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第15話 僕の師匠

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 こんな話を聞いてどうするんだろうなぁ。興味かな?

 「やっぱりな。そんな事だと思った」
 『よくそれで黙っていたな』

 仕方ないよ。バフがパッシブだったって知ったのは、パーティーを抜けてからだからね。

 『なるほどな』
 「君はソロで頑張って行く気なのか?」
 「はい。一人で気兼ねなく。採取でも食べていけるので」
 「でもなぁ。こういう事もあるし、戦闘経験は積んでおいた方がいいと思う。そういう事で、俺が練習相手になってやろうか?」
 「え? リトラさん直々? いいんですか?」

 リトラさんは、頷いた。

 「さきほどの話を聞くと、試験を受けていないのと同じようだからさ。どうせゴブリンなんて現れないだろうし、今の時間を使ってやっておくってどうだ?」
 「ありがとうございます!」
 「本来ならリーダーがする事なんだけどな」
 「え? そうなんですか?」
 「あぁ。じゃないと君みたいな子は、ずっとEだろう?」

 まあ確かに。実際には戦闘系ではない魔法の人もいるだろうし。僕の様な孤児院出なら錬金などじゃないかぎり、冒険者にならないといけないし。

 「ジグルさんだっけ? 指導を受けたのに放り出すっていうのもなぁ。こう言っちゃなんだけどリーダーに向いてないよ、その人。あ、ジグルさんには内緒な」
 「ありがとうございます。少し気が楽になりました」
 「これからだ。強くなって見返してやれ。なんてな」
 「はい!」

 まあリトラさんぐらい強かったらそう思うんだろうね。でも嬉しい。ずっと僕がダメだからだって思っていたから。

 『ほう。リトラのステータスを知っているのか?』

 え? 知らない。でもAランクなんだから強いよ。

 『だがどれぐらい強いかわからないではないか』

 そうだね。

 『見てみたくはないか?』

 え? 勝手に?

 『目標にするのだからいいんだ』

 本当にそう思ってる? 興味本位に聞こえる。

 『いいから……』
 「おーい。戻ってこ~い」
 「え? あ、すみません」

 しまった。またリレイスタルさんと話し込んでしまった。

 「それ……」

 うん? リトラさんが僕の剣を指差す。

 「なぜ二本?」
 「あぁ、これ。昨日一本頂いて……」

 そうだった。売る暇なくここに来ちゃった。

 「ちょうど二本あるし、俺と同じ二刀流でやってみる?」
 「え? いいの?」
 「あぁ。でも俺が二刀流なのは二刀流が得意だからではないけどな」

 僕が嬉しさに聞くと、クスリと笑って言った。

 「俺は、ブーメランという魔法を持っていて、いざという時に投げる為に持っているんだ。手に持っていた方が、素早く出来るだろう?」
 「へえ。なるほど」
 「普段は、盾としても使っている」

 僕は、ロングソードを一本ずつ手に持った。

 「………」

 重いかもしれない。

 「やっぱり無理か。普段使ってないのに片手はきついだろう?」
 「それわかっていて、二刀流やるって言ってきたの?」
 「ごめんごめん。自分の力量を知るのも大切だからさ」
 「そっか。じゃ、普通に一本でします」

 うんうんとリトラさんは頷いた。

 「まず、どれくらいできるか見たいから思いっきり来て」
 「え? あ、はい」

 僕は両手でロングソードを持って振り上げた。

 「えい!」

 カキン!

 「うわぁ」

 リトラさんは、僕の剣を剣で受け止めたはずなのに、そのまま流れる様に僕は向きを変えられ地面に叩きつけられた。

 「だ、大丈夫か?」
 「はい……」

 恥ずかしい。

 「全然だけど、威力はある。あとスピードも。だからつい流してしまった」
 「凄いですね。思いっきりこけちゃいました」
 「何も考えず突っ込んで来るモンスター相手にも有効だ。まずは基礎からだな。たぶん君なら基礎が出来れば、大丈夫だろう」
 「はい! 宜しくお願いします」

 僕は、立ち上がりロングソードを構えた。
 よしリトラさんが言う通り、強くなってやる。ジグルさん達を見返してやるんだ。いや、冒険者達かな?

 『ほう大きく出たな。Aランクを目指すのか楽しみだ』
 「え? Aランク!?」

 そこまで言ってない。

 「うん? Aランク?」

 しまった。声に出しちゃった。

 「えーと、リ、リトラさんの様なAランクプレイヤーを目指したいなっと……」
 「なれると思うぜ。何せ俺が教えるんだからな。なんてな」
 「はい!」

 結構、リトラさんはお調子者かもしれない。

 『結局、Aランク目指すのだな』

 誰のせいだぁ! でもなってやる。僕にはバフがあるんだから!

 『魔眼もな』

 忘れるなとばかりリレイスタルさんはそう言ったのだった。
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