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第四章 魔術師の国の王子
第四十六話
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部屋の前に行くとカミーユがドアの前に立っていた。
「ランフレッドです。ティモシーをお連れしました」
「入りなさい」
声を掛けると許可され、二人は中に入るとそこには、レオナールの他にルーファスも居た。
「では、レオ殿、私はこれで」
他にも人がいたとティモシーが安堵するも、ルーファスはすぐにそう言ってランフレッドと一緒に部屋を出て行った。
(結局二人っきりかよ)
「立っていないで座って結構ですよ」
ティモシーは、疲れている事もあり素直に座った。
「そういえば、今日午後から薬草の整理を手伝ったそうですね。いかがでした?」
(ブラッドリーさんに聞いたのか? 倉庫総括だって言っていたもんな)
「つ、疲れました……」
素直にそう言った。仕事の感想だと思ったからである。だが違った。
「いえ、私が聞いているのは、薬草の質の話です。手土産で持ってきたのですが……」
にっこりほほ笑んで、ティモシーを更に疲れさせた。
(ブラッドリーさんが買い付けたんじゃなくて、レオナール王子が持って来たのかよ! 大迷惑だ。まったく……)
「次は、半分でお願いします。……質は多分、よかったと思います」
いちいちチェックする暇などなかった。ただ、全体的に質はいいと思っていた。ティモシーにしてみれば、『質より量』だった!
「でしょう? 私の国で栽培した物です。私は、王宮専属薬師ですが王子なので、自分の国で薬師として仕事をする許可を頂いて、席はそのままで……」
バンッ!
「人が話していると言うのに、寝るとは何事ですか!」
レオナールがテーブルを叩く音で、ハッとティモシーは目を覚ました。疲れていたティモシーは、ついウトウトしてしまったのである。
「私の話は、つまらないと見えますね」
そう言うと、スッとレオナールは立ち上がり、ティモシーはビクッと身構えるが、彼は後ろにある棚へ向かった。
そして手をかざしてから棚を開ける。魔術でロックしてあったらしく、解除してそこから本を取り出し、ティモシーの前のテーブルの上に置く。
「えっと……」
「魔術の本です。あなた、魔術師なのに色々知らないようでしたので。それを読んでお勉強なさるといいでしょう」
レオナールは、ティモシーをそう見立てたようで当たっていた。だが、ティモシーは、魔術には興味はなかった。薬師になるつもりだったし、使えなくとも特段不便に感じていない。逆に人に知られると困るので、なくていいものだった。
「覚えても使わないと思いますが……」
「何を言ってます。使えるのなら活用しなくてどうしますか」
「……はい」
レオナールに逆らっても無駄だし、疲れていて頭も回らないので、言われた通り本を読み始めた。初歩の本だと思うが、見た事のない字で書いてあった。
「あの……読めません」
「やはり読めませんか」
ティモシーの言葉にそう返し、薄手の本をテーブルの上においた。
「それを使って、読み解くといいでしょう。頭の体操になって目も覚めると思いますよ」
にっこりほほ笑んでそう言われ、渋々読み始める。要は、自分で翻訳して読めということである。寝かせる気はないらしい。
眠くて頭に入ってこないだろうと思いつつ、眠気と戦いティモシーは、本をめくっていた。
「何、読んでいるんだ?」
ティモシーは、ハッとして振り向くと、ランフレッドが本を覗き込んでいた。ボーっとしながら読んでいた為、彼が入って来た事を声を掛けられるまで気づかなかったのである。
「どこの文字だよそれ……」
「えっと……」
「魔術の本ですよ。興味があるようでしたので、待っている間読ませておりました。明日も読みたいようですので、こちらにお連れして構いませんよ」
「はい。かしこまりました」
にっこりほほ笑むレオナールに、ランフレッドはそう言って頭を下げた。構わないと言ったが、連れてこいと言う事である。
(有無を言わせず、魔術を学ばせるつもりだよ。俺、明日からここに通わされるのか?)
