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第二章 仕事が始まったばかりなのに……
第十四話
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ティモシーは、アリックに連れられて外へ出た。バルコニーの柵につかまり立って風に当たる。
爽やかに吹く風が、ティモシーの髪をサラサラとなびかせ、その度にキラキラと銀色に輝く。その様は、少女にしか見えない。
アリックは、ティモシーにしばし見惚れていた。
「おーい!」
どこからか声が掛けられ、それが下からど気づきティモシー達は、そこに目をやった。
王宮の裏手にあたり、何もない広場に二人の人影が見えた。その奥には森が広がっている。
その二人はルーファスとランフレッドだった。
ルーファスは髪は灰色でレモン色の衣装の為、ランフレッドの方が遠くから見ると目立つ。その彼が手を大きく振
っている。
「え? ルーファス王子?」
「誰だあれ?」
アリックは王子に驚くもダグの方は手を振っているランフレッドに目が行ったようだ。
(げっ! ランフレッド!)
ティモシーは、何故そんな所にいると驚く。
「今、そっちに行くから!」
ランフレッドがそう言うと、二人はバルコニーの真下にある扉から王宮の中に入って行った。
「なんでここに来るんだ?」
不思議そうにダグは言うもアリックはわからないと首を横に振った。
暫くすると、言ったように二人はバルコニー来た。
「よう。仕事はどうだ?」
ランフレッドはティモシーに声を掛ける。
「え? ティモシーの知り合い?」
「あ、思い出した。試験の時、王子の隣にいた護衛だ」
なぜ、こんな人と知り合いなのだと二人は、ティモシーを見た。
注目を浴びるティモシーは、ムッとしたままランフレッドを睨んだ。
「俺はティモシーの保護者兼後見人だ。あ、それと見ての通りルー……ファス王子の護衛でもある。宜しくな」
「私の方がついでなのか?」
ランフレッドの紹介にルーファスは不服を述べる。
「ティモシーは、村から出て来たからこっちの常識を知らないみたいなんだ。ご迷惑を掛けるとは思うが宜しく頼む。それと、変な気は起こすなよ」
ついでの様に付け加えた『変な気を起こすなよ』が、ランフレッドが伝えに来た事だった。自分の立場を利用し、事が起きないように事前に牽制するのが目的だ。
だが二人にはそれよりも、ランフレッドがルーファスの言葉を無視した事の方が驚きで困惑する。
「あ、そうだ。午後からも仕事あったみたい」
そんな二人に気づかずに、ティモシーは丁度いいとばかりに伝えた。それにも二人は驚く。
「やっぱり? 変だと思ったんだ。午後から配達とかあるはずなのにってさ……」
「え! 知ってたの? 何で教えてくれなかったんだ!」
「知るか! ないと言い切ったのはお前だろう?」
二人の言い合いに、アリックもダグも茫然とする。それは勿論、ルーファスの前で繰り広げられているからである。
「ランフ!」
「はい。なんでしょうか?」
ルーファスに呼ばれたランフレッドは、皆の前なので丁寧に受け答えをするも今更だった。
爽やかに吹く風が、ティモシーの髪をサラサラとなびかせ、その度にキラキラと銀色に輝く。その様は、少女にしか見えない。
アリックは、ティモシーにしばし見惚れていた。
「おーい!」
どこからか声が掛けられ、それが下からど気づきティモシー達は、そこに目をやった。
王宮の裏手にあたり、何もない広場に二人の人影が見えた。その奥には森が広がっている。
その二人はルーファスとランフレッドだった。
ルーファスは髪は灰色でレモン色の衣装の為、ランフレッドの方が遠くから見ると目立つ。その彼が手を大きく振
っている。
「え? ルーファス王子?」
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アリックは王子に驚くもダグの方は手を振っているランフレッドに目が行ったようだ。
(げっ! ランフレッド!)
ティモシーは、何故そんな所にいると驚く。
「今、そっちに行くから!」
ランフレッドがそう言うと、二人はバルコニーの真下にある扉から王宮の中に入って行った。
「なんでここに来るんだ?」
不思議そうにダグは言うもアリックはわからないと首を横に振った。
暫くすると、言ったように二人はバルコニー来た。
「よう。仕事はどうだ?」
ランフレッドはティモシーに声を掛ける。
「え? ティモシーの知り合い?」
「あ、思い出した。試験の時、王子の隣にいた護衛だ」
なぜ、こんな人と知り合いなのだと二人は、ティモシーを見た。
注目を浴びるティモシーは、ムッとしたままランフレッドを睨んだ。
「俺はティモシーの保護者兼後見人だ。あ、それと見ての通りルー……ファス王子の護衛でもある。宜しくな」
「私の方がついでなのか?」
ランフレッドの紹介にルーファスは不服を述べる。
「ティモシーは、村から出て来たからこっちの常識を知らないみたいなんだ。ご迷惑を掛けるとは思うが宜しく頼む。それと、変な気は起こすなよ」
ついでの様に付け加えた『変な気を起こすなよ』が、ランフレッドが伝えに来た事だった。自分の立場を利用し、事が起きないように事前に牽制するのが目的だ。
だが二人にはそれよりも、ランフレッドがルーファスの言葉を無視した事の方が驚きで困惑する。
「あ、そうだ。午後からも仕事あったみたい」
そんな二人に気づかずに、ティモシーは丁度いいとばかりに伝えた。それにも二人は驚く。
「やっぱり? 変だと思ったんだ。午後から配達とかあるはずなのにってさ……」
「え! 知ってたの? 何で教えてくれなかったんだ!」
「知るか! ないと言い切ったのはお前だろう?」
二人の言い合いに、アリックもダグも茫然とする。それは勿論、ルーファスの前で繰り広げられているからである。
「ランフ!」
「はい。なんでしょうか?」
ルーファスに呼ばれたランフレッドは、皆の前なので丁寧に受け答えをするも今更だった。
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