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取り引き
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猫族の国は、木々はそんなに多くなくまばら。そして、草原のような場所に案内された。
そこには、武装したにゃん……猫族達が武器を手に集まっている。
あぁ何この猫天国。
猫って何を着てもかわいい。猫って正義!
はぁぁぁ~。
「大丈夫だ。何があっても護ってやる」
「あ、ありがとう」
レックスさんが、感激してもらした声をため息だと思ったようだ。
まあ普通は、この状況で感激するなんてないもんね。
オレも現金だよなぁ。
あぁ、このままドンが来なければいいのに。
クロラに言われ持ってきた弓を抱きしめ、願うもそうはいかない。
予告通りドンは、現れたのだった――。
ドンは、驚く事に人質と一緒に一人で現れた。
この場所は以前、キツネ族国の視察の際にこっそり登録していったようでわざわざ指定している。
今回バレても消されないと読んで知らせたようだ。人質を連れて行くと言えばここを使えるとわかっていた。一回使えば消されるだろうけど。
つまり今回に勝負を掛けたという事だ。それなのに一人で乗り込んで来た。もしかしてドンって凄く強いの?
「一人でお出ましとは、潔いですな、ドン殿。しかし、わが国ではなく猫族国に登録しているとは恐れ入った」
犬族代表のカールさんが、ドンを睨みつけ言う。
彼の言う通り犬族から入りキツネ国の洞窟の視察に来た。猫族には寄っていないはずなのにいつの間にか登録していったようだ。ドンは、本当に侮れない。
「それはどうも。さて、どうするか決まりましたかな?」
「彼を渡そう。同時に交換だ」
「な、なんだと! 話が違う!」
レックスさんが叫ぶ。
だがカールさんは、動じない。ジーっとドンを見据えているだけだ。
やっぱり売られるのか。でもドンがオレをどうしようと思っているのだろうか。
ドンの視線がオレを捕らえると、ニヤリとする。ゾクッと悪寒が走った。
嫌な目つきだ。殺されはしないだろうけど、操り人形になるのは確定だろう。行きたくない!
「ヒソカくん。悪いがドンに向かってゆっくりと歩いて行ってくれ」
「……はい」
オレは俯き、ドンに向かって歩き出す。
捕まっていた者達が、こっちへ走って向かって来る。ちらっと見れば、その者達の腕には赤い腕輪が見えた。オレと同じ色ではないが、抵抗できないようにしていたんだ。ドンは、この腕輪を外せないと思っている。
今は外せないけど、そのうち外せるはずだ。
「「ヒソカ!」」
オレを呼ぶ二人の声が重なる。顔を上げれば、ドンがオレに向かって走って来ていた。
そして、ドンに向かって猫族が攻撃を仕掛ける。二人もオレに向かって走り出す。
「ふん」
それでもお構いなしで走って来るではないか。
オレは、慌てて踝を返す。
ドンと猫族達の戦いが始まった。
一応、オレを渡すふりをしたという事でいいだろうか。
というか、オレが手元に来る前に、ドンは人質を解放していた。彼らはこの国に来るための駒だったのだろう。だったら何か策があっての事。宣戦布告からすぐなので他の国の兵士を用意するのは不可能で、これもドンの作戦の内なのがわかる。
槍を手にしたドンは、猫族の兵士を一撃で吹き飛ばす。力ありすぎだろう。
「ヒソカ! こっちへこい!」
戦いながらドンは、恐ろしい言葉をオレに言った。それこそ戦いに巻き込まれて死んじゃうと思うんだけど!
オレを守るようにレックスさんとロンドさんは、オレの前に出た。その二人に向けて、猫族をなぎ倒しドンは向かって来る。
うん? おかしい。なぜか猫族の皆が動きを止めた。どういう事?
そこには、武装したにゃん……猫族達が武器を手に集まっている。
あぁ何この猫天国。
猫って何を着てもかわいい。猫って正義!
はぁぁぁ~。
「大丈夫だ。何があっても護ってやる」
「あ、ありがとう」
レックスさんが、感激してもらした声をため息だと思ったようだ。
まあ普通は、この状況で感激するなんてないもんね。
オレも現金だよなぁ。
あぁ、このままドンが来なければいいのに。
クロラに言われ持ってきた弓を抱きしめ、願うもそうはいかない。
予告通りドンは、現れたのだった――。
ドンは、驚く事に人質と一緒に一人で現れた。
この場所は以前、キツネ族国の視察の際にこっそり登録していったようでわざわざ指定している。
今回バレても消されないと読んで知らせたようだ。人質を連れて行くと言えばここを使えるとわかっていた。一回使えば消されるだろうけど。
つまり今回に勝負を掛けたという事だ。それなのに一人で乗り込んで来た。もしかしてドンって凄く強いの?
「一人でお出ましとは、潔いですな、ドン殿。しかし、わが国ではなく猫族国に登録しているとは恐れ入った」
犬族代表のカールさんが、ドンを睨みつけ言う。
彼の言う通り犬族から入りキツネ国の洞窟の視察に来た。猫族には寄っていないはずなのにいつの間にか登録していったようだ。ドンは、本当に侮れない。
「それはどうも。さて、どうするか決まりましたかな?」
「彼を渡そう。同時に交換だ」
「な、なんだと! 話が違う!」
レックスさんが叫ぶ。
だがカールさんは、動じない。ジーっとドンを見据えているだけだ。
やっぱり売られるのか。でもドンがオレをどうしようと思っているのだろうか。
ドンの視線がオレを捕らえると、ニヤリとする。ゾクッと悪寒が走った。
嫌な目つきだ。殺されはしないだろうけど、操り人形になるのは確定だろう。行きたくない!
「ヒソカくん。悪いがドンに向かってゆっくりと歩いて行ってくれ」
「……はい」
オレは俯き、ドンに向かって歩き出す。
捕まっていた者達が、こっちへ走って向かって来る。ちらっと見れば、その者達の腕には赤い腕輪が見えた。オレと同じ色ではないが、抵抗できないようにしていたんだ。ドンは、この腕輪を外せないと思っている。
今は外せないけど、そのうち外せるはずだ。
「「ヒソカ!」」
オレを呼ぶ二人の声が重なる。顔を上げれば、ドンがオレに向かって走って来ていた。
そして、ドンに向かって猫族が攻撃を仕掛ける。二人もオレに向かって走り出す。
「ふん」
それでもお構いなしで走って来るではないか。
オレは、慌てて踝を返す。
ドンと猫族達の戦いが始まった。
一応、オレを渡すふりをしたという事でいいだろうか。
というか、オレが手元に来る前に、ドンは人質を解放していた。彼らはこの国に来るための駒だったのだろう。だったら何か策があっての事。宣戦布告からすぐなので他の国の兵士を用意するのは不可能で、これもドンの作戦の内なのがわかる。
槍を手にしたドンは、猫族の兵士を一撃で吹き飛ばす。力ありすぎだろう。
「ヒソカ! こっちへこい!」
戦いながらドンは、恐ろしい言葉をオレに言った。それこそ戦いに巻き込まれて死んじゃうと思うんだけど!
オレを守るようにレックスさんとロンドさんは、オレの前に出た。その二人に向けて、猫族をなぎ倒しドンは向かって来る。
うん? おかしい。なぜか猫族の皆が動きを止めた。どういう事?
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