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第四章 魔術師の国の王子
第三十七話
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ティモシー達は、裏の来賓用のドアから王宮に入った。勿論、王宮専属薬師でも本来は立入禁止だ。そして、二階のある部屋の前で止まる。そこには兵士が一人立っていた。
ランフレッドは、緊張した趣でドアをノックする。
「ランフレッドです」
「入りなさい」
返事を返して来たのは、グスターファスだと声でわかった。ランフレッドは、ドアを開けお辞儀をする。ティモシーもそれに倣い、お辞儀をして部屋に入った。
部屋には、左側の一人掛けの椅子にグスターファスが座り、ティモシーに対して正面の二人掛けの椅子に見た事のない男性が座っていた。その後ろに紅い髪の男性が立ち、会いたくなかった人物、ブラッドリーがその男の横に立っていた。
座っている男性は、ティモシーと同じ銀の髪で長さは胸まであり癖のないストレート。凛々しく整ったその顔は、まさに王子様。年齢は二十代後半くらいに見えた。
服装はというと、純白の裝束で時折銀色に光り、詰め襟で胸元は銀の四つの紋章入りボタンで止めてある。裾は膝まであり、お尻の下あたりから両側にスレッドが入っており銀の縁取りが施されている。ズボンも同じく時折銀色に光っている。銀色の髪とよく合っていて煌びやかである。
ティモシーにも、この者がレオナールだと言われなくともわかった。
そして、その彼の後ろに立っているのが護衛だろう。
手を後ろに回し、ピシッと立っている。髪と同じ紅い瞳でジロッとティモシーを睨む様に見つめている。
「カミーユ、彼が怯えている」
ボソッと、隣に立つブラッドリーが言うと、ティモシーから目線を外した。
(ビビった……。って、俺、場違いじゃないか?)
ランフレッドがスッと前に進んで、こちらに背を向けて座っている人物の後ろに、カミーユと同じく手を後ろに回しピシッ立つ。
「ランフ、お帰り」
「只今戻りました。お時間を頂き、ありがとうございます」
レオナールの向かい側、ランフレッドの前に座るルーファスは、チラッと振り返って声を掛けた。
(俺、一体どうしたらいいんだよ)
ティモシーは、一人ポツンと立ったままだった。
「ティモシーといいましたね。こちらへどうぞ」
よく届く澄んだ声で、レオナールは自分の開いている隣をトントンと叩き言った。
(そこかよ!)
一番座りたくない席だった。後ろにはブラッドリー、横は魔術師の王子レオナール。逃げ出したいと思うもティモシーは、お伺いを立てるようにグスターファスを見た。グスターファスは、うむっと頷く。仕方なくティモシーは、レオナールの隣に、失礼しますと座った。
「申し訳ありませんね。ブラッドリーが少々やり過ぎたようで、大丈夫でしたか?」
思ったより優しく話しかけられ、はいっと答えると、レオナールはニッコリ微笑む。
ティモシーは、ブラッドリーとレオナールの関係が気になった。同じ魔術師だしレオナール側に立っている。
「ところであなた、マジックアイテムを持っているそうですね」
「え?」
ティモシーは、ドキッとした。
ランフレッドは、緊張した趣でドアをノックする。
「ランフレッドです」
「入りなさい」
返事を返して来たのは、グスターファスだと声でわかった。ランフレッドは、ドアを開けお辞儀をする。ティモシーもそれに倣い、お辞儀をして部屋に入った。
部屋には、左側の一人掛けの椅子にグスターファスが座り、ティモシーに対して正面の二人掛けの椅子に見た事のない男性が座っていた。その後ろに紅い髪の男性が立ち、会いたくなかった人物、ブラッドリーがその男の横に立っていた。
座っている男性は、ティモシーと同じ銀の髪で長さは胸まであり癖のないストレート。凛々しく整ったその顔は、まさに王子様。年齢は二十代後半くらいに見えた。
服装はというと、純白の裝束で時折銀色に光り、詰め襟で胸元は銀の四つの紋章入りボタンで止めてある。裾は膝まであり、お尻の下あたりから両側にスレッドが入っており銀の縁取りが施されている。ズボンも同じく時折銀色に光っている。銀色の髪とよく合っていて煌びやかである。
ティモシーにも、この者がレオナールだと言われなくともわかった。
そして、その彼の後ろに立っているのが護衛だろう。
手を後ろに回し、ピシッと立っている。髪と同じ紅い瞳でジロッとティモシーを睨む様に見つめている。
「カミーユ、彼が怯えている」
ボソッと、隣に立つブラッドリーが言うと、ティモシーから目線を外した。
(ビビった……。って、俺、場違いじゃないか?)
ランフレッドがスッと前に進んで、こちらに背を向けて座っている人物の後ろに、カミーユと同じく手を後ろに回しピシッ立つ。
「ランフ、お帰り」
「只今戻りました。お時間を頂き、ありがとうございます」
レオナールの向かい側、ランフレッドの前に座るルーファスは、チラッと振り返って声を掛けた。
(俺、一体どうしたらいいんだよ)
ティモシーは、一人ポツンと立ったままだった。
「ティモシーといいましたね。こちらへどうぞ」
よく届く澄んだ声で、レオナールは自分の開いている隣をトントンと叩き言った。
(そこかよ!)
一番座りたくない席だった。後ろにはブラッドリー、横は魔術師の王子レオナール。逃げ出したいと思うもティモシーは、お伺いを立てるようにグスターファスを見た。グスターファスは、うむっと頷く。仕方なくティモシーは、レオナールの隣に、失礼しますと座った。
「申し訳ありませんね。ブラッドリーが少々やり過ぎたようで、大丈夫でしたか?」
思ったより優しく話しかけられ、はいっと答えると、レオナールはニッコリ微笑む。
ティモシーは、ブラッドリーとレオナールの関係が気になった。同じ魔術師だしレオナール側に立っている。
「ところであなた、マジックアイテムを持っているそうですね」
「え?」
ティモシーは、ドキッとした。
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