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彼の真意は……

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 オレが子供達と遊んで疲れて寝ていた時に、ドンを倒す方法を話し合っていた。
 もし腕輪が外せる状態になったら彼の前で外し、死んだふりをして隙を伺い倒すという作戦だ。
 早くもその作戦を実行する時が来たが、まだ安全に取り外せるとは言えなかった。だから普通に戦う予定ではあったが、ドンが猫族の兵士の動きを止めた事で二人は作戦に踏み切る事に。

 ブラムさんに、もし万が一、作戦が失敗しレックスさんとロンドさんが死んでしまったらオレを護ってほしいと言ってあった。二人は、ブラムさんを信じるしか方法がない。
 今回、作戦は半分成功したといえる。
 ドンは、二人が死んだと思っているからだ。レックスさんとロンドさんは自由になれる。

 「あの、ドンはこれから戦争を仕掛けて来るつもりなのでしょうか?」

 オレは、おずおずと尋ねた。
 ドンの作戦が失敗した以上、普通に戦争を吹っ掛けてきたらやばい。

 「大丈夫だ。それが出来ていたら今回の様な事は起きていない。全獣人を相手に戦争などできないだろう?」
 「本来、私達を人質にしてまずは周辺の獣人を手中に収めるつもりだった。だがそれが上手くいかなかった。赤い腕輪だが、君がつけているのとまったく同じだろう。真似て作ったと言い張るでしょうけど」

 ブラムさんに続き、ヤンさんがため息交じりで言った。
 色を変えただけだ。けどドンに、本当に真似て作る能力があれば、それがまかり通ってしまう。
 それにあの蔦のモンスターは、始めて見たらしい。

 ヤンさんの見解では、ドンが以前に召喚したモンスターではないかと。それを研究し、ある程度操れるようにしてあった。それこそ、四か国をまず手中に収める為に使うつもりで用意してあったのだろう。
 でなければ、あんな風な動きをモンスターがするわけがない。

 最初からモンスターを手に入れる為に召喚をしたのか、それとも試した召喚で得たものなのかはわからない。
 だが、オレ達を召喚する前に、必ず一度は試しているはずだとヤンさんは言った。

 「ドンの今回の敗因は、三人を殺さずに生かしておいた事でしょう」

 ヤンさんの言葉に、オレ達は頷く。
 生かしておいたと言うか、オレに執着したせいで作戦が狂った。本当にわからない。
 モンスターも偶然かどうかわからないが、手に入れているというのに。そこまでしてオレがほしいか?

 「彼は、ヒソカを最初から手に入れる予定でいたのかもしれない。彼ならオレ達があの建物から陸地に渡れるのはわかっていたはずだ。なのに放置した。それは、作戦を変更したからに違いない」
 「俺も途中からそう思っていた。ヒソカ一人では、あの場には来られない。きっと、本来は服を着替えさせたら俺達をあの場で殺す予定だったに違いない。訳が分からない内に、毒殺されていただろう」

 レックスさんに続き、ロンドさんも神妙な顔つきで言う。
 え? 本当に召喚出来ると確認して放置する事にしたと? あの時召喚したのは、ウサギの姿のクロラだ。
 しかも装備に変化するのは、あの場では気付いていなかったというのに。
 そんなに、召喚魔法って凄いのか?

 「どうしてそこまでして、オレに執着するの? 召喚できると思っているから? そんなに召喚魔法って凄いの?」
 「彼にとっては、犠牲を払ってでも欲しいようだな。ただ、彼の召喚は成功したと言っていい。召喚の目的が世界を手に入れる事ならば、また召喚して違う作戦を立てればいいだろう。今回の事で、名を聞けばある程度操れる事は、ヒソカくんによって証明されているのだから」

 ヤンさんの言葉に、皆が頷く。
 だからこそ、オレへの執着がなんなのか。嫌いなはずのミックスを……いやドンはオレをエルフだと思っている。もしかして、エルフを手に入れたい?
 だとしてもここでは言えない話だ。
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