39 / 63
第39話 彼の夢
しおりを挟む
『騙したのは悪かったが、別に変な事をさせようと思ったわけではない』
じゃ何をさせようとしたの? って本当はどうして死んだの?
『私を取り込む者の条件を作る為、魔眼を利用した』
あ、MPの最大値?
『そうだ。まさか呪い耐性がある者に取得されるとは思わなかったがな。呪いを受けないと知り、私が作った魔法を取得させることにしたのだ』
え? なんの為に?
『もちろん、大魔導士になってもらう為にな』
はぁ? 何それ!
『私の夢だ。いくら作っても呪いの魔法しか出来なかった。だから前世では諦めた。知識を持って体を得る為に考えついたのが、魔眼だったのだ。呪いの耐性があるのなら、どうせなら自分の魔法を回収したいと思うだろう、普通は!』
「な、なんて迷惑な!」
「誰と話している?」
「え……」
やばい。
凄い鋭い目つきで見つめている。片目なのに眼力が凄いんだけど。
「何となくだが、君以外の人格があるのではないか? そう感じる時があった」
「う……」
鋭すぎる。
『さて、どうする? 私は、別にどちらでもよい』
ずるい! いつもはこうしたほうがいいって言うくせに!
「キモンは、君の一人芝居だと睨んでいるようだったがな」
「ひ、一人芝居?」
「偶然を装い洞窟に行き魔素の充満した洞窟を発見。その後、その魔素を回収し、自分の仕業ですという。そして、襲われた事にしてあたかも違う真犯人がいるかのように見せかける」
何それ……。
『本気でここに閉じ込める気だったようだな。しかし、何の為にペラペラと情報を我々に話したのだ?』
「どうして僕にその話をするんですか?」
「俺はそう思ってはいないからだ。キモンは、魔狼まで手懐けている君に警戒していた。だが違う人格が潜んでいるとまでは気づいていないようだ」
『どうやら彼の中では、私が君の中にいる事は、先ほどので確信にかわったようだな』
もう隠しても無駄って事ね。
「信じてくれるかどうかわかりませんが、先ほど名が出てきたリレイスタルさんが僕の中にいます」
「何!? 彼が? だとしたら彼と直接話せるか?」
「直接って?」
「君を通さずにだ」
それって僕が乗っ取られるって事じゃないか!
『大丈夫だ。そんな事が出来るのなら既にしている』
よかった。
「できないみたいです」
「そうか。できないか。では、彼だという証拠は何かないか?」
「え?」
他の人格がいるって思っているけどリレイスタルさんだとは思ってないって事?
『確証がほしいのだろう。でなければ、キモンを納得させる事が出来ないのではないか』
そっか。で、あるの?
『うーん。まだ今現在の状況把握も全てできていないし、時代が変わりすぎている』
僕に話した事って本当なの?
『あぁ。ただ軍事的な事にも協力しろと言われそれから逃れる為に、自分を封印したという事が違う。だいたい、君が知らなくて彼が知っている私の事など、どう証明すれというのだ』
「……ないそうです」
確かにそうなんだよね。僕が語るんだからそうなるよね。
「やはりそうか。では今回の件、魔導士様から見てどう思う?」
『なるほど、そうきたか。面白い受けて立ってやる』
あのね、喧嘩じゃないでしょうに。
『私に挑んできたのだ。答えてやろう。スライムはカモフラージュ』
そういえばさっきそんな事を言っていたっけ?
『本当の狙いは、リルに君を殺させる事だ。魔素耐性があるのはわかっているはずだからな。リルの封印を解き来たのだ。スライムと格闘している隙に君は、魔素酔いした魔狼のリルに殺される予定だった。見ていたと言っても洞窟の外でだろう。どうやって魔素を取り除き、呪いを解除したのかまでは知らないはずだ』
そっか。魔素耐性がなければ、長い間は居られない。
『あぁ。どうやって魔法陣を元の方に描いたかは謎だが、あの洞窟は描き終わってから魔素が流れてくるからな。充満する前に出れば済むことだ。モンスターは、魔素を充満させる前に鈴の音を使って、洞窟に誘導させておけばいいのだからな』
スライムはいいとしても、ゴブリンの時はどうするの? 冒険者が居てもあの数は無理じゃない?
『何かんたんな事だ。まずゴブリンキングを魔素酔いさせる。その場に留まらせるマジックアイテムがあればできる。これは戦闘用に私の時代でも作られていた物だ。後は簡単だ。ゴブリン達は、ゴブリンキングに従う。一応、ゴブリン達も魔素酔いさせる為一時的にでも魔素の中に居させたのだろう。その後、夜に大移動させた』
それなら可能かもね。スライムを50体、あの草原まで移動させてきたのだから出来るかもしれない。
「おい、マルリード!」
「あ……すみません。話し合いに夢中になってました」
僕がそう謝ると、あきれられてしまった。
じゃ何をさせようとしたの? って本当はどうして死んだの?
『私を取り込む者の条件を作る為、魔眼を利用した』
あ、MPの最大値?
『そうだ。まさか呪い耐性がある者に取得されるとは思わなかったがな。呪いを受けないと知り、私が作った魔法を取得させることにしたのだ』
え? なんの為に?
『もちろん、大魔導士になってもらう為にな』
はぁ? 何それ!
『私の夢だ。いくら作っても呪いの魔法しか出来なかった。だから前世では諦めた。知識を持って体を得る為に考えついたのが、魔眼だったのだ。呪いの耐性があるのなら、どうせなら自分の魔法を回収したいと思うだろう、普通は!』
「な、なんて迷惑な!」
「誰と話している?」
「え……」
やばい。
凄い鋭い目つきで見つめている。片目なのに眼力が凄いんだけど。
「何となくだが、君以外の人格があるのではないか? そう感じる時があった」
「う……」
鋭すぎる。
『さて、どうする? 私は、別にどちらでもよい』
ずるい! いつもはこうしたほうがいいって言うくせに!
「キモンは、君の一人芝居だと睨んでいるようだったがな」
「ひ、一人芝居?」
「偶然を装い洞窟に行き魔素の充満した洞窟を発見。その後、その魔素を回収し、自分の仕業ですという。そして、襲われた事にしてあたかも違う真犯人がいるかのように見せかける」
何それ……。
『本気でここに閉じ込める気だったようだな。しかし、何の為にペラペラと情報を我々に話したのだ?』
「どうして僕にその話をするんですか?」
「俺はそう思ってはいないからだ。キモンは、魔狼まで手懐けている君に警戒していた。だが違う人格が潜んでいるとまでは気づいていないようだ」
『どうやら彼の中では、私が君の中にいる事は、先ほどので確信にかわったようだな』
もう隠しても無駄って事ね。
「信じてくれるかどうかわかりませんが、先ほど名が出てきたリレイスタルさんが僕の中にいます」
「何!? 彼が? だとしたら彼と直接話せるか?」
「直接って?」
「君を通さずにだ」
それって僕が乗っ取られるって事じゃないか!
『大丈夫だ。そんな事が出来るのなら既にしている』
よかった。
「できないみたいです」
「そうか。できないか。では、彼だという証拠は何かないか?」
「え?」
他の人格がいるって思っているけどリレイスタルさんだとは思ってないって事?
『確証がほしいのだろう。でなければ、キモンを納得させる事が出来ないのではないか』
そっか。で、あるの?
『うーん。まだ今現在の状況把握も全てできていないし、時代が変わりすぎている』
僕に話した事って本当なの?
『あぁ。ただ軍事的な事にも協力しろと言われそれから逃れる為に、自分を封印したという事が違う。だいたい、君が知らなくて彼が知っている私の事など、どう証明すれというのだ』
「……ないそうです」
確かにそうなんだよね。僕が語るんだからそうなるよね。
「やはりそうか。では今回の件、魔導士様から見てどう思う?」
『なるほど、そうきたか。面白い受けて立ってやる』
あのね、喧嘩じゃないでしょうに。
『私に挑んできたのだ。答えてやろう。スライムはカモフラージュ』
そういえばさっきそんな事を言っていたっけ?
『本当の狙いは、リルに君を殺させる事だ。魔素耐性があるのはわかっているはずだからな。リルの封印を解き来たのだ。スライムと格闘している隙に君は、魔素酔いした魔狼のリルに殺される予定だった。見ていたと言っても洞窟の外でだろう。どうやって魔素を取り除き、呪いを解除したのかまでは知らないはずだ』
そっか。魔素耐性がなければ、長い間は居られない。
『あぁ。どうやって魔法陣を元の方に描いたかは謎だが、あの洞窟は描き終わってから魔素が流れてくるからな。充満する前に出れば済むことだ。モンスターは、魔素を充満させる前に鈴の音を使って、洞窟に誘導させておけばいいのだからな』
スライムはいいとしても、ゴブリンの時はどうするの? 冒険者が居てもあの数は無理じゃない?
『何かんたんな事だ。まずゴブリンキングを魔素酔いさせる。その場に留まらせるマジックアイテムがあればできる。これは戦闘用に私の時代でも作られていた物だ。後は簡単だ。ゴブリン達は、ゴブリンキングに従う。一応、ゴブリン達も魔素酔いさせる為一時的にでも魔素の中に居させたのだろう。その後、夜に大移動させた』
それなら可能かもね。スライムを50体、あの草原まで移動させてきたのだから出来るかもしれない。
「おい、マルリード!」
「あ……すみません。話し合いに夢中になってました」
僕がそう謝ると、あきれられてしまった。
0
お気に入りに追加
916
あなたにおすすめの小説
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
捨てられ聖女の私が本当の幸せに気付くまで
海空里和
恋愛
ラヴァル王国、王太子に婚約破棄されたアデリーナ。
さらに、大聖女として国のために瘴気を浄化してきたのに、見えない功績から偽りだと言われ、国外追放になる。
従者のオーウェンと一緒に隣国、オルレアンを目指すことになったアデリーナ。しかし途中でラヴァルの騎士に追われる妊婦・ミアと出会う。
目の前の困っている人を放っておけないアデリーナは、ミアを連れて隣国へ逃げる。
そのまた途中でフェンリルの呼びかけにより、負傷したイケメン騎士を拾う。その騎士はなんと、隣国オルレアンの皇弟、エクトルで!?
素性を隠そうとオーウェンはミアの夫、アデリーナはオーウェンの愛人、とおかしな状況に。
しかし聖女を求めるオルレアン皇帝の命令でアデリーナはエクトルと契約結婚をすることに。
未来を諦めていたエクトルは、アデリーナに助けられ、彼女との未来を望むようになる。幼い頃からアデリーナの側にいたオーウェンは、それが面白くないようで。
アデリーナの本当に大切なものは何なのか。
捨てられ聖女×拗らせ従者×訳アリ皇弟のトライアングルラブ!
※こちら性描写はございませんが、きわどい表現がございます。ご了承の上お読みくださいませ。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる