掴んだ。
ティモシーは走りながら、ペンダントを外した。攻撃は無理でも結界は出来るかもしれない。人気のない所で襲ってきたのだから、人前では魔術は使わないかもしれない。危険かもしれないが、人がいる所まで出ようそう思ったのである。
だが、二人はすっころんだ!
足元に魔術を使われ、転ばされた。
「全く。二度もチャンスをやったのにな。エイブのお気に入りみたいだけど残念だったな。死ね!」
ティモシーは、攻撃が来ると自分の周りに結界を張った!
「……おっと」
トンマーゾは攻撃をしようとするが、攻撃を受け後ろに飛びのいた!
「え?」
魔術が飛んできた方をティモシーが見ると、レオナールがいた。その横には、ブラッドリーと見知らぬ女性が一人。
「イリステーナ様!」
その女性が叫んだ。彼女は、イリステーナより赤みを帯びたこげ茶色の髪を耳の上で一本に縛り、レオナール達と同じ様に薬師の制服を見に着けていた。
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