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名前の価値

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 名前って凄く重要だったんだな。

 『ちなみに名を与えてもらうのは、与えた者に命を預ける事になるの』
 「え! 命!? オレに預けちゃっていいの?」
 『私たちの命というのは、魔力の事よ。あなたが連続してずっと召喚し続けられるのは、私と――』
 『シフォンのおかげだからね!』

 シフォンもやっぱり装備になっても話せたんだ。
 なるほどね。不思議には思っていたんだよね。オレの魔力ってどうなっていると。

 「ありがとう、二人とも。おかげで早くレベルを上げられたよ」
 『『どういたしまして』』

 ハモってるし。息ぴったりな二人。

 「何やっているんだ」

 レックスさんが突然声を掛けて来て、オレは驚いて肩をビックとさせてしまう。あぁ驚いた。

 「おぉ悪い。驚かせたみたいだな。何か真剣にやっているようだからさ」
 「あははは。特段別にしていないよ」

 まさか、召喚のレベル上げだとは言えない。
 彼らがこの世界の獣人ではないとしても、召喚がどういうモノか知っているのだから。
 手に装備をしたのは、ミックス化する為だと思ったから言わずにいてくれたのかもしれない。

 「そうか。ヒソカ……俺達は君を守りたいと思っている」
 「え?」

 いきなりなんだろう。今までもそうしてくれていた。だからそれはわかっている。
 何も出来ないオレを……子供だからなのか、それともそれが普通の世界に住んでいたのかはわからないけど、知り合ったばかりのオレをドンから護ってくれた。

 「だから俺達は、君の能力の事は誰にも言わない事にした。だからあれはもう使うなよ」
 「え……」
 「ヤンさん達が助けてくれるのは、その能力を知らないからだ。ドンが勘違いしていると。だけど本当はそういう能力があれとなれば、ヤンさん達は君を生かしておかないだろう。感覚の問題というか、考え方の違いというか、この世界では恐ろしいモノなのだ。それをどう使おうとな」
 「うん……」

 オレは、頷き俯いた。
 わかってはいたけど、面と向かって言われると召喚を使うのが怖くなる。

 『大丈夫よ。策はあるわ』

 策? でも装備しないといけないわけだし。指輪とかそういう小物で装備するという事だろうか。そういう装備の仕方があるか知らないが。

 「まずは、ドンを諦めさせないといけない。だからそれまではな」
 「うん?」

 今度は、ロンドさんが声を掛けてきた。

 「俺達は、腕輪を外した後に冒険者になる事にした。元の世界でもモンスターを相手にしていたしな。ただヒソカは、違うだろう? 俺的にはキツネ族のところで暮らすのがいいと思う」
 「でも、腕輪が外れたとしてもあいつは諦めないと思うけど」

 そう二人の事はスルーしても、オレの事は諦めないだろう。
 命令すれば、召喚する事が出来るのだから。オレが死なない限り追いかけて来る。絶対に!

 「わかっている。それと……ヤンさんに聞いたのだが、召喚された者の名をその者から直接聞く行為は、配下に置く事になるらしい。俺達はそれを知らなかった。だから君は、名前をドンに教えてしまっている。なので腕輪を外すだけではダメだとわかっている。どうするかは、これからの課題だ」

 オレは、ロンドさんの言葉にうんと頷いた。
 どうしたらいいかは、まだ決まってはいないけど。
 皆の行為がありがたい。オレなんて何も役に立たないと言うのに。
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