ランクアップ!~枕が誘(いざな)う夢の世界で……

すみ 小桜(sumitan)

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チーム『ミチル』

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 ふとミチルを見ると体の前に青い半透明のバーが表示されている。


 「うん? バー?」

 「あ、これか? チーム組むと仲間のHPが%でバーに表示されるようになるんだ。じゃ行こうぜ」

 「うん」


 なるほど。HPが確認出来るんだ。自分には表示されてないけど、ミチルからは見えているんだよね? なんか不思議。

 ミチルは東に向かって進んで行く。森の中に入って暫くすると、小道が現れた。


 「え? 道?」


 「この道は、村に直通なんだ。普通は10、9、8って深緑の神殿を巡って1まで行くんだけど、ショートカット出来る。あ、1が村な。後、敵がかなり強いから」

 「えっと。なんで10と1が近いの?」

 「あぁ。10の南に9で次の8が西に7が北西にあって、10を中心に他の神殿がある感じ? で、神殿の影響で強いモンスターが寄りつかないんだけど、弱いのは影響ないらしくて。だから普通は順番に回って1の北の村に行くんだ」

 「うーん? じゃ1と10の間は他の神殿より離れているって事?

 「そういう事。少しの間だけ、強い敵が出るんだ。ほぼ毎回エンカウントする。だから普通は、知っていればここは通らない」

 「へぇ」

 って事は、ミチルって強いんだ。というか、10の神殿に来る用事って五つ葉の採取しかないけど……。


 「10ってほとんど人いないよね」


 「まあ、10に行くぐらいなら遺跡行った方が時間的に短縮になるからな。ここを通らないなら行かないだろうな……。何せ自分じゃ五つ葉採取できないしな」

 「確かに。ねえ、普通に村に行こうと思ったらどれくらいかかるの?」

 「3時間ぐらいかな?」

 「なるほど……」


 往復したら6時間か。確かにロスになりそう。遺跡がどれくらいでいけるか知らないけど。


 「もうそろそろ、オオカミの草原だから気を付けて」


 20分程歩いた頃、ミチルはそう言った。
 オオカミが出るのかな?


 「なつめが攻撃受けたら、一発で死亡だから」

 「はい……」


 だよね。よく考えれば私、防御もないしHPも22しかないし。大丈夫かな……。たぶん覚えたファイヤーなんて役に立たないんだろうなぁ……。

 ガサガサ。


 「これ持てって! 攻撃力UP!」


 左側から音が聞こえたかと思うと、五つ葉が入った巾着袋を私に投げて寄こし、たぶん剣士だからスキルだと思うけど発動し剣が一瞬輝いた!
 次の瞬間! オオカミがミチルに襲い掛かった! 振り上げていた剣をミチルはオオカミに振り下ろす!

 ザッ!
 大きく切り付けるも血は出ない。そして、キラキラと輝きながら消滅した――。

 ネズミと対戦した時は、目を瞑っていたからわからなかったけど、いなくなっていたのは消滅していたからだったのね!

 オオカミは後二体いた。


 「待て!」

 「きゃー!」


 一体がミチルをすり抜け私の方に向かってきた!
 私はギュッと目を瞑るも、ザッと言う音がして目を開けると、目の前のオオカミがキラキラと消滅するところだった!

 ミチルが切り付け倒したみたい。
 私はホッと安堵する。


 「っち」


 ミチルがオオカミに背中を攻撃されて舌打ちをした。私に向かったオオカミを倒す為に、もう一体のオオカミに背を向けていたから。
 ミチルのHPは少し減った。多分、10分の1ぐらい。

 HPいくらあるんだろう、この人……。

 ザッ!
 最後のオオカミを斬り付け消滅させた。


 「よし! この草原を走り抜けるぞ!」


 私達は、道なりに走った。10分程走ってミチルは止まった。


 「袋持っててくれてサンキュな」


 手を出して来たので、私は巾着袋を渡した。

 そう言えば、チームを組んでいるから歌を歌ったらミチルのHPって回復するのかな?
 ふとそう思い試してみたくなった。


 「優しい風よ。傷を癒せよ♪」

 「うん? なんだ?」


 ミチルと私の体を光が包む。


 「歌だよ。HP回復の歌」

 「歌? へえ……ランク3のサブは、歌のスキルを持ったのを選んだわけか」


 しまった! 自分からバラしちゃった!
 ミチルはジッと私を探るように鋭い視線を送ってきた――!
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