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第二章 仕事が始まったばかりなのに……
第十六話
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昼食後、三人は調合室に戻った。
ベネットから午後からの指示が出されるのである。
三人は、自分の席に立っていた。
「ティモシーとアリックはダイヤ病院に配達をダグは薬剤庫のチェックをお願いします」
そう言うと彼女は、ティモシーとアリックの前に小包をダグの前には鍵を置いた。
薬の配達は基本薬師が行う為、王宮で作った物は王宮専属薬師が配達に行く。勿論余程の物でなければ下っ端の新人の仕事である。しかも歩きだ。
ダイヤ病院は徒歩で約四十分。もし二時間以上かかる場所でも悪天候を除き、歩いて配達に行く規則になっていて、一度王宮に戻り届け終わった事の報告もしなければならない。
今回、ティモシーとアリックにしたのは、ティモシーに一般的常識の知識を教える為で面倒見のいいアリックが適任と見たからだ。
ティモシーは、めんどくさいと思うものの街に行ける事に素直に喜んだ。ランフレッドは、連れて行ってくれそうもない。一人で出掛けるなど言語道断だろう。でも仕事なら文句は言えまい。
「嬉しそうだな。二人共」
面白くなさそうにダグは言う。
アリックもティモシーも嬉しそうな顔をしていたからだ。特にティモシーの笑顔など初めてだった。
(は! 顔に出ていたか!)
慌てて顔を引き締める。
「はしゃぎ過ぎないようにね!」
ベネットは、ティモシーに釘を刺す。
(はしゃぐって、子供じゃないんだから!)
と思いつつもこくんと頷いておく。
それを見たダグは、声は殺しているが肩を震わせ笑っていた。ついティモシーは彼を睨む。
こうしてティモシーとアリックの二人は、ダイヤ病院に向かった。
アリックが『街中の見学は帰りだよ』と王宮を出る時に言っていたので、ティモシーは楽しみで仕方がない。
薬師にとって四十分など時間にしてみれば短い。何せ普段は、数時間立ちっぱなしで作業をするのだから。
アリックも楽しみだった。ベネットからティモシーにある程度の常識を教えて欲しいと言われ、少しぐらいなら寄り道の許可をもらっているからである。なので二人の足取りは軽かった。
二人は無事ダイヤ病院に荷物を届け、待ちに待った自由時間? である。
ティモシーにとって初めて見る物ばかり。
村には、日用必需品を売っている雑貨しかなかった。こういう余暇を楽しむ為の物などない。あったとしても見に行く暇もなかったが……。
薬師を目指すティモシーは、普段は母親の手伝いをし、空いた時間には父親のオズマンドが惜しみなく稽古を付けてくれていた。
そんな生活がティモシーにとって普通だったので、特段不満はなかった。
「すごーい。色んなものがある」
ティモシーは、目をキラキラさせて色んな物を見てまわった。
(こんなの見たら村を出て行って、都会に住みたくなるわけだ。でも俺は戻らないと……。だから一年間はここで楽しもう!)
一年後に戻る気持ちは、街中を見てまわっても揺るがなかった。
ティモシーにとって、魅力的なこれらの物より家族が大事だった。自分が魔術師だとバレれば、必然的に親のどちらかが魔術師だという事になり両親も危険にさらされるのだ。
そしてダグの存在も大きい。同じ魔術師だが、魔術を使ってまで手に入れた地位だ。邪魔だと思われれば、何をしてくるかわからない。なのでティモシーにとって彼は脅威だった。
ベネットから午後からの指示が出されるのである。
三人は、自分の席に立っていた。
「ティモシーとアリックはダイヤ病院に配達をダグは薬剤庫のチェックをお願いします」
そう言うと彼女は、ティモシーとアリックの前に小包をダグの前には鍵を置いた。
薬の配達は基本薬師が行う為、王宮で作った物は王宮専属薬師が配達に行く。勿論余程の物でなければ下っ端の新人の仕事である。しかも歩きだ。
ダイヤ病院は徒歩で約四十分。もし二時間以上かかる場所でも悪天候を除き、歩いて配達に行く規則になっていて、一度王宮に戻り届け終わった事の報告もしなければならない。
今回、ティモシーとアリックにしたのは、ティモシーに一般的常識の知識を教える為で面倒見のいいアリックが適任と見たからだ。
ティモシーは、めんどくさいと思うものの街に行ける事に素直に喜んだ。ランフレッドは、連れて行ってくれそうもない。一人で出掛けるなど言語道断だろう。でも仕事なら文句は言えまい。
「嬉しそうだな。二人共」
面白くなさそうにダグは言う。
アリックもティモシーも嬉しそうな顔をしていたからだ。特にティモシーの笑顔など初めてだった。
(は! 顔に出ていたか!)
慌てて顔を引き締める。
「はしゃぎ過ぎないようにね!」
ベネットは、ティモシーに釘を刺す。
(はしゃぐって、子供じゃないんだから!)
と思いつつもこくんと頷いておく。
それを見たダグは、声は殺しているが肩を震わせ笑っていた。ついティモシーは彼を睨む。
こうしてティモシーとアリックの二人は、ダイヤ病院に向かった。
アリックが『街中の見学は帰りだよ』と王宮を出る時に言っていたので、ティモシーは楽しみで仕方がない。
薬師にとって四十分など時間にしてみれば短い。何せ普段は、数時間立ちっぱなしで作業をするのだから。
アリックも楽しみだった。ベネットからティモシーにある程度の常識を教えて欲しいと言われ、少しぐらいなら寄り道の許可をもらっているからである。なので二人の足取りは軽かった。
二人は無事ダイヤ病院に荷物を届け、待ちに待った自由時間? である。
ティモシーにとって初めて見る物ばかり。
村には、日用必需品を売っている雑貨しかなかった。こういう余暇を楽しむ為の物などない。あったとしても見に行く暇もなかったが……。
薬師を目指すティモシーは、普段は母親の手伝いをし、空いた時間には父親のオズマンドが惜しみなく稽古を付けてくれていた。
そんな生活がティモシーにとって普通だったので、特段不満はなかった。
「すごーい。色んなものがある」
ティモシーは、目をキラキラさせて色んな物を見てまわった。
(こんなの見たら村を出て行って、都会に住みたくなるわけだ。でも俺は戻らないと……。だから一年間はここで楽しもう!)
一年後に戻る気持ちは、街中を見てまわっても揺るがなかった。
ティモシーにとって、魅力的なこれらの物より家族が大事だった。自分が魔術師だとバレれば、必然的に親のどちらかが魔術師だという事になり両親も危険にさらされるのだ。
そしてダグの存在も大きい。同じ魔術師だが、魔術を使ってまで手に入れた地位だ。邪魔だと思われれば、何をしてくるかわからない。なのでティモシーにとって彼は脅威だった。
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