【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第七章 彼と彼女の復讐劇

第七十五話

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 目を覚ますと、ランフレッドがティモシーを揺り起こしていた。

 「朝だ。起きろって。お! やっと起きたか。おはよう」
 「おはよう」

 ティモシーは、上半身を起こす。

 「昨日戻ってきたらもうお前寝ていたけど。どこか体調悪かったりするのか?」
 「ううん。眠かっただけ」

 ティモシーは首を横に振り答えた。

 「それならいいけど。休み今日までだし、体調悪かったら寝てろよ。じゃ、行ってくるわ」
 「うん。いってらっしゃい」

 今日もランフレッドは、元気よくルーファスの元に向かっていった。

 (なんか、今日もエイブさんが夢に出て来たような気がする……)

 取りあえず今日は大人しく、レオナールの部屋に行くことにし、支度を終えると部屋を出た。

 「おはよう」

 部屋を出た所で声を掛けられビックリし、相手を見て更に驚いた。
 ザイダだった。

 「なんで、ここに?」
 「私も王宮に泊まる事にしたのよ。それより昨日はごめんなさいね」

 突然ザイダはそう言うと、頭を下げた。

 「え? あの、えーと」

 突然の事にティモシーは、狼狽える。

 「あなた、男だったんですってね。変な事いっぱい言ってごめんね。調子がいいかもしれないけど、王宮内に泊まってるし仲良くしましょう」

 ザイダは右手を出して来た。握手を求めているのだとティモシーは思うも、あまりの豹変に戸惑う。『しつこいから気を付けて』とも聞いていた……。

 (あれ? 誰に聞いたんだっけ?)

 「ちょっと無視?」
 「あ、ごめんなさい」

 ムッとした言葉に、ティモシーはハッとして、握手を交わした。

 「調合室行くのよね? 一緒に行きましょう」
 「え! あ、えっと寄る所あるから……」

 調合室ではなく、レオナールの部屋に行くとは言えない。咄嗟にそう言うも……

 「あら、どこに寄るの?」

 そう聞かれ、ティモシーは戸惑う。

 「ブラッドリーさんに用事があって、五階に!」
 「ふーん。そう。あの人に取り入ってるんだ……」

 ギロリと睨まれ、ティモシーは一歩下がった。
 
(仲良くする気なんてないだろう……)

 「じゃ、今日は一人で行くわ」
 「え!」

 驚いてボー然とするティモシーは、ザイダの背中を見送った。



 ティモシーはレオナールの部屋に入ってから、もう二ケタのため息をついていた。

 「絶対嫌がらせだよな……」

 ザイダは『今日は』と言って調合室に行った。明日も迎えに来る気なんだろう。明日からは調合が始まる。こうなったらダグに言って、三人で調合室に向かうしかない。そういう結論になるも、ダグも巻き込んでしまうと悩む。
 ティモシーは、今日は全然読むのが進まなかった。
 結局そのまま夕方になりタグが来た。

 「今日は調子どうだ? ……悪いのか?」
 「あ、いや……。あのお願いが……」

 結局ティモシーは、ダグに一緒に行ってもらう様にお願いする事にした。勿論男だったという所は言ってはない。別に言ってもいいが、今それを言って一緒に行くのを断られたら困るのである。彼はそんな事をしないと思うが、絶対とは言えない。
 話を聞いたダグは眉を顰める。

 「ザイダさんってエイブさんにかなり気があったんだろうな。本当の事も言えないし。まあ、同じ並びなんだし、送り迎えぐらいしてやるって。それにこれから泊まるやつ増えてくるだろうし」
 「増えるって。どうして?」
 「仕事が滞っていて、送り迎えが間に合わないから王宮に泊まらせるって事さ」

 なるほどとティモシーは頷く。

 「お前、絶対にランフレッドさん以外の奴が訪ねて来ても、ドア開けるなよ! 絶対だぞ!」
 「え? うん。わかった」

 頷いて答えるも、ダグは溜息をつく。わかってないだろうと。

 「じゃ、今日はもう送って行くか。明日、七時五十分に迎えに行くから、部屋の中で待ってろよ!」
 「うん。ありがとう」

 話はまとまり安堵して、ティモシーは自分の部屋に戻った。ダグは、一つ開けて右隣だった。
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