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第38話 呪いの魔導士リレイスタル
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『この部屋はもしかしたら処罰対象の冒険者を一時的に入れておく部屋かもな』
僕が落ち込んでいるのに、追い打ちをかけるような言葉言わないで。僕は何もしてないじゃないか!
『この部屋がそうだと言っただけで、君が処罰対象の人物だとは言っていない。まあ勝手に出歩かないようにしたのだろうけどな』
「だからって閉じ込めなくても……うん?」
リルがポーチの中で暴れている。
『出たいのだろう。出してやったらどうだ』
そうだね。暇だし。
ポーチから出して床に降ろした。
リルは、嬉しそうに駆け回り始めた。
「凄く元気になったね」
『うーん。魔素酔いは、君が魔素空間を作成した時にリルの魔素も抜いたと思われるのだが、なぜ急に元気になったのかがわからないな』
え? ハイヒールしたからじゃないの?
『もし魔素空間を作成した時に魔素を抜き、魔素酔い状態でなくなっていたのならば、普通は君が言った通りハイヒールで元気になっただろう。だが二度掛けたがその時は、元気にならなかった。魔素酔いが治ったのは、魔素空間を作成した時しかないはずなのだが……』
たしかにそうかも。
『何が原因だ? そうだ。鑑定で確認してみろ』
え? 僕は詳しく見れないからやっても変わらないと思うよ。
『何か変わっているかもしれないだろうが』
わかったよ。
「リルおいで」
そういうと、一目散に駆け寄ってきた。なんてかわいいんだ!
「ちょっとごめんよ。鑑定」
魔狼『リル』総合レベル:1
HP:22/100
MP:110/500
魔法:疾走
「あぁ! 名前にリルが!」
『それよりHPとMPを見ろ!』
「あれ? 最大値が増えている。でもレベルが1のままだ。どういう事?」
『これも憶測だが、能力封印をされていたかもしれない。たぶんキモンもそれに気が付き、君に預けても大丈夫と言ったのかもしれないな』
「じゃ、あの時はまだ封印されていたって事? え? いつ封印が解かれたの?」
『この仮説で行けば、あの鈴の音だろうな』
「そっか! え? あれってそういう事もできるの?」
『あのスライムはカモフラージュかもしれんな……』
トントントン。
『だれか来たな』
「はい?」
「ディルダスだ。入るぞ」
ディルダスさんの顔には笑顔はない。なんとなく、怖いんだけど。
「君と二人っきりで話がしたかっくてな」
「ぼ、僕と?」
なんだろう? リルの事かな?
『さあな』
「魔眼だが、本当にもらった箱を開け偶然手に入れた魔法なのか?」
「え?」
魔眼? なぜそんな事を今更?
「話した通りです。まあ普通は開けないかもしれませんが」
「呪いがある魔法だと知っていて、手に入れたというわけではないのだな?」
「え? 何それ。呪われた魔法なら普通、いらないでしょ」
呪い耐性があったって、そんな魔法いらないよ。だいたいどんな魔法かも取得してから知ったのに。
「これは、ほとんど知られていないが、呪われた魔法は作られた魔法なのだ」
「え? 作られた? あ、魔法陣とかと一緒って事?」
「いいや違う」
ディルダスさんは、首を大きく横に振った。
「一人の人物によって作られた。その者は、呪いの魔導士と言われ――」
呪いの魔導士? って……。
『………』
「その魔導士の名は、リレイスタル」
「え、うそ。呪いの魔法を作ったのはリレイスタルさん?」
ど、どういう事!?
『はぁ……。単純そうな少年だから上手く行くかと思ったが、余計な事を教える者がいるとはな。この時代の者は知らないようだったのに』
何それ! 僕をだましたの!?
『ほぼ言った事は本当だ。ただし封じたのは己自身。魔眼の力を使ってな』
「えー!!」
「お、落ち着け!」
「あ……すみません」
そうだった。ディルダスさんと会話しているんだった。
「あの、その話、もう少し詳しく教えてください!」
「いいだろう。ただし、古い文献にしか載っていない話だから殆どの知られておらず、俺も魔眼の呪いの話を聞くまでは与太話だと思っていた。呪いの魔導士は、魔法を幾つか作成したらしいが、それは全て呪いの魔法だった」
「……うん? それだけ?」
ジッと僕の様子をうかがっていたディルダスさんが、深いため息をついた。
「本当に何も知らないようだな。この話は、冒険者より元貴族の子孫共の方が興味があるようで、その呪いの魔法を手に入れようとしている者もいる」
「え? 呪われるのに?」
「呪いと引き換えに、凄い力を手に入れられるらしいからな。ただし、手に入れる方法は記されていない。だが俺は、命と引き換えではないかと思っている。つまりそれが、呪いだ」
命……たしかに、魔眼もそんな感じかも? あれでも、自分で作ったのになんでそんな風にしたんだ? もう意味わかんないよ!
