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第49話 追いかけてはいないけど
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さてと、スライムを狩りに行くかな。その前に、核の取り方を聞いてから行こう。
『本当にほっとく気なのだな』
まだ言うの? リレイスタルさんは、錬金術をしたいだけでしょう?
『バレたか。バックアップしてくれる人物がいるのといないのとでは、作る物に掛けられるお金が違うのだぞ? わかっているか?』
もう作る必要ないんじゃない?
『私が作ったマジックアイテムを探し出すアイテムが必要だろう』
それは、追々ね。言っておくけどその回収は、冒険者をやっていくついでにする事だから。メインじゃないよ。
『では錬金自体もしないつもりなのか?』
必要ない限りしないよ。
『うーむ。私の楽しみが……』
はいはい。残念だったね。
『だんだん私の扱いが雑になってきていないか?』
「あ、ロロリーさん、スライムの核の取り方ってご存じですか? 道具とかどこで売ってるでしょうか?」
『………』
「あらとうとう自分でポーションでも作る事にしたの?」
「まぁ。そんなところです」
「そうね。フェニックスというマジックアイテム屋があるんだけど、そこに売っていると思うわ」
「ありがとうございます。行ってみます」
「頑張ってね」
フェニックスかぁ。どこかで聞いたような。
『キモンが口にしていただろうに』
あ、あの時か。確か村の奥にあるお店だったような。
『知ってはいたのか』
冒険者になって、村をぐるっと見て周った時ね。僕たちが買う事はないだろうと思っていたんだけどね。
『本当にこっちなのか? だいぶ店が立ち並ぶ場所から離れたが』
うん。ここしか思いつかないから。ほら見えてきた……って。なんでいるの?
『知らないが、先回りしていたとすると凄いな』
「え! マルリードさん! 追いかけて来てくれたのね!」
追いかけて……だいぶ時間が経っていると思うんだけど。
「えっと、ここに買い物に。で、チェミンさんは、こんな所で何をしているの?」
そう聞くと明らかにムッとした顔をして、なぜかビシッと建物を指さした。
「フェニモード家の次男スーレン・フェニモードさんがここにいるのよ!」
「え? このお店の経営者?」
「ですからここの経営は、長女の夫婦が行っており髭を生やした人物など見かけた事ありませんから。とりあえず、一度戻りましょう。エドラーラさんが迎えに来ますよ。あなたのせいでもあるのですからマルリードさんも止めてくださいよ」
なぜ僕のせいなんだ。
『止めてやれ。彼の仕事は本来、彼女の警護だろう。ここまでする必要もないが、押しかけては困るのだろう』
だから関わるのが嫌だったんだ。
「この村に住んでいるって言っていたのだからここでしょう」
「もう。ここで騒いだら迷惑だから行くよ」
僕は、チェミンさんの腕を掴んで商店街へとグイっと引っ張って行くと、大人しく彼女はついてきた。
「あのね……」
うわぁ。何?
『耳まで真っ赤でうつむいているな。意外と純な娘だな。手をつないだぐらいで』
手! あ!
僕は、パッと手を離した。
「ご、ごめん」
『君もか』
「よかった。エドラーラさんが来た」
護衛の冒険者が、安堵の声を漏らす。馬車が近づいてきて、停車した。
「ウー」
馬車が目の前で停止して、チェミンさんのお父さんが降りてきた。その顔は満面の笑顔だ。
「マルリードさん。取引合意なのですね。さあどうぞ。詳しい打ち合わせは、馬車の中で」
「え? ち、違います。お断りします。僕は、冒険者を続けたいので」
「ウー」
「おやそうですか? 無償で作って頂いたのでそういうのがお好きなのかと」
「いえ、あれは特別です。お、お世話になっているので」
本当は、リレイスタルさんのせいだからだけどね。
「ウー」
「そうですか。ありがとうございます。ところで先ほどから唸り声が聞こえませんか?」
「ウー」
「本当だ」
『リルだな』
「え?」
ポーチを見ると、ウーっとリルが唸っていた!
『どうして気づかない……』
「リル! 大丈夫だから」
「ポーチに子犬ですか!?」
そうだった。こっそり連れて歩いていたから知らないんだった。
「ウー」
「あの、僕はここで失礼します!」
もしかぶりついたりしたら大変だ。僕は慌ててその場を離れたのだった。って、なんでチェミンさんのお父さんに威嚇しているんだ。
『………』
そして今度は暴れているし。
「元気になったのだ。外に出たいのだろう」
仕方がない部屋に戻るかな。外で離すわけにはいかないからね。
『本当にほっとく気なのだな』
まだ言うの? リレイスタルさんは、錬金術をしたいだけでしょう?
