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第六章 真実と魔術師組織
第六十八話
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レオナールが言う言い伝えとは、『一部の者を除き魔術が使えなくなり、魔術師がほとんどいなくなった』という説である。だがこれは一般的ではなかった。
『薬師の研究途中の事故で魔力を使える者が出てしまった』これが、世に広まっている説で、この事故とは不老不死のような研究の事である。
つまりは、『最初から魔術師がいた』という説と『薬師の力で魔術師が生まれた』という説の二通り存在していた。レオナールは前説を信じ、グスターファスも同じ意見だった。
エクランド国は薬師の国だが、ここにある文献には『魔術師が生まれた』とする物は一切なかったからである。
どちらにしても、魔術師が忌み嫌われている存在には変わりはない。
「それは、魔術師ではなくなったけど、魔力はあるという事なのでしょうか?」
ダグも一応二通りの説は知っていた。レオナールが言う通りだとすれば、今ダグが質問した答えはイエスという事だろう。
「そうですね。正確には、魔力を練れなくなったという事でしょう」
「練る?」
レオナールの言葉に、疑問符を浮かべたのはティモシーだった。
それにはレオナールも軽くため息を漏らした。彼だけはティモシーが魔術師だと知っているからである。レオナールにすれば、何故知らないのかと反対に思う事であった。
「魔術師は、魔力を体に巡らせ魔術を使うのです。それを練ると言います。これを上手く出来れば、優秀な魔術師という事になるでしょう」
ティモシーはレオナールの説明になるほどという顔をして頷いていた。
(俺は知らずに練っていたって事か)
「因みに、マジックアイテムで魔力を封じる時は、その練る行為を封じますので、魔術が使えなくなります。ですが、直接魔術で封じる時は、魔術を使おうとする行為を封じます。ですので、相手が自分より格上ならば、レジストされるでしょう」
「うーん……。なんとなくわかった……」
ダグは頷くが、ティモシーはそう答えた。
「まあ、お前はわかんなくてもいいんじゃないか?」
ティモシーの答えに、ダグはそう言った。魔術師ではないのだから関係ないと言う意味である。
「私は明日一度、国に戻る事にしました」
「え? 帰られるのですか?」
唐突に言ったレオナール言葉に聞き返したのは、ずっと静観していたルーファスだった。
「ダグのご両親もお連れしなくてはなりません。二人は、私がいない間にここの本は全て読んでくださって結構です。本棚の魔術の解除の仕方は、ブラッドリーが知っています。もしよろしければ、ダグにもお教えしましょう」
「え? 俺に? いいんですか?」
レオナールは頷く。
「この部屋から本を持ち出さなければ構いません。また、この部屋を使用しても宜しいです。それこそ貴重な物は本だけですので……」
「はい。わかりました。で、いつお戻りの予定なのでしょうか?」
「一週間ほどで戻って来る予定です」
ダグの質問に、レオナールはそう答えた。移動に三日かかる。往復すると六日。
「私がずっと自分の国にいるのなら、トンマーゾ達も連れて行くのですが、今回は置いていきます。一応、ブラッドリーが監視しておりますが、万が一という事もありますので、あの二人には絶対に近づかないで下さいね」
レオナールは、真顔で二人を見ていった。ダグもティモシーもはいっと頷く。普通、そんな所には近づけないし、ティモシーは近づきたくもなかった。
『薬師の研究途中の事故で魔力を使える者が出てしまった』これが、世に広まっている説で、この事故とは不老不死のような研究の事である。
つまりは、『最初から魔術師がいた』という説と『薬師の力で魔術師が生まれた』という説の二通り存在していた。レオナールは前説を信じ、グスターファスも同じ意見だった。
エクランド国は薬師の国だが、ここにある文献には『魔術師が生まれた』とする物は一切なかったからである。
どちらにしても、魔術師が忌み嫌われている存在には変わりはない。
「それは、魔術師ではなくなったけど、魔力はあるという事なのでしょうか?」
ダグも一応二通りの説は知っていた。レオナールが言う通りだとすれば、今ダグが質問した答えはイエスという事だろう。
「そうですね。正確には、魔力を練れなくなったという事でしょう」
「練る?」
レオナールの言葉に、疑問符を浮かべたのはティモシーだった。
それにはレオナールも軽くため息を漏らした。彼だけはティモシーが魔術師だと知っているからである。レオナールにすれば、何故知らないのかと反対に思う事であった。
「魔術師は、魔力を体に巡らせ魔術を使うのです。それを練ると言います。これを上手く出来れば、優秀な魔術師という事になるでしょう」
ティモシーはレオナールの説明になるほどという顔をして頷いていた。
(俺は知らずに練っていたって事か)
「因みに、マジックアイテムで魔力を封じる時は、その練る行為を封じますので、魔術が使えなくなります。ですが、直接魔術で封じる時は、魔術を使おうとする行為を封じます。ですので、相手が自分より格上ならば、レジストされるでしょう」
「うーん……。なんとなくわかった……」
ダグは頷くが、ティモシーはそう答えた。
「まあ、お前はわかんなくてもいいんじゃないか?」
ティモシーの答えに、ダグはそう言った。魔術師ではないのだから関係ないと言う意味である。
「私は明日一度、国に戻る事にしました」
「え? 帰られるのですか?」
唐突に言ったレオナール言葉に聞き返したのは、ずっと静観していたルーファスだった。
「ダグのご両親もお連れしなくてはなりません。二人は、私がいない間にここの本は全て読んでくださって結構です。本棚の魔術の解除の仕方は、ブラッドリーが知っています。もしよろしければ、ダグにもお教えしましょう」
「え? 俺に? いいんですか?」
レオナールは頷く。
「この部屋から本を持ち出さなければ構いません。また、この部屋を使用しても宜しいです。それこそ貴重な物は本だけですので……」
「はい。わかりました。で、いつお戻りの予定なのでしょうか?」
「一週間ほどで戻って来る予定です」
ダグの質問に、レオナールはそう答えた。移動に三日かかる。往復すると六日。
「私がずっと自分の国にいるのなら、トンマーゾ達も連れて行くのですが、今回は置いていきます。一応、ブラッドリーが監視しておりますが、万が一という事もありますので、あの二人には絶対に近づかないで下さいね」
レオナールは、真顔で二人を見ていった。ダグもティモシーもはいっと頷く。普通、そんな所には近づけないし、ティモシーは近づきたくもなかった。
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