久保安君は、お隣さん

魚有(まぐろ)

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運命ですか?宿命ですか?

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「や、やややややだなぁ!一目惚れ!?なにそれ!?美味しそうだねぇええ!アハハハハハハハハ!!」
「ちょ、恵美落ち着いて!目が、目が泳ぎまくってるよ!バタフライしてるから!!」
 奈乃花から突然告げられた 一目惚れ という言葉。今まで円も縁もないものだと思っていた。恋?この私が?いや、奈乃花が言ってるならそうなのかも。でもこんな簡単?まず一目惚れでいいの?頭の中は疑問や不安でいっぱいだった。
 「おい、HR始まるから教室に戻れー」
 廊下にいた先生に言われ、私と奈乃花はあの久保安君がいる教室に戻った。
 
 
 「こんにちは!久保安君!こんにちは!」
 「え、こ、こんにちは。なんで2回も?」
 「あ、えっと。そのほら挨拶って大事じゃん!?」
 気が動転しているのか、なにを言いたいのかが自分でもよく分からなくなってきた。久保安君も「なんだコイツ?」みたいな顔で見てるし、出だしから最悪だ…
 「あ、あの。」
 「は、はい!!」
 「いや、あの無理して俺と話さなくてもいいよ?ほら俺、見た目すごいし、話してると変な目で見られちゃうから。」
 久保安君は、はにかんだ。どうしてそんなに悲しいことを言うのだろうか。こんなにも…カッコイイのに。
 「久保安君は、なんでそんな事言うの?私、人を見た目で判断するの大っ嫌いなの。でも、私が面倒くさいなら話しかけるのちょっと控えるよw」
 「そ、そんな!面倒くさいだなんて、ちっとも思ってなんかない。ただ迷惑かけるから…」
 「もー!そーいう事言う方が迷惑かかる!はい、罰金500円ー!」
 「え、ええ!ごめんってww」
   (良かった、笑ってくれた。)
 初めて見た久保安君の笑顔は、普通の顔よりもすっごく輝いていてカッコよかった。鼓動が少し速くなったのを感じた。
 あぁ、これが恋なのかな。
 
 
 
 放課後。長い1日が終わり、皆下校の用意を始めていた。
 「なぁ、優太。」
 「どうした?拓郎、そんなついてない顔して。」
 教室の端では、拓郎と優太が話していた。2人とも同じ中学校で、奈乃花とも恵美とも同じだった。
 「恵美の隣のやつ、誰?」
 「あー、久保安とか言ってたぞ?目つきハンパねぇのなw」
 「2人、なんか仲良くない?」
 拓郎はバレないよう、小さい素振りで恵美と久保安の方を指した。
 「あー、そりゃあ恵美だもんな。誰とでも仲良くなれるじゃん、アイツ。」

 「うん…。でもなんか、違う気がする。」
 「は?違うってなによ?」
 「いや、別になんでもない。気にしなくていいわ。」
 そう言うと拓郎はバックを持ち教室を出た。優太も拓郎を追いかけていった。
 
 
 
 「仲良くなれた?」
 その頃、恵美は奈乃花と校門前で話していた。
 「うん!それが笑った時の顔が、いやぁカッコイイのよ!」
 私は授業中の久保安君の様子や、話している時の様子を話した。なぜかどんどんテンションが上がっていき、いつの間には話は止まらなかった。
 「はいはいはい!ストーーープッ!もう、こっちがおかしくなる!」
 「アハハ…。ごめんごめん。」
 「こりゃ、どっぷりハマったなぁ。」
 思う存分話した後、私達は別れて帰った。コンビニを通り過ぎると私の家、ゆうき荘が見えてくる。
 私は現在一人暮らし中。理由は早く自立したいというのもあるが、もう一つ大きな理由がある。まぁそれは後ほど説明するとして。
 階段を上り、2階の私の部屋の前についた。
 「えーと。鍵、鍵。あれ、」
 バックの中に入れといた鍵を探していると、
 ガチャリ。
隣の部屋から人が出てきた。そういえば最近、大家さんから隣の部屋に引っ越してくると聞いていた。挨拶はまだしてなかった事を思い出し、鍵を探すのを一旦諦め、とりあえずこれからお隣さんとしてのご挨拶をって…
 「あれ、山内さん…?」
 一見強面だがよく見るとイケメンな高校生が立っていた。そう、久保安君がドアの前に。
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