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第三章
チーム名をきめよう
しおりを挟む ダーは夢を見ていた。
遠き記憶。それは無口な父の、岩のようにごつい背中。
父はダーの憧れであり、一流の職人であり、また戦士であった。
ダーの斧の戦闘術の数々は、幼少期からのスパルタ教育で、すべて父親から叩き込まれた。
ダーが、ドワーフの割に口数が多いのは、生まれつきのことではない。放っておけば一日中無言の父に代わり、少しでも会話をして場を和ませようとする、彼なりの心遣いのせいであった。ダーは常に父親の背中を見ていた。父こそがダーにとって、理想のドワーフ像そのものであった。
そんな父があるとき、「行かねばならぬ」と一声残して、旅へと出たことがあった。
彼は母親とともに、いつ帰るとも知れぬ父親の帰りをひたすら待った。
三年もの歳月を経て、父は帰宅した。
父は体中に傷を負い、頬はこけ、疲労していた。まるで別人のようだ、と母は言った。
それでもダーにとって、尊敬に値する父であることに変わりはなかった。
その父が彼の目の前で、唯一、涙を見せたことがあった。
「ダーよ、ドワーフは常に前を向け。誇りを忘れるな」
そうつぶやいて、父は、男泣きに泣いた。
父の涙を見たのは、その一度きりだった。
そのほのかな記憶が、いつまでもダーの心の奥底に沈殿していた……。
ダーはふと眼を醒ますと、船外へと飛び出した。
尋常ではない嘔吐感のせいであった。
彼らがザラマの町へ到着するまでの船旅は、とにかくひどいありさまだったというしかない。
しばらく風が強い日がつづいたため、船の揺れがひどく、乗組員ですら青い顔をしているぐらいの状況だった。
元気印二重丸のコニンですら、いつもの溌剌さは影をひそめ、小さな桶を手にして呻いている。
「……だいじょうぶ……?」
「悪いが、ぜんぜん大丈夫じゃねえよ」
一方のクロノトールは平気な顔をして、コニンの背を撫でていた。
彼女が幼きころから闘わせられていた円形闘技場では、闘技場内に水を張って、小規模な海戦もどきまで行わせていたのだ。したがって船上での動きも慣れたものだ。
エクセ=リアンは白い顔をますます白くして、小鹿のようにふるふると震えて座りこんでいる。
「がんばってください、エクセ様。町まではもうほんのわずかですから」
ルカはその傍らにいて、献身的にエクセに |回復の奇跡(ヒーリング)を行っている。
この船旅で一番忙しいのは彼女だろう。もちろん次はコニンの番だ。
「ははは、エルフといえば森の民。樹の上で生活していたわりに、バランス感覚が悪いのう」
そのようすを横から茶化すダー。
エクセは気だるげに白い顔を向けると、
「ほっといてください。私は はぐれエルフとしての生活の方が長いのですよ。うっぷ――それに海上と、樹の上ではまったく違います。それに、あなたは人に皮肉を言える状態ですか」
「さて、なんのことやら」と、何食わぬ顔で応えるダー。
「ご自分ではわからないのでしょうが、ダーさんの顔色は悪いというより、もはや青銅色をしています。それにさっきから何度、船室の外へと飛び出したことか」
「なあに、船風が肌に心地よくてのう」
「心地よい割に、顔色は青銅色なのですね」
「この顔色をしたい気分なのじゃ」と、わけのわからぬことを言うと、クロノの介護を拒否し、ルカの回復の奇跡も拒否し、ダーはよろよろと船室の外へと出て行った。
「あきれた負けず嫌い・・・」
扉の外でそんな声が聞こえた気がしたが、もうダーは聞いている余裕がなかった。
そんなこんなで彼らを乗せた船は、やっとのことでザラマの町に着いた。
いそがしく水先案内人が立ち回り、桟橋のほうにいる人々へ、乗組員がロープを投げる。
「タラップ降ろせーーっ!!」
号令のもと、ようやくダーたちは大地を踏みしめることができた。
ザラマの町の通関の手続きは、かなり長引くのが常なのだが、ジェルポートの公爵がすでに話が通していてくれたのか、すばやく済んだのがせめてもの幸いだった。