そう思うと、げんなりするティモシーだった。
「ランフレッドです。ティモシーをお連れしました」
「入りなさい」
声を掛けると許可され、二人は中に入るとそこには、レオナールの他にルーファスも居た。
「では、レオ殿、私はこれで」
他にも人がいたとティモシーが安堵するも、ルーファスはすぐにそう言ってランフレッドと一緒に部屋を出て行った。
(結局二人っきりかよ)
「立っていないで座って結構ですよ」
ティモシーは、疲れている事もあり素直に座った。
「そういえば、今日午後から薬草の整理を手伝ったそうですね。いかがでした?」
(ブラッドリーさんに聞いたのか? 倉庫総括だって言っていたもんな)
「つ、疲れました……」
素直にそう言った。仕事の感想だと思ったからである。だが違った。
「いえ、私が聞いているのは、薬草の質の話です。手土産で持ってきたのですが……」
にっこりほほ笑んで、ティモシーを更に疲れさせた。
(ブラッドリーさんが買い付けたんじゃなくて、レオナール王子が持って来たのかよ! 大迷惑だ。まったく……)
「次は、半分でお願いします。……質は多分、よかったと思います」
いちいちチェックする暇などなかった。ただ、全体的に質はいいと思っていた。ティモシーにしてみれば、『質より量』だった!
「でしょう? 私の国で栽培した物です。私は、王宮専属薬師ですが王子なので、自分の国で薬師として仕事をする許可を頂いて、席はそのままで……」
バンッ!
「人が話していると言うのに、寝るとは何事ですか!」
レオナールがテーブルを叩く音で、ハッとティモシーは目を覚ました。疲れていたティモシーは、ついウトウトしてしまったのである。
「私の話は、つまらないと見えますね」
そう言うと、スッとレオナールは立ち上がり、ティモシーはビクッと身構えるが、彼は後ろにある棚へ向かった。
そして手をかざしてから棚を開ける。魔術でロックしてあったらしく、解除してそこから本を取り出し、ティモシーの前のテーブルの上に置く。
「えっと……」
「魔術の本です。あなた、魔術師なのに色々知らないようでしたので。それを読んでお勉強なさるといいでしょう」
レオナールは、ティモシーをそう見立てたようで当たっていた。だが、ティモシーは、魔術には興味はなかった。薬師になるつもりだったし、使えなくとも特段不便に感じていない。逆に人に知られると困るので、なくていいものだった。
「覚えても使わないと思いますが……」
「何を言ってます。使えるのなら活用しなくてどうしますか」
「……はい」
レオナールに逆らっても無駄だし、疲れていて頭も回らないので、言われた通り本を読み始めた。初歩の本だと思うが、見た事のない字で書いてあった。
「あの……読めません」
「やはり読めませんか」
ティモシーの言葉にそう返し、薄手の本をテーブルの上においた。
「それを使って、読み解くといいでしょう。頭の体操になって目も覚めると思いますよ」
にっこりほほ笑んでそう言われ、渋々読み始める。要は、自分で翻訳して読めということである。寝かせる気はないらしい。
眠くて頭に入ってこないだろうと思いつつ、眠気と戦いティモシーは、本をめくっていた。
「何、読んでいるんだ?」
ティモシーは、ハッとして振り向くと、ランフレッドが本を覗き込んでいた。ボーっとしながら読んでいた為、彼が入って来た事を声を掛けられるまで気づかなかったのである。
「どこの文字だよそれ……」
「えっと……」
「魔術の本ですよ。興味があるようでしたので、待っている間読ませておりました。明日も読みたいようですので、こちらにお連れして構いませんよ」
「はい。かしこまりました」
にっこりほほ笑むレオナールに、ランフレッドはそう言って頭を下げた。構わないと言ったが、連れてこいと言う事である。
(有無を言わせず、魔術を学ばせるつもりだよ。俺、明日からここに通わされるのか?)
そう思うと、げんなりするティモシーだった。
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