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第一章 薬師になろうとしただけなのに……
第五話
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まず初めに、不正を行った者は二度とこの国では試験及び仕事は出来ない。と口火を切った。
最初に筆記が行われ、実技は呼ばれるまでそのままで待機。呼ぶときは番号で呼ぶ。
筆記試験の点数がよかった者から壇上に上がり実技を行う。
勿論、筆記試験に受かった者だけである。
その後も合格者が発表になるまで席で待機。
合格者は呼ばれるので、壇上に上がる。
そして、そのまま認定式を行い終了となる。
ランフレッドの言っていた通りだった。
説明が終わると、試験官達が一斉に問題用紙とペンを配る。
そして開始の掛け声で、六十分一本勝負が始まった。
ひたすらペンを走らせる音が響くのみ。
(これなら余裕だ)
ティモシーは、自信満々に答案用紙を埋めていく。
選択問題はない。全て自分の言葉で書くようになっていた。
そして一時間後、終わりの合図で用紙は回収される。
それから席で待つこと三十分。オーギュストが壇上にあがった。
(やっと来た、待ちくたびれた……)
何もする事もなく、席もそれぞれ離れているので話す事も出来ない。なので、オーギュストが壇上に上がる前から会場は静かだった。
「お待たせしました。三名ずつお呼びします。十七番、二十二番、九十八番。壇上へ」
(やっと実技が出来る! 兎に角大人しくしていれば大丈夫!)
呼ばれた三人は壇上に上がった。
壇上にはテーブルが三つ用意されていて、その更に奥には、豪華な椅子が二つ。
壇上の袖から貫禄のあるエクランド国王グスターファスとその護衛。そしてその後ろに続き、王子のルーファスと護衛が三人の前に立った。
勿論、ティモシーは国王に会うのは初めてである。
グスターファスは、がっしりした体格でその鋭い灰色の瞳を細め三人を見渡すと、頷いた。
三人は、グスターファス達の方を向いて作業をする事になる。
合図と共にテーブルの上にある道具と材料を自由に使って、指示された物を作製する。
ティモシーは気がかりな事があった。それは実技の事ではなく、目の前にいる人物だった。
ルーファスの横にランフレッドが立っていたのである。彼は、ティモシーと目が合うと、軽く頷いた。
(なんでそんな所にいるんだ? もしかして護衛の人物って……王子?)
ルーファスの横にいるのだから、彼はかなりの腕前なのだろう。だとすると……。ティモシーは、思っていたのと違うかも知れないと考える。
万が一、ティモシーが薬師になる事を貫いた時の事を考えて、オズマンドはティモシーを彼に預けた事になる。
ふとティモシーは、横から何かを感じチラッと盗み見て、大きくて赤い瞳を更に大きくする。
(魔術を使ってる! 隣の人、魔術師だ! あり得ないんだけど!)
ティモシーは、ヒア汗が出てくるのを感じる。
この世界の魔術師は、今は一握り。しかも術が使われたとして、普通の人でも見えるように使われなければ気づけない。
例えば、手から炎を出すなどである。
ティモシーの横にいる男性の様に、作業する時に使われても気づけない。
そう。ティモシーもまた魔術師だったのである。彼が一年たったら村に戻りたいという理由はそれだった。
母親の側に居たいからではなく、ここに居て魔術師だとバレたくないからだった。
(見なかった事にしよう。この人、落ちてくれないかな……)
ティモシーは、係わって自分も魔術師だとバレるのを恐れたのである。知られれば最悪、殺されるかも知れない。奇特な事に、魔術師の国と名乗っている国もあると聞いてはいるが……。
しかし、ティモシーの隣の人物は受かるだろう。何せずるをしているのだから。最悪、この人物とティモシーだけ合格というのもあり得るのである。それだけは勘弁してほしいと思うティモシーだった。
最初に筆記が行われ、実技は呼ばれるまでそのままで待機。呼ぶときは番号で呼ぶ。
筆記試験の点数がよかった者から壇上に上がり実技を行う。
勿論、筆記試験に受かった者だけである。
その後も合格者が発表になるまで席で待機。
合格者は呼ばれるので、壇上に上がる。
そして、そのまま認定式を行い終了となる。
ランフレッドの言っていた通りだった。
説明が終わると、試験官達が一斉に問題用紙とペンを配る。
そして開始の掛け声で、六十分一本勝負が始まった。
ひたすらペンを走らせる音が響くのみ。
(これなら余裕だ)
ティモシーは、自信満々に答案用紙を埋めていく。
選択問題はない。全て自分の言葉で書くようになっていた。
そして一時間後、終わりの合図で用紙は回収される。
それから席で待つこと三十分。オーギュストが壇上にあがった。
(やっと来た、待ちくたびれた……)
何もする事もなく、席もそれぞれ離れているので話す事も出来ない。なので、オーギュストが壇上に上がる前から会場は静かだった。
「お待たせしました。三名ずつお呼びします。十七番、二十二番、九十八番。壇上へ」
(やっと実技が出来る! 兎に角大人しくしていれば大丈夫!)
呼ばれた三人は壇上に上がった。
壇上にはテーブルが三つ用意されていて、その更に奥には、豪華な椅子が二つ。
壇上の袖から貫禄のあるエクランド国王グスターファスとその護衛。そしてその後ろに続き、王子のルーファスと護衛が三人の前に立った。
勿論、ティモシーは国王に会うのは初めてである。
グスターファスは、がっしりした体格でその鋭い灰色の瞳を細め三人を見渡すと、頷いた。
三人は、グスターファス達の方を向いて作業をする事になる。
合図と共にテーブルの上にある道具と材料を自由に使って、指示された物を作製する。
ティモシーは気がかりな事があった。それは実技の事ではなく、目の前にいる人物だった。
ルーファスの横にランフレッドが立っていたのである。彼は、ティモシーと目が合うと、軽く頷いた。
(なんでそんな所にいるんだ? もしかして護衛の人物って……王子?)
ルーファスの横にいるのだから、彼はかなりの腕前なのだろう。だとすると……。ティモシーは、思っていたのと違うかも知れないと考える。
万が一、ティモシーが薬師になる事を貫いた時の事を考えて、オズマンドはティモシーを彼に預けた事になる。
ふとティモシーは、横から何かを感じチラッと盗み見て、大きくて赤い瞳を更に大きくする。
(魔術を使ってる! 隣の人、魔術師だ! あり得ないんだけど!)
ティモシーは、ヒア汗が出てくるのを感じる。
この世界の魔術師は、今は一握り。しかも術が使われたとして、普通の人でも見えるように使われなければ気づけない。
例えば、手から炎を出すなどである。
ティモシーの横にいる男性の様に、作業する時に使われても気づけない。
そう。ティモシーもまた魔術師だったのである。彼が一年たったら村に戻りたいという理由はそれだった。
母親の側に居たいからではなく、ここに居て魔術師だとバレたくないからだった。
(見なかった事にしよう。この人、落ちてくれないかな……)
ティモシーは、係わって自分も魔術師だとバレるのを恐れたのである。知られれば最悪、殺されるかも知れない。奇特な事に、魔術師の国と名乗っている国もあると聞いてはいるが……。
しかし、ティモシーの隣の人物は受かるだろう。何せずるをしているのだから。最悪、この人物とティモシーだけ合格というのもあり得るのである。それだけは勘弁してほしいと思うティモシーだった。
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