さっそく宿屋にもぐりもうとした一行だったが、
「ダー、まだ手続きがありますよ……。この町の冒険者ギルドへ行って、パーティー登録を…」
そこで限界だったのか、エクセはふっと気を失ってしまった。
あわててルカが回復の奇跡をかけようとしたが、
「待て待て、もうこやつは限界じゃ。どこか手ごろな宿屋を見つけてそこで休ませるがいい。そのあたりはコニンとルカ、お前らに一任するわい」
「わかったよ、ダーさん!」
「ダーさんではないオッサ……いや、いいのか。ルカ、宜しく頼んだぞ」
「エクセさんのことなら任せてください。ダーさんはどうするのです?」
「こやつの言うとおり、パーティーを登録しておかんといかぬじゃろう。――クロノ」
「………なに……?」
「おまえはワシと一緒にくるのじゃ」
「……え、いいの……?」
ぱあっとクロノの表情が明るくなる。
まるで漆黒の闇夜にランタンの火が灯ったようだ。
「ワシがいいと言っとるのじゃから、いいに決まっておる」
電光石火。そういい終わるが速いか、ダーはさっと身をかわした。
その脇を、クロノの大きな腕がかすめる。
ダーは危なくクロノに抱き殺されるところだったのを、気配で察したのだった。
「……残念……」
「おまえはもうすこし手加減をおぼえんとのう。わしの胴体が破裂してしまうわい」
「その場合は、私が治療してあげますね」とルカが口をはさむ。
「奇跡の無駄遣いじゃ」
うんざりといった表情で、ダーはつぶやいた。
とりあえず待ち合わせ場所を決めておき、五人は散った。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
ザラマの町の冒険者ギルドも、ヴァルシパルやジェルポートとほぼ同じ構造になっている。すなわち一階が酒場であり、冒険者の憩いの場となっていて、受付は二階に設けられている。
彼らが二階へ上がると、周囲から好奇の目が一斉に向けられるのを感じ、狙い通りじゃわいとダーはほくそ笑んだ。
クロノトールのその雄姿、そして異様な、黒で統一した装備は注目の的だった。
どう見ても歴戦の勇者然としたクロノのたたずまいによって、ザラマの冒険者たちに一種の威圧を与えることをダーは目論んだのだ。
どこの世界であろうと、甘く見られてはおしまいということを、ダーは識っていた。
堂々とふたりは、ザラマのギルドの受付に向かう。
経緯を説明すると、恐る恐るといったかんじで、受付嬢のバニー族の女の子は、数枚の羊皮紙をとりだした。ぴょこぴょこと頭上で揺れる耳が愛らしい。
「えーと、必要な書類はこちらになりますね……」
羊皮紙には、彼らの名前とランクが記載されている。
「――では、ご説明させていただきます。6級冒険者であるコニン、ルカディナ、クロノトールの所属していた『清流の戦士団』は解散。みなさんの冒険者パスポートはこちらに一時返還してもらう、という形となります」
「……うん……」
「新たなチームを結成するということですので、新チーム名、ランクを記載したのち、パスは再発行となりますが、ここまではよろしいですね」
「ウム」とダーは頷いた。
ギルド内にはランクがあり、それぞれのキャリア、活躍、受けた仕事の成功率などによって数字が少なくなっていく。
つまり1級が最上級だが、いまのところ、そのランクの冒険者は数名しかいない。
彼女ら三人は6級冒険者。中ランクといったところだ。
もっとも。ダーとエクセが合流して以降、彼女らは徹底的に鍛え上げた。
今では3級程度には達しているに違いないとダーは見ている。
「あとダーさんは約2年、エクセ=リアンさんはもう5年以上クエストをこなしておりませんので、ダーさんはランク6級、エクセさんは7級と、それぞれランクダウンしております」
これにはダーもぶっと吹き出した。
冒険者ギルドは名ばかりで、依頼をこなさない冒険者の存在を、基本的に認めていない。
だから年に一回でもいい。小物探し程度の依頼でも、やらねばならぬ必要があるのだ。さもなくば、ランクはずるずると毎年降格していく。
――エクセが7級!
