37 / 192
第四章 魔術師の国の王子
第三十七話
しおりを挟む
ティモシー達は、裏の来賓用のドアから王宮に入った。勿論、王宮専属薬師でも本来は立入禁止だ。そして、二階のある部屋の前で止まる。そこには兵士が一人立っていた。
ランフレッドは、緊張した趣でドアをノックする。
「ランフレッドです」
「入りなさい」
返事を返して来たのは、グスターファスだと声でわかった。ランフレッドは、ドアを開けお辞儀をする。ティモシーもそれに倣い、お辞儀をして部屋に入った。
部屋には、左側の一人掛けの椅子にグスターファスが座り、ティモシーに対して正面の二人掛けの椅子に見た事のない男性が座っていた。その後ろに紅い髪の男性が立ち、会いたくなかった人物、ブラッドリーがその男の横に立っていた。
座っている男性は、ティモシーと同じ銀の髪で長さは胸まであり癖のないストレート。凛々しく整ったその顔は、まさに王子様。年齢は二十代後半くらいに見えた。
服装はというと、純白の裝束で時折銀色に光り、詰め襟で胸元は銀の四つの紋章入りボタンで止めてある。裾は膝まであり、お尻の下あたりから両側にスレッドが入っており銀の縁取りが施されている。ズボンも同じく時折銀色に光っている。銀色の髪とよく合っていて煌びやかである。
ティモシーにも、この者がレオナールだと言われなくともわかった。
そして、その彼の後ろに立っているのが護衛だろう。
手を後ろに回し、ピシッと立っている。髪と同じ紅い瞳でジロッとティモシーを睨む様に見つめている。
「カミーユ、彼が怯えている」
ボソッと、隣に立つブラッドリーが言うと、ティモシーから目線を外した。
(ビビった……。って、俺、場違いじゃないか?)
ランフレッドがスッと前に進んで、こちらに背を向けて座っている人物の後ろに、カミーユと同じく手を後ろに回しピシッ立つ。
「ランフ、お帰り」
「只今戻りました。お時間を頂き、ありがとうございます」
レオナールの向かい側、ランフレッドの前に座るルーファスは、チラッと振り返って声を掛けた。
(俺、一体どうしたらいいんだよ)
ティモシーは、一人ポツンと立ったままだった。
「ティモシーといいましたね。こちらへどうぞ」
よく届く澄んだ声で、レオナールは自分の開いている隣をトントンと叩き言った。
(そこかよ!)
一番座りたくない席だった。後ろにはブラッドリー、横は魔術師の王子レオナール。逃げ出したいと思うもティモシーは、お伺いを立てるようにグスターファスを見た。グスターファスは、うむっと頷く。仕方なくティモシーは、レオナールの隣に、失礼しますと座った。
「申し訳ありませんね。ブラッドリーが少々やり過ぎたようで、大丈夫でしたか?」
思ったより優しく話しかけられ、はいっと答えると、レオナールはニッコリ微笑む。
ティモシーは、ブラッドリーとレオナールの関係が気になった。同じ魔術師だしレオナール側に立っている。
「ところであなた、マジックアイテムを持っているそうですね」
「え?」
ティモシーは、ドキッとした。
ランフレッドは、緊張した趣でドアをノックする。
「ランフレッドです」
「入りなさい」
返事を返して来たのは、グスターファスだと声でわかった。ランフレッドは、ドアを開けお辞儀をする。ティモシーもそれに倣い、お辞儀をして部屋に入った。
部屋には、左側の一人掛けの椅子にグスターファスが座り、ティモシーに対して正面の二人掛けの椅子に見た事のない男性が座っていた。その後ろに紅い髪の男性が立ち、会いたくなかった人物、ブラッドリーがその男の横に立っていた。
座っている男性は、ティモシーと同じ銀の髪で長さは胸まであり癖のないストレート。凛々しく整ったその顔は、まさに王子様。年齢は二十代後半くらいに見えた。
服装はというと、純白の裝束で時折銀色に光り、詰め襟で胸元は銀の四つの紋章入りボタンで止めてある。裾は膝まであり、お尻の下あたりから両側にスレッドが入っており銀の縁取りが施されている。ズボンも同じく時折銀色に光っている。銀色の髪とよく合っていて煌びやかである。
ティモシーにも、この者がレオナールだと言われなくともわかった。
そして、その彼の後ろに立っているのが護衛だろう。
手を後ろに回し、ピシッと立っている。髪と同じ紅い瞳でジロッとティモシーを睨む様に見つめている。
「カミーユ、彼が怯えている」
ボソッと、隣に立つブラッドリーが言うと、ティモシーから目線を外した。
(ビビった……。って、俺、場違いじゃないか?)