『バレたか。バックアップしてくれる人物がいるのといないのとでは、作る物に掛けられるお金が違うのだぞ? わかっているか?』
もう作る必要ないんじゃない?
『私が作ったマジックアイテムを探し出すアイテムが必要だろう』
それは、追々ね。言っておくけどその回収は、冒険者をやっていくついでにする事だから。メインじゃないよ。
『では錬金自体もしないつもりなのか?』
必要ない限りしないよ。
『うーむ。私の楽しみが……』
はいはい。残念だったね。
『だんだん私の扱いが雑になってきていないか?』
「あ、ロロリーさん、スライムの核の取り方ってご存じですか? 道具とかどこで売ってるでしょうか?」
『………』
「あらとうとう自分でポーションでも作る事にしたの?」
「まぁ。そんなところです」
「そうね。フェニックスというマジックアイテム屋があるんだけど、そこに売っていると思うわ」
「ありがとうございます。行ってみます」
「頑張ってね」
フェニックスかぁ。どこかで聞いたような。
『キモンが口にしていただろうに』
あ、あの時か。確か村の奥にあるお店だったような。
『知ってはいたのか』
冒険者になって、村をぐるっと見て周った時ね。僕たちが買う事はないだろうと思っていたんだけどね。
『本当にこっちなのか? だいぶ店が立ち並ぶ場所から離れたが』
うん。ここしか思いつかないから。ほら見えてきた……って。なんでいるの?
『知らないが、先回りしていたとすると凄いな』
「え! マルリードさん! 追いかけて来てくれたのね!」
追いかけて……だいぶ時間が経っていると思うんだけど。
「えっと、ここに買い物に。で、チェミンさんは、こんな所で何をしているの?」
そう聞くと明らかにムッとした顔をして、なぜかビシッと建物を指さした。
「フェニモード家の次男スーレン・フェニモードさんがここにいるのよ!」
「え? このお店の経営者?」
「ですからここの経営は、長女の夫婦が行っており髭を生やした人物など見かけた事ありませんから。とりあえず、一度戻りましょう。エドラーラさんが迎えに来ますよ。あなたのせいでもあるのですからマルリードさんも止めてくださいよ」
なぜ僕のせいなんだ。
『止めてやれ。彼の仕事は本来、彼女の警護だろう。ここまでする必要もないが、押しかけては困るのだろう』
だから関わるのが嫌だったんだ。
「この村に住んでいるって言っていたのだからここでしょう」
「もう。ここで騒いだら迷惑だから行くよ」
僕は、チェミンさんの腕を掴んで商店街へとグイっと引っ張って行くと、大人しく彼女はついてきた。
「あのね……」
うわぁ。何?
『耳まで真っ赤でうつむいているな。意外と純な娘だな。手をつないだぐらいで』
手! あ!
僕は、パッと手を離した。
「ご、ごめん」
『君もか』
「よかった。エドラーラさんが来た」
護衛の冒険者が、安堵の声を漏らす。馬車が近づいてきて、停車した。
「ウー」
馬車が目の前で停止して、チェミンさんのお父さんが降りてきた。その顔は満面の笑顔だ。
「マルリードさん。取引合意なのですね。さあどうぞ。詳しい打ち合わせは、馬車の中で」
「え? ち、違います。お断りします。僕は、冒険者を続けたいので」
「ウー」
「おやそうですか? 無償で作って頂いたのでそういうのがお好きなのかと」
「いえ、あれは特別です。お、お世話になっているので」
本当は、リレイスタルさんのせいだからだけどね。
「ウー」
「そうですか。ありがとうございます。ところで先ほどから唸り声が聞こえませんか?」
「ウー」
「本当だ」
『リルだな』
「え?」
ポーチを見ると、ウーっとリルが唸っていた!
『どうして気づかない……』
「リル! 大丈夫だから」
「ポーチに子犬ですか!?」
そうだった。こっそり連れて歩いていたから知らないんだった。
「ウー」
「あの、僕はここで失礼します!」
もしかぶりついたりしたら大変だ。僕は慌ててその場を離れたのだった。って、なんでチェミンさんのお父さんに威嚇しているんだ。
『………』
そして今度は暴れているし。
「元気になったのだ。外に出たいのだろう」
仕方がない部屋に戻るかな。外で離すわけにはいかないからね。
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