ダーはエクセの憮然とした様子を脳裏におもいえがき、人の悪そうな笑みを浮かべた。自分自身もランクダウンしていることは、思考の外に放り投げている。
その様子を、不思議そうな顔つきで受付嬢はながめている。
「……ダー、たのしそう……」
クロノも不思議そうな顔つきだ。ランクダウンしたのに笑みを浮かべているダーに不可解さを感じたのだろう。
やがて気を取り直したのか、咳払いひとつして、ふたたび受付嬢は語りはじめた。
「それでは新チームについてですが、まずパーティーリーダーはどなたですか」
「このワシ以外におるまい」
「……そ、そうですか。それではここにリーダーのサインと、それから新チームの名前を決めてください」
「クロノ、何か案はあるか?」
傍らに佇立する女戦士に尋ねると、ふるふると首を振る。
ダーの決めた事ならなんでもいいという顔だ。
彼としては当初より『帰ってきたダー救国戦士団』というパーティー名に決めていたのだが、ここまで無邪気に信頼されては、あんまり無責任な名にはできんなあ、などと思いなおした。
それにこの名前はゲンが悪い。最初の救国戦士団は、戦う前から瓦解しているのだ。なにより、あとでエクセにガミガミと、どんな説教を受けるやら。
ダーとしては新たな名前をひねりだすしかない。
そこで彼は、はた、と思い出したことがあった。
朱雀、不死の鳥―――東西南北のうち南方を守護するといわれる神。
他の地方では、また違った呼び名で崇めているらしいと、エクセがたらたら語っていたのを、鼻をほじって聞き流していた記憶がよみがえってきたのだ。
ダーはペンを執った。チーム名に、こう書き記す。
新パーティー名:『フェニックス』――。
遠き記憶。それは無口な父の、岩のようにごつい背中。
父はダーの憧れであり、一流の職人であり、また戦士であった。
ダーの斧の戦闘術の数々は、幼少期からのスパルタ教育で、すべて父親から叩き込まれた。
ダーが、ドワーフの割に口数が多いのは、生まれつきのことではない。放っておけば一日中無言の父に代わり、少しでも会話をして場を和ませようとする、彼なりの心遣いのせいであった。ダーは常に父親の背中を見ていた。父こそがダーにとって、理想のドワーフ像そのものであった。
そんな父があるとき、「行かねばならぬ」と一声残して、旅へと出たことがあった。
彼は母親とともに、いつ帰るとも知れぬ父親の帰りをひたすら待った。
三年もの歳月を経て、父は帰宅した。
父は体中に傷を負い、頬はこけ、疲労していた。まるで別人のようだ、と母は言った。
それでもダーにとって、尊敬に値する父であることに変わりはなかった。
その父が彼の目の前で、唯一、涙を見せたことがあった。
「ダーよ、ドワーフは常に前を向け。誇りを忘れるな」
そうつぶやいて、父は、男泣きに泣いた。
父の涙を見たのは、その一度きりだった。
そのほのかな記憶が、いつまでもダーの心の奥底に沈殿していた……。
ダーはふと眼を醒ますと、船外へと飛び出した。
尋常ではない嘔吐感のせいであった。
彼らがザラマの町へ到着するまでの船旅は、とにかくひどいありさまだったというしかない。
しばらく風が強い日がつづいたため、船の揺れがひどく、乗組員ですら青い顔をしているぐらいの状況だった。
元気印二重丸のコニンですら、いつもの溌剌さは影をひそめ、小さな桶を手にして呻いている。
「……だいじょうぶ……?」
「悪いが、ぜんぜん大丈夫じゃねえよ」
一方のクロノトールは平気な顔をして、コニンの背を撫でていた。
彼女が幼きころから闘わせられていた円形闘技場では、闘技場内に水を張って、小規模な海戦もどきまで行わせていたのだ。したがって船上での動きも慣れたものだ。
エクセ=リアンは白い顔をますます白くして、小鹿のようにふるふると震えて座りこんでいる。
「がんばってください、エクセ様。町まではもうほんのわずかですから」
ルカはその傍らにいて、献身的にエクセに |回復の奇跡(ヒーリング)を行っている。
この船旅で一番忙しいのは彼女だろう。もちろん次はコニンの番だ。
「ははは、エルフといえば森の民。樹の上で生活していたわりに、バランス感覚が悪いのう」
そのようすを横から茶化すダー。
エクセは気だるげに白い顔を向けると、
「ほっといてください。私は はぐれエルフとしての生活の方が長いのですよ。うっぷ――それに海上と、樹の上ではまったく違います。それに、あなたは人に皮肉を言える状態ですか」
「さて、なんのことやら」と、何食わぬ顔で応えるダー。
「ご自分ではわからないのでしょうが、ダーさんの顔色は悪いというより、もはや青銅色をしています。それにさっきから何度、船室の外へと飛び出したことか」
「なあに、船風が肌に心地よくてのう」
「心地よい割に、顔色は青銅色なのですね」
「この顔色をしたい気分なのじゃ」と、わけのわからぬことを言うと、クロノの介護を拒否し、ルカの回復の奇跡も拒否し、ダーはよろよろと船室の外へと出て行った。
「あきれた負けず嫌い・・・」
扉の外でそんな声が聞こえた気がしたが、もうダーは聞いている余裕がなかった。
そんなこんなで彼らを乗せた船は、やっとのことでザラマの町に着いた。
いそがしく水先案内人が立ち回り、桟橋のほうにいる人々へ、乗組員がロープを投げる。
「タラップ降ろせーーっ!!」
号令のもと、ようやくダーたちは大地を踏みしめることができた。
ザラマの町の通関の手続きは、かなり長引くのが常なのだが、ジェルポートの公爵がすでに話が通していてくれたのか、すばやく済んだのがせめてもの幸いだった。
さっそく宿屋にもぐりもうとした一行だったが、
「ダー、まだ手続きがありますよ……。この町の冒険者ギルドへ行って、パーティー登録を…」
そこで限界だったのか、エクセはふっと気を失ってしまった。
あわててルカが回復の奇跡をかけようとしたが、
「待て待て、もうこやつは限界じゃ。どこか手ごろな宿屋を見つけてそこで休ませるがいい。そのあたりはコニンとルカ、お前らに一任するわい」
「わかったよ、ダーさん!」
「ダーさんではないオッサ……いや、いいのか。ルカ、宜しく頼んだぞ」
「エクセさんのことなら任せてください。ダーさんはどうするのです?」
「こやつの言うとおり、パーティーを登録しておかんといかぬじゃろう。――クロノ」
「………なに……?」
「おまえはワシと一緒にくるのじゃ」
「……え、いいの……?」
ぱあっとクロノの表情が明るくなる。
まるで漆黒の闇夜にランタンの火が灯ったようだ。
「ワシがいいと言っとるのじゃから、いいに決まっておる」
電光石火。そういい終わるが速いか、ダーはさっと身をかわした。
その脇を、クロノの大きな腕がかすめる。
ダーは危なくクロノに抱き殺されるところだったのを、気配で察したのだった。
「……残念……」
「おまえはもうすこし手加減をおぼえんとのう。わしの胴体が破裂してしまうわい」
「その場合は、私が治療してあげますね」とルカが口をはさむ。
「奇跡の無駄遣いじゃ」
うんざりといった表情で、ダーはつぶやいた。
とりあえず待ち合わせ場所を決めておき、五人は散った。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
ザラマの町の冒険者ギルドも、ヴァルシパルやジェルポートとほぼ同じ構造になっている。すなわち一階が酒場であり、冒険者の憩いの場となっていて、受付は二階に設けられている。
彼らが二階へ上がると、周囲から好奇の目が一斉に向けられるのを感じ、狙い通りじゃわいとダーはほくそ笑んだ。
クロノトールのその雄姿、そして異様な、黒で統一した装備は注目の的だった。
