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第二章 仕事が始まったばかりなのに……
第十七話
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「おや? アリックじゃないか? いいご身分だな。堂々とさぼりなんてな」
その声に驚いて振り向くと、ニヤニヤした男二人が立っていた。
両方とも三十代後半ぐらいに見える。そして薬師が着る一般的な服装をしていた。
アリックは、嫌そうな顔をする。
「ティモシー行こう!」
アリックがティモシーの手を取ってその場から移動しようとすると、緑色の髪をした男が道を塞ぐ。
「ティモシーちゃんって言うの? こいつまだ仕事中のはずだから俺達が相手してやるよ」
(はあ? ちゃんって何だよ! 子供じゃねぇ! って、俺も薬師だ! 見ればわかるだろう!)
ティモシーもアリックと同じ制服でバッチも付けているが、気づいていないのか紺色の髪をした男がティモシーの手を取る。それを慌ててティモシーは振りほどく。
本当は文句を言いたいが、今口を開くと暴言を吐きそうなので、グッと我慢をする。
「お嬢ちゃん、騙されちゃいけないぜ。こいつコネで王宮に入ったんだからな!」
ティモシーはキョトンとする。
コネも何も自分に劣らない腕を持っているのは、試験の時も今日だって目にしている。
「何言ってんだ? そんなわけあるか!」
「その人達の事は放っておいていいから! いくよ!」
余程悔しいのかそれとも頭に来ているのか、アリックはティモシーの腕を掴んだ手に力を込めグッと引っ張る。
だがそのアリックの胸を道を塞いでいた男がど突く。アリックは、一歩後ろによろけた。
ここは店の目の前で四人は目立っていた。少しづつ人が集まり出す。
「それがそんな訳あるんだなぁ。そいつは試験官官長の甥っ子だぜ!」
「え?」
ティモシーは驚いてアリックを見るが、彼は道を塞いでいる男を睨んでいた。
「僕の事はいいけど、オーギュストさんを悪く言うのはやめろよ!」
「ふん。お前が王宮専属になれるわけないだろう? あの男が……」
「あんたら頭悪すぎ!」
男の言葉を遮るようにティモシーは言った。
「大体筆記試験をパスできたとして、実技は陛下の前で行うんだ。陛下もグルじゃなきゃ、お前達の言っている事は成り立たない! それにオ……私もあの場で見た! 私に劣らない腕前だ! 不正なんかしていない!」
本当は事を荒立てたくない。後でランフレッドに文句タラタラ言われるのが目に見えているからだ。だが、このままでも埒があきそうにない。
手と足を出してはいけない以上、口で負かすしかない。と思いティモシーは口を開いたのだが、彼の言葉にアリックは唖然としていた。
『私に劣らない腕前』という言葉は、余程自分に自信がなければ出てこない。しかも順位で言えば、アリックの方が上である。
「何それ」
アリックは何だかおかしくなって、クスッと笑った。
「何、笑っていやがる!」
道を塞いでいたが男が、睨みながら大声でどなった。
「おかしいからだろう? 大体、私も同じ制服でバッチ付けてるんだ! それに気づかないお前達の目が節穴なんだろう? そんな奴らが何を言ったところで痛くも痒くもない。とっとと、そこ退けよ!」
「てっめえ!」
男は顔を赤く染め、ティモシーに殴りかかるが、サッとかわす。そして、男がよろけた隙に二人は走り出した。
「ティモシー、君煽りすぎだよ!」
アリックはそう言うもスッキリしたという顔だった。そして大の大人に怯えもせず食って掛かったティモシーをさすがランフレッドが後見人だけの事はあると、妙な関心をしていた。
その声に驚いて振り向くと、ニヤニヤした男二人が立っていた。
両方とも三十代後半ぐらいに見える。そして薬師が着る一般的な服装をしていた。
アリックは、嫌そうな顔をする。
「ティモシー行こう!」
アリックがティモシーの手を取ってその場から移動しようとすると、緑色の髪をした男が道を塞ぐ。
「ティモシーちゃんって言うの? こいつまだ仕事中のはずだから俺達が相手してやるよ」
(はあ? ちゃんって何だよ! 子供じゃねぇ! って、俺も薬師だ! 見ればわかるだろう!)
ティモシーもアリックと同じ制服でバッチも付けているが、気づいていないのか紺色の髪をした男がティモシーの手を取る。それを慌ててティモシーは振りほどく。
本当は文句を言いたいが、今口を開くと暴言を吐きそうなので、グッと我慢をする。
「お嬢ちゃん、騙されちゃいけないぜ。こいつコネで王宮に入ったんだからな!」
ティモシーはキョトンとする。
コネも何も自分に劣らない腕を持っているのは、試験の時も今日だって目にしている。
「何言ってんだ? そんなわけあるか!」
「その人達の事は放っておいていいから! いくよ!」
余程悔しいのかそれとも頭に来ているのか、アリックはティモシーの腕を掴んだ手に力を込めグッと引っ張る。
だがそのアリックの胸を道を塞いでいた男がど突く。アリックは、一歩後ろによろけた。
ここは店の目の前で四人は目立っていた。少しづつ人が集まり出す。
「それがそんな訳あるんだなぁ。そいつは試験官官長の甥っ子だぜ!」
「え?」
ティモシーは驚いてアリックを見るが、彼は道を塞いでいる男を睨んでいた。
「僕の事はいいけど、オーギュストさんを悪く言うのはやめろよ!」
「ふん。お前が王宮専属になれるわけないだろう? あの男が……」
「あんたら頭悪すぎ!」
男の言葉を遮るようにティモシーは言った。
「大体筆記試験をパスできたとして、実技は陛下の前で行うんだ。陛下もグルじゃなきゃ、お前達の言っている事は成り立たない! それにオ……私もあの場で見た! 私に劣らない腕前だ! 不正なんかしていない!」
本当は事を荒立てたくない。後でランフレッドに文句タラタラ言われるのが目に見えているからだ。だが、このままでも埒があきそうにない。
手と足を出してはいけない以上、口で負かすしかない。と思いティモシーは口を開いたのだが、彼の言葉にアリックは唖然としていた。
『私に劣らない腕前』という言葉は、余程自分に自信がなければ出てこない。しかも順位で言えば、アリックの方が上である。
「何それ」
アリックは何だかおかしくなって、クスッと笑った。
「何、笑っていやがる!」
道を塞いでいたが男が、睨みながら大声でどなった。
「おかしいからだろう? 大体、私も同じ制服でバッチ付けてるんだ! それに気づかないお前達の目が節穴なんだろう? そんな奴らが何を言ったところで痛くも痒くもない。とっとと、そこ退けよ!」
「てっめえ!」
男は顔を赤く染め、ティモシーに殴りかかるが、サッとかわす。そして、男がよろけた隙に二人は走り出した。
「ティモシー、君煽りすぎだよ!」
アリックはそう言うもスッキリしたという顔だった。そして大の大人に怯えもせず食って掛かったティモシーをさすがランフレッドが後見人だけの事はあると、妙な関心をしていた。
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