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第二部 一章 この人数でもソロキャンと言いきる勇気編
異世界にて、金策に乗り出そう!
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「この光っておる石は売れるかのう?」
「ちっと待ってくれよ…………ダメだ。
全然珍しい石じゃないみたい」
『異世界の歩き方』を頼りに初音と換金できそうな物を探すが、結果は芳しいとは言えず、早々に行き詰まってしまう。
たとえ生活に利用できそうな物は見つかっても、それが社会的に価値が有るか否かは別問題なのだ。
「人の立ち入らぬ土地なれば手付かずの資源があると思うたのじゃが…おぉ、どうしたギンレイ? 何を咥えておるのかや?」
茂みから現れたギンレイは奇妙に捻くれた棒のような物に齧りつき、時折骨を砕くような音を立てて夢中でベロベロとなめ回している。
初音が近づいても離そうとしないので、よっほど気に入ったのだろう。
俺も気になったので『異世界の歩き方』で調べたところ、ようやく棒の正体が判明する。
「かなり古いけどレイホウシンロクの角だな。
日ノ本固有の鹿らしい。どこかで拾ってきたみたいだね。と、いう事は近くに……」
「鹿肉! さっぱりとした赤身は癖がなく、いくらでも食えそうじゃ! 今夜の夕餉は決まりじゃのう」
鹿と聞いて即座に夕食のメニューまで発想が至る辺り、流石は腹ペコ鬼娘の初音さんですなぁ。
「けど、既にある物を加工するって考えはグッドかもしれん。だとすれば――アイデアが湧いてきたぞ! 要は俺達の手で価値のある物を作れば良いんだ!」
早速スマホを取り出し、Awazonで購入したのは5個セットの狩猟用くくり罠。
それを鹿が出没しそうな場所に置き、籾殻を山盛りにして誘き寄せる。
設置する間、初音は罠を興味深げに眺め、どうやって獲物を捕まえるのか考察していた。
「こう…縄がビューンときて……真っ二つにするんじゃろ?」
「そんなギロチンめいた罠、ホームの近くにあったら俺が怖いわ! 言うまでもなく不正解でーす」
ぷくっと頬を膨らませて考察を続ける初音。
果たして、正しい使い方を閃く事ができるだろうか?
「うーむ、全ての罠に共通する点……。
浅い穴を掘り、近くの木に縄をくくっておったな…。
そうじゃ! 近づいた獲物を木で押し潰すんじゃろ?」
「途中まではイイ線いってたんだけどな~残念!」
初音は更に頬を膨らませてムキになる。
答えを教えてあげてもいいのだけど、それはそれで『ワシが実力で解いてみせる!』とか言うので黙っておく。
「むぅ~~……この面妖な板が怪しい!
これを叩きつけて…否否、考え方が違う!
あくまでも捕獲用の罠であろう……という事は、武器ではないのう。待つがよい……籾殻など食えぬと思うておったが……そうか、答えはこれじゃ!」
設置した罠の板部分を木の棒で押し下げると、バネの力によって瞬間的にワイヤーが獲物の足を捉える仕組みだ。
初音は構造を正しく理解したからこそ、自分の足で罠を発動しようとはしなかった。
未知の物に対して物怖じしない姿勢に加え、地頭の良さを証明した結果と言える。
「どうじゃ!
別世界の技術とやらも大した事はないのう!」
「ははっ、お見事!」
実際の所、俺が飯綱の道具を借りて同じように考察できるか?
多分、誤作動や予想外の結果を恐れて触ろうともしないだろう。
何度も見てきたけど、本当に稀有な子と知り合えたんだな。
「これで鹿を食い放題じゃなぁ!」
「あー…うん。首尾よく獲れたらな。
その時は――お楽しみってトコだね。
さて、お次はキャンプ定番の飲み物、サイダーを作る為の準備だ!」
「ちっと待ってくれよ…………ダメだ。
全然珍しい石じゃないみたい」
『異世界の歩き方』を頼りに初音と換金できそうな物を探すが、結果は芳しいとは言えず、早々に行き詰まってしまう。
たとえ生活に利用できそうな物は見つかっても、それが社会的に価値が有るか否かは別問題なのだ。
「人の立ち入らぬ土地なれば手付かずの資源があると思うたのじゃが…おぉ、どうしたギンレイ? 何を咥えておるのかや?」
茂みから現れたギンレイは奇妙に捻くれた棒のような物に齧りつき、時折骨を砕くような音を立てて夢中でベロベロとなめ回している。
初音が近づいても離そうとしないので、よっほど気に入ったのだろう。
俺も気になったので『異世界の歩き方』で調べたところ、ようやく棒の正体が判明する。
「かなり古いけどレイホウシンロクの角だな。
日ノ本固有の鹿らしい。どこかで拾ってきたみたいだね。と、いう事は近くに……」
「鹿肉! さっぱりとした赤身は癖がなく、いくらでも食えそうじゃ! 今夜の夕餉は決まりじゃのう」
鹿と聞いて即座に夕食のメニューまで発想が至る辺り、流石は腹ペコ鬼娘の初音さんですなぁ。
「けど、既にある物を加工するって考えはグッドかもしれん。だとすれば――アイデアが湧いてきたぞ! 要は俺達の手で価値のある物を作れば良いんだ!」
早速スマホを取り出し、Awazonで購入したのは5個セットの狩猟用くくり罠。
それを鹿が出没しそうな場所に置き、籾殻を山盛りにして誘き寄せる。
設置する間、初音は罠を興味深げに眺め、どうやって獲物を捕まえるのか考察していた。
「こう…縄がビューンときて……真っ二つにするんじゃろ?」
「そんなギロチンめいた罠、ホームの近くにあったら俺が怖いわ! 言うまでもなく不正解でーす」
ぷくっと頬を膨らませて考察を続ける初音。
果たして、正しい使い方を閃く事ができるだろうか?
「うーむ、全ての罠に共通する点……。
浅い穴を掘り、近くの木に縄をくくっておったな…。
そうじゃ! 近づいた獲物を木で押し潰すんじゃろ?」
「途中まではイイ線いってたんだけどな~残念!」
初音は更に頬を膨らませてムキになる。
答えを教えてあげてもいいのだけど、それはそれで『ワシが実力で解いてみせる!』とか言うので黙っておく。
「むぅ~~……この面妖な板が怪しい!
これを叩きつけて…否否、考え方が違う!
あくまでも捕獲用の罠であろう……という事は、武器ではないのう。待つがよい……籾殻など食えぬと思うておったが……そうか、答えはこれじゃ!」
設置した罠の板部分を木の棒で押し下げると、バネの力によって瞬間的にワイヤーが獲物の足を捉える仕組みだ。
初音は構造を正しく理解したからこそ、自分の足で罠を発動しようとはしなかった。
未知の物に対して物怖じしない姿勢に加え、地頭の良さを証明した結果と言える。
「どうじゃ!
別世界の技術とやらも大した事はないのう!」
「ははっ、お見事!」
実際の所、俺が飯綱の道具を借りて同じように考察できるか?
多分、誤作動や予想外の結果を恐れて触ろうともしないだろう。
何度も見てきたけど、本当に稀有な子と知り合えたんだな。
「これで鹿を食い放題じゃなぁ!」
「あー…うん。首尾よく獲れたらな。
その時は――お楽しみってトコだね。
さて、お次はキャンプ定番の飲み物、サイダーを作る為の準備だ!」
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