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助けた意図

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  オレ達は、オレがいる事で彼らに信じでもらえて一応助かったって事なのか? などと都合いいように考える。

 「で、魔の者だが、召喚された者を差す。彼らはこの世界を滅ぼすと言われていている。その昔、戦争で兵器の代わりに使われていたと言い伝えられている。魔の者は、破壊する事しか頭になく、戦争が終わっても元の世界に戻る事が出来ずに、そのまま暴れまわったと……まあ、君達が魔の者であるならば、破壊する事しか頭にないというのは、違うだろうけどな。ただいつ豹変するかわからないと思うと、殺すという選択になるってわけだ」
 「………」

 召喚された者が魔の者だったのか。しかし、今は大人しくても牙をむくかもしれないって事にならないか? どうして、オレ達を助けてくれたの? アオの者だろうがそうでなかろうが関係なく、危険な存在だろうに。

 「だったらオレ達を助けた意図は?」

 ロンドさんが聞く。オレも凄く聞きたい。
 彼らの善意なのか、それとも何かさせようとしているのか。

 「ベア国が企てたと言う証拠だから。だがドンという男は、自分の思い通りにならないのが嫌いなタイプらしい。そんな奴が、いう事を聞かない者を召喚するだろうかと我々は思っている」

 オレ達が証人だからと、カールさんは答えた。
 そう言われればそうだ。でも言っている事がちょっと矛盾しているような。

 「では、俺達は魔の者ではないという事にならないか?」

 レックスさんの言葉にオレ達は頷いた。
 そう、それ。召喚した者だと思っているのかいないのか。わからない言い回しだ。

 「そこなのだ。言う事を聞かせる為にその腕輪をつけたとして、言い伝え通りならそんなもの役に立たないだろう。ドンは、魔導技師だ。きっと正気なまま召喚する魔導具を作ったのかもしれないと、最終的にそうなった」
 「………」

 つまりオレ達が、正気でいるのはドンのおかげって事?
 何か複雑だな。

 魔導技師って魔導具を作る人って事だろうか。宰相だけど技術者でもあるのかぁ。うん? あれ? 召喚って魔法じゃなくて魔導具で行ったって事? もしかしてこの世界に魔法ってない? いや、あの時鎧の人が、オレの召喚を見て魔法だと驚いていたのだから魔法自体はあるよな。
 少なくとも魔法という概念はある。
 もしかして、この世界の人は使えないのだろうか。これは聞いても大丈夫な事だよな。

 「あの……」
 「すまないが、魔導具とはなんだ」

 オレが聞こうと思ったらレックスさんが先に聞いた。というか、魔導具を知らない!?
 なんというか、同じ獣人なのに世界がそんなにも違うものなんだ。いや地球にもないけど、そういう作り話ならある。きっとそれすらもないんだろう。

 「知らないか……。魔石や魔力を使い動かす道具だ。機密なものからお手軽な物まであり、それらを作る者達を魔導技師という」
 「じゃドンは、その魔導具を作れる者って事なのか?」

 レックスさんの言葉にそうだと、カールさんが頷く。

 「その魔石ってなんだ?」
 「それも知らないのか……。魔力を含んだ石だ。魔物が体内に持っている。だが最近になって、魔石そのものが発掘され魔物から取り出す以外にも手に入れる方法が発見された」

 カールさんの言葉に、一瞬レックスさんが考え込む。
 もしかしたらよく理解できなかったとか? 知らないモノを一から教えるのって大変だからなぁ。

 「なるほどな。その場所がもしかして、ベア国の近くの国とかなのか?」
 「察しがいいな。私の国犬族を挟んだ、キツネ国で発見された」

 レックスさんは、本当に勘がいい。
 なるほど。その国に攻め入って魔石が欲しいと。そんな事しなくても、輸入すればいいじゃないのか。この世界には、そういう仕組みってない? いや交流がある以上あるよな。じゃないと自給自足って事になる。
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