どう見ても歴戦の勇者然としたクロノのたたずまいによって、ザラマの冒険者たちに一種の威圧を与えることをダーは目論んだのだ。
どこの世界であろうと、甘く見られてはおしまいということを、ダーは識っていた。
堂々とふたりは、ザラマのギルドの受付に向かう。
経緯を説明すると、恐る恐るといったかんじで、受付嬢のバニー族の女の子は、数枚の羊皮紙をとりだした。ぴょこぴょこと頭上で揺れる耳が愛らしい。
「えーと、必要な書類はこちらになりますね……」
羊皮紙には、彼らの名前とランクが記載されている。
「――では、ご説明させていただきます。6級冒険者であるコニン、ルカディナ、クロノトールの所属していた『清流の戦士団』は解散。みなさんの冒険者パスポートはこちらに一時返還してもらう、という形となります」
「……うん……」
「新たなチームを結成するということですので、新チーム名、ランクを記載したのち、パスは再発行となりますが、ここまではよろしいですね」
「ウム」とダーは頷いた。
ギルド内にはランクがあり、それぞれのキャリア、活躍、受けた仕事の成功率などによって数字が少なくなっていく。
つまり1級が最上級だが、いまのところ、そのランクの冒険者は数名しかいない。
彼女ら三人は6級冒険者。中ランクといったところだ。
もっとも。ダーとエクセが合流して以降、彼女らは徹底的に鍛え上げた。
今では3級程度には達しているに違いないとダーは見ている。
「あとダーさんは約2年、エクセ=リアンさんはもう5年以上クエストをこなしておりませんので、ダーさんはランク6級、エクセさんは7級と、それぞれランクダウンしております」
これにはダーもぶっと吹き出した。
冒険者ギルドは名ばかりで、依頼をこなさない冒険者の存在を、基本的に認めていない。
だから年に一回でもいい。小物探し程度の依頼でも、やらねばならぬ必要があるのだ。さもなくば、ランクはずるずると毎年降格していく。
――エクセが7級!
ダーはエクセの憮然とした様子を脳裏におもいえがき、人の悪そうな笑みを浮かべた。自分自身もランクダウンしていることは、思考の外に放り投げている。
その様子を、不思議そうな顔つきで受付嬢はながめている。
「……ダー、たのしそう……」
クロノも不思議そうな顔つきだ。ランクダウンしたのに笑みを浮かべているダーに不可解さを感じたのだろう。
やがて気を取り直したのか、咳払いひとつして、ふたたび受付嬢は語りはじめた。
「それでは新チームについてですが、まずパーティーリーダーはどなたですか」
「このワシ以外におるまい」
「……そ、そうですか。それではここにリーダーのサインと、それから新チームの名前を決めてください」
「クロノ、何か案はあるか?」
傍らに佇立する女戦士に尋ねると、ふるふると首を振る。
ダーの決めた事ならなんでもいいという顔だ。
彼としては当初より『帰ってきたダー救国戦士団』というパーティー名に決めていたのだが、ここまで無邪気に信頼されては、あんまり無責任な名にはできんなあ、などと思いなおした。
それにこの名前はゲンが悪い。最初の救国戦士団は、戦う前から瓦解しているのだ。なにより、あとでエクセにガミガミと、どんな説教を受けるやら。
ダーとしては新たな名前をひねりだすしかない。
そこで彼は、はた、と思い出したことがあった。
朱雀、不死の鳥―――東西南北のうち南方を守護するといわれる神。
他の地方では、また違った呼び名で崇めているらしいと、エクセがたらたら語っていたのを、鼻をほじって聞き流していた記憶がよみがえってきたのだ。
ダーはペンを執った。チーム名に、こう書き記す。
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