僕が落ち込んでいるのに、追い打ちをかけるような言葉言わないで。僕は何もしてないじゃないか!
『この部屋がそうだと言っただけで、君が処罰対象の人物だとは言っていない。まあ勝手に出歩かないようにしたのだろうけどな』
「だからって閉じ込めなくても……うん?」
リルがポーチの中で暴れている。
『出たいのだろう。出してやったらどうだ』
そうだね。暇だし。
ポーチから出して床に降ろした。
リルは、嬉しそうに駆け回り始めた。
「凄く元気になったね」
『うーん。魔素酔いは、君が魔素空間を作成した時にリルの魔素も抜いたと思われるのだが、なぜ急に元気になったのかがわからないな』
え? ハイヒールしたからじゃないの?
『もし魔素空間を作成した時に魔素を抜き、魔素酔い状態でなくなっていたのならば、普通は君が言った通りハイヒールで元気になっただろう。だが二度掛けたがその時は、元気にならなかった。魔素酔いが治ったのは、魔素空間を作成した時しかないはずなのだが……』
たしかにそうかも。
『何が原因だ? そうだ。鑑定で確認してみろ』
え? 僕は詳しく見れないからやっても変わらないと思うよ。
『何か変わっているかもしれないだろうが』
わかったよ。
「リルおいで」
そういうと、一目散に駆け寄ってきた。なんてかわいいんだ!
「ちょっとごめんよ。鑑定」
魔狼『リル』総合レベル:1
HP:22/100
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魔法:疾走
「あぁ! 名前にリルが!」
『それよりHPとMPを見ろ!』
「あれ? 最大値が増えている。でもレベルが1のままだ。どういう事?」
『これも憶測だが、能力封印をされていたかもしれない。たぶんキモンもそれに気が付き、君に預けても大丈夫と言ったのかもしれないな』
「じゃ、あの時はまだ封印されていたって事? え? いつ封印が解かれたの?」
『この仮説で行けば、あの鈴の音だろうな』
「そっか! え? あれってそういう事もできるの?」
『あのスライムはカモフラージュかもしれんな……』
トントントン。
『だれか来たな』
「はい?」
「ディルダスだ。入るぞ」
ディルダスさんの顔には笑顔はない。なんとなく、怖いんだけど。
「君と二人っきりで話がしたかっくてな」
「ぼ、僕と?」
なんだろう? リルの事かな?
『さあな』
「魔眼だが、本当にもらった箱を開け偶然手に入れた魔法なのか?」
「え?」
魔眼? なぜそんな事を今更?
「話した通りです。まあ普通は開けないかもしれませんが」
「呪いがある魔法だと知っていて、手に入れたというわけではないのだな?」
「え? 何それ。呪われた魔法なら普通、いらないでしょ」
呪い耐性があったって、そんな魔法いらないよ。だいたいどんな魔法かも取得してから知ったのに。
「これは、ほとんど知られていないが、呪われた魔法は作られた魔法なのだ」
「え? 作られた? あ、魔法陣とかと一緒って事?」
「いいや違う」
ディルダスさんは、首を大きく横に振った。
「一人の人物によって作られた。その者は、呪いの魔導士と言われ――」
呪いの魔導士? って……。
『………』
「その魔導士の名は、リレイスタル」
「え、うそ。呪いの魔法を作ったのはリレイスタルさん?」
ど、どういう事!?
『はぁ……。単純そうな少年だから上手く行くかと思ったが、余計な事を教える者がいるとはな。この時代の者は知らないようだったのに』
何それ! 僕をだましたの!?
『ほぼ言った事は本当だ。ただし封じたのは己自身。魔眼の力を使ってな』
「えー!!」
「お、落ち着け!」
「あ……すみません」
そうだった。ディルダスさんと会話しているんだった。
「あの、その話、もう少し詳しく教えてください!」
「いいだろう。ただし、古い文献にしか載っていない話だから殆どの知られておらず、俺も魔眼の呪いの話を聞くまでは与太話だと思っていた。呪いの魔導士は、魔法を幾つか作成したらしいが、それは全て呪いの魔法だった」
「……うん? それだけ?」
ジッと僕の様子をうかがっていたディルダスさんが、深いため息をついた。
「本当に何も知らないようだな。この話は、冒険者より元貴族の子孫共の方が興味があるようで、その呪いの魔法を手に入れようとしている者もいる」
「え? 呪われるのに?」
「呪いと引き換えに、凄い力を手に入れられるらしいからな。ただし、手に入れる方法は記されていない。だが俺は、命と引き換えではないかと思っている。つまりそれが、呪いだ」
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