ランフレッドがスッと前に進んで、こちらに背を向けて座っている人物の後ろに、カミーユと同じく手を後ろに回しピシッ立つ。
「ランフ、お帰り」
「只今戻りました。お時間を頂き、ありがとうございます」
レオナールの向かい側、ランフレッドの前に座るルーファスは、チラッと振り返って声を掛けた。
(俺、一体どうしたらいいんだよ)
ティモシーは、一人ポツンと立ったままだった。
「ティモシーといいましたね。こちらへどうぞ」
よく届く澄んだ声で、レオナールは自分の開いている隣をトントンと叩き言った。
(そこかよ!)
一番座りたくない席だった。後ろにはブラッドリー、横は魔術師の王子レオナール。逃げ出したいと思うもティモシーは、お伺いを立てるようにグスターファスを見た。グスターファスは、うむっと頷く。仕方なくティモシーは、レオナールの隣に、失礼しますと座った。
「申し訳ありませんね。ブラッドリーが少々やり過ぎたようで、大丈夫でしたか?」
思ったより優しく話しかけられ、はいっと答えると、レオナールはニッコリ微笑む。
ティモシーは、ブラッドリーとレオナールの関係が気になった。同じ魔術師だしレオナール側に立っている。
「ところであなた、マジックアイテムを持っているそうですね」
「え?」
ティモシーは、ドキッとした。
0
お気に入りに追加
686
あなたにおすすめの小説
超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。
烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。
その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。
「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。
あなたの思うように過ごしていいのよ」
真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。
その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
聖なる幼女のお仕事、それは…
咲狛洋々
ファンタジー
とある聖皇国の聖女が、第二皇子と姿を消した。国王と皇太子達が国中を探したが見つからないまま、五年の歳月が過ぎた。魔人が現れ村を襲ったという報告を受けた王宮は、聖騎士団を差し向けるが、すでにその村は魔人に襲われ廃墟と化していた。
村の状況を調べていた聖騎士達はそこである亡骸を見つける事となる。それこそが皇子と聖女であった。長年探していた2人を連れ戻す事は叶わなかったが、そこである者を見つける。
それは皇子と聖女、二人の子供であった。聖女の力を受け継ぎ、高い魔力を持つその子供は、二人を襲った魔人の魔力に当てられ半魔になりかけている。聖魔力の高い師団長アルバートと副団長のハリィは2人で内密に魔力浄化をする事に。しかし、救出したその子の中には別の世界の人間の魂が宿りその肉体を生かしていた。
この世界とは全く異なる考え方に、常識に振り回される聖騎士達。そして次第に広がる魔神の脅威に国は脅かされて行く。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
【完結】異世界転移で、俺だけ魔法が使えない!
林檎茶
ファンタジー
俺だけ魔法が使えないとか、なんの冗談だ?
俺、相沢ワタルは平凡で一般的な高校二年生である。
成績は中の下。友達も少なく、誇れるような特技も趣味もこれといってない。
そんなつまらない日常は突如として幕を閉じた。
ようやく終わった担任の長話。喧騒に満ちた教室、いつもより浮き足立った放課後。
明日から待ちに待った春休みだというのに突然教室内が不気味な紅色の魔法陣で満ちたかと思えば、俺は十人のクラスメイトたちと共に異世界に転移してしまったのだ。
俺たちを召喚したのはリオーネと名乗る怪しい男。
そいつから魔法の存在を知らされたクラスメイトたちは次々に魔法の根源となる『紋章』を顕現させるが、俺の紋章だけは何故か魔法を使えない紋章、通称『死人の紋章』だった。
魔法という超常的な力に歓喜し興奮するクラスメイトたち。そいつらを見て嫉妬の感情をひた隠す俺。
そんな中クラスメイトの一人が使える魔法が『転移魔法』だと知るや否やリオーネの態度は急変した。
リオーネから危険を感じた俺たちは転移魔法を使っての逃亡を試みたが、不運にも俺はただ一人迷宮の最下層へと転移してしまう。
その先で邂逅した存在に、俺がこの異世界でやらなければならないことを突きつけられる。
挫折し、絶望し、苦悩した挙句、俺はなんとしてでも──『魔王』を倒すと決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる