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第63話 負の遺産
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どうしてこうなるんだ。
「僕ってどんな疑いがかかってるんですか? レモンスさんの様になるって思ってるんですか?」
「このベルがどういう物か知っているか?」
なぜかキモンさんが、木箱にベルを入れている。それをチラッと見てディルダスさんが聞いた。
「どういうって、魔素酔いしたモノを従える事をが出来る……」
「そうだな。では、どういう目的で作られた物か知っているか」
「え? 目的? いえ……」
『よい事に使う目的とは思えんが』
「これは、かつての戦争の負の遺産だ」
戦争!? これを戦争に使ったっていうの?
『モンスターを戦争の道具にしたのか?』
そういう話はなかったの?
『私は、戦争を体験していない。死んでいるからな。ただ気になるのは、呪いがあるマジックアイテムだという事だ。普通そんなものを戦争で使わないと思うのだが?』
「このベルは、商売を営む貴族が戦争で儲けようとこっそり売りつけたようだ。はじめはよかった。モンスターを操って攻め入っていたようだからな。だが、ベルを操作している兵士が仲間まで襲うように命令し、結局部隊は壊滅したと書かれている」
そっか。ちょっとした感情が増幅していったんだ。
「そしてそれを作ったのがリレイスタルだと伝えられている」
「え!」
『何!? 私はそんな物を作っていないぞ』
「あなたは、魔素酔いしたモンスターから魔素を抜く魔法も持っていますよね? あの核だらけになったのは、その魔法を使用したからではありませんか? 戦争の時と同じ事をしようとした。違いますか?」
「え……」
ディルダスさんに続きキモンさんが言った言葉に僕は愕然とした。戦争の時もそういう事があったというの?
『確かに女神の雷は、頼まれて作った魔法だ。ただ呪いがひど過ぎて却下された魔法だった。まさか戦争に使用するつもりだったとは思いもよらなかったがな』
それ本当? また騙してない?
『信じないなら仕方がない。私の死後、私の名を騙り似たような、いや私のより出来がいい魔法を作った者が存在したようだな。なんとも複雑な気分だ。なぜ私の名を騙ったのか……』
確かに。もしリレイスタルさんが言っている事が本当なら騙る必要ないよね?
「違うというのでしたらこれを飲んで証明してください」
「それって……」
「そうです。あなたが作ったリムーバルです」
キモンさんが、証明して見せろと言ってテーブルに置いた。レモンスさんには飲ませなかったんだ。
「これは呪いを消すのではなく、魔法を消すアイテムですよね?」
ぎろりとキモンさんに睨みつけられた。
別に騙したわけじゃないんだけどな。僕の中では、魔法を消す=呪いを消すって事だったから。
『キモンは、元からマルリードの行動を疑っていたからな。今回もそう見えたのだろうな』
ねえ、これ飲んだら契約魔法は全て消えるの?
『あぁ。消えるだろう』
全員、僕の答えを待っている。
『消さない方法が一つだけある。聞くか?』
え?
『私を信用するなら話そうと言っているのだ』
聞きたい。でも信用できるかと問われると正直、信用するとは言えない。
『まあそれもそうか。私が出来るのは嘘をつくぐらいだからな。でもそれで、君が多大な被害を被ったわけではないだろう?』
……かもしれないけど。怖いんだ。リレイスタルさんは、本当は僕に何をさせようとしているの?
『言っただろう? 自分の魔法を集めたいと。後は錬金をしたい。それだけだ。それも言ったところで、君がしなければそれまでだ。私には何もできないからな。自分が作ったのではないと証明すらできん』
「マルリード、飲めないか?」
そう聞いてきたディルダスさんを見ると、真剣な眼差しで僕を見ていた。
「飲めます。飲んで僕は関係ないと証明します」
それで、魔法を消さない方法って?
『証明するといいながら消さないのか。いいだろう。成功するかわからないが、錬金をするといい。マジックリカバリーを作ったようにな。ただし時間は掛けられない。バレる可能性がある。問いかけられたらすぐに契約して飲み干す。魔法の内容は、リムーバルの無効と契約魔法のシークレットだ』
あ、なるほど。
ロメイトさんが僕を離した。自由になった右手でリムーバルを手に取る。それをみんなが注目して見ていた。
僕は、右手に集中する。
リレイスタルさんを信用したわけじゃないけど、消してしまうのは惜しいから。ディルダスさんごめんなさい!
ステータスブリンカーを契約し、魔法としますか?
はい!
――契約魔法『ステータスブリンカー』を取得しました。
僕は、契約内容も確認せずに契約し、リムーバルを飲み干したのだった!
「僕ってどんな疑いがかかってるんですか? レモンスさんの様になるって思ってるんですか?」
「このベルがどういう物か知っているか?」
なぜかキモンさんが、木箱にベルを入れている。それをチラッと見てディルダスさんが聞いた。
「どういうって、魔素酔いしたモノを従える事をが出来る……」
「そうだな。では、どういう目的で作られた物か知っているか」
「え? 目的? いえ……」
『よい事に使う目的とは思えんが』
「これは、かつての戦争の負の遺産だ」
戦争!? これを戦争に使ったっていうの?
『モンスターを戦争の道具にしたのか?』
そういう話はなかったの?
『私は、戦争を体験していない。死んでいるからな。ただ気になるのは、呪いがあるマジックアイテムだという事だ。普通そんなものを戦争で使わないと思うのだが?』
「このベルは、商売を営む貴族が戦争で儲けようとこっそり売りつけたようだ。はじめはよかった。モンスターを操って攻め入っていたようだからな。だが、ベルを操作している兵士が仲間まで襲うように命令し、結局部隊は壊滅したと書かれている」
そっか。ちょっとした感情が増幅していったんだ。
「そしてそれを作ったのがリレイスタルだと伝えられている」
「え!」
『何!? 私はそんな物を作っていないぞ』
「あなたは、魔素酔いしたモンスターから魔素を抜く魔法も持っていますよね? あの核だらけになったのは、その魔法を使用したからではありませんか? 戦争の時と同じ事をしようとした。違いますか?」
「え……」
ディルダスさんに続きキモンさんが言った言葉に僕は愕然とした。戦争の時もそういう事があったというの?
『確かに女神の雷は、頼まれて作った魔法だ。ただ呪いがひど過ぎて却下された魔法だった。まさか戦争に使用するつもりだったとは思いもよらなかったがな』
それ本当? また騙してない?
『信じないなら仕方がない。私の死後、私の名を騙り似たような、いや私のより出来がいい魔法を作った者が存在したようだな。なんとも複雑な気分だ。なぜ私の名を騙ったのか……』
確かに。もしリレイスタルさんが言っている事が本当なら騙る必要ないよね?
「違うというのでしたらこれを飲んで証明してください」
「それって……」
「そうです。あなたが作ったリムーバルです」
キモンさんが、証明して見せろと言ってテーブルに置いた。レモンスさんには飲ませなかったんだ。
「これは呪いを消すのではなく、魔法を消すアイテムですよね?」
ぎろりとキモンさんに睨みつけられた。
別に騙したわけじゃないんだけどな。僕の中では、魔法を消す=呪いを消すって事だったから。
『キモンは、元からマルリードの行動を疑っていたからな。今回もそう見えたのだろうな』
ねえ、これ飲んだら契約魔法は全て消えるの?
『あぁ。消えるだろう』
全員、僕の答えを待っている。
『消さない方法が一つだけある。聞くか?』
え?
『私を信用するなら話そうと言っているのだ』
聞きたい。でも信用できるかと問われると正直、信用するとは言えない。
『まあそれもそうか。私が出来るのは嘘をつくぐらいだからな。でもそれで、君が多大な被害を被ったわけではないだろう?』
……かもしれないけど。怖いんだ。リレイスタルさんは、本当は僕に何をさせようとしているの?
『言っただろう? 自分の魔法を集めたいと。後は錬金をしたい。それだけだ。それも言ったところで、君がしなければそれまでだ。私には何もできないからな。自分が作ったのではないと証明すらできん』
「マルリード、飲めないか?」
そう聞いてきたディルダスさんを見ると、真剣な眼差しで僕を見ていた。
「飲めます。飲んで僕は関係ないと証明します」
それで、魔法を消さない方法って?
『証明するといいながら消さないのか。いいだろう。成功するかわからないが、錬金をするといい。マジックリカバリーを作ったようにな。ただし時間は掛けられない。バレる可能性がある。問いかけられたらすぐに契約して飲み干す。魔法の内容は、リムーバルの無効と契約魔法のシークレットだ』
あ、なるほど。
ロメイトさんが僕を離した。自由になった右手でリムーバルを手に取る。それをみんなが注目して見ていた。
僕は、右手に集中する。
リレイスタルさんを信用したわけじゃないけど、消してしまうのは惜しいから。ディルダスさんごめんなさい!
ステータスブリンカーを契約し、魔法としますか?
はい!
――契約魔法『ステータスブリンカー』を取得しました。
僕は、契約内容も確認せずに契約し、リムーバルを飲み干したのだった!
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