86 / 255
第一部 ニ章 異世界キャンパー編
巨大ナマズの調理方法とは?
しおりを挟む
沈みゆく太陽を背に、力強い言葉が胸を打つ。
お前を信じる、とか真顔で言うとはねぇ。
……本当に参った。
こうなると、相手を値踏みして真実を話さなかった俺の立つ瀬がないじゃないか。
――そんなのダサすぎだろ…。
「俺を怒らないんですか?
貴方を騙していたも同然の俺を」
「もしも、姫様を誑かしていたなら即座に首を斬っていた。だが、そうではないと分かったのなら当方の感情だけで沙汰は下せぬ」
どこまでも初音ファーストの考えとは恐れ入った。
なるほど。
これが日ノ本武士という生き方か…。
「ふむ、双方の蟠りも綺麗さっぱりとしたようで重畳の至りじゃ。ところでのう、そろそろ穴堀と夕餉の関係について教えてくれぬか?」
空腹に耐えかねた初音が別の理由を尋ねる。
確かにコレが料理の工程とは思えないもんな。
「あぁ、済まない。
これだけ大きな魚を調理するなら丸ごと蒸し焼きにするしかないって考えたんだ」
かつては世界中の様々な地域で行われていた古来の調理方法『アースオーブン』は、熱した石や火山地域の地熱を利用して食材を蒸し焼きにする。
今回は都合よく地面が砂利だったので、このまま穴の中で焚き火をした後、ツチナマズを埋めれば準備完了だ。
「石を暖めてる間にナマズの処理をしとくよ。
それと…あのスープ? なんだけど……」
「うむ、ワシの自信作じゃ!
存分に食すがよいぞ!」
あれを?
いやいや、完食のハードル高いって!
人の作った物にケチをつけるようで申し訳ないけど、ナマズ三匹を丸々煮込んだだけの半固体状スープ擬きがどんな味なのか想像もつかない。
けど、初音が初めて作った料理なんだし、ちゃんと食べてやらないとな。
「…ダッチオーブンから禍々しい妖気を感じるけど……」
多分、食べても死なないだろう。……多分。
二人に火の番を頼む傍ら、巨大ツチナマズの下処理も可能な範囲で行う。
とはいえ、これだけ大きい魚ともなれば、洗うだけでも大変な重労働。
そこでAwazonで新たに購入したのが、アウトドア用簡易シャワー。
電気を使わずにポンピングでタンク内の空気を圧縮し、屋外でシャワーを浴びられるアイテムだ。
「おぉ、こりゃ楽ちんだ~♪」
通常のシャワーと比較して圧力が弱く、タンクの容量も十分とは言えないが、格段に作業が捗るのは大きなメリット。
なにより、外でシャワーが浴びれる事で洗髪も楽々になるし、もっと早く買えば良かった。
ヌメリやハラワタを処理した後、表面に等間隔で切り込みを入れて調味料やハーブ、輪切りにしたカドデバナを挟み、追加で購入したアルミホイルで全体を包む。
最後に型崩れを防ぐ金網をグルグル巻きにすれば完了なのだけど、マジに料理というよりミイラに近い見た目になってしまった。
……まぁ、食えりゃいいんだよ。
「よーし、これで下処理は終わり!」
恐ろしくクッソ重い巨大魚でも、鬼属サマの手にかかれば石ころと変わらない。
初音が穴にツチナマズを放り込んだ後は、焼けた石を上から丁寧に被せれば全ての工程は終了。
「さて、焼き上がるまでに待望の発酵石で酒を作ろうか。楽しみに待っててくれよ」
――いつぞやの礼も含めて、今夜は一杯奢ってやらないとな。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここまでのAwazonポイント収支
『発酵石を入手――50000P』
以下を購入
『マイクロトーチ――1600ポイント』
『爆竹――260ポイント』
『鉈――9400ポイント』
『モグラ撃退器(16個合計)――32000ポイント』
『治療キット一式――26000ポイント』
現在のAwazonポイント――272,140P
お前を信じる、とか真顔で言うとはねぇ。
……本当に参った。
こうなると、相手を値踏みして真実を話さなかった俺の立つ瀬がないじゃないか。
――そんなのダサすぎだろ…。
「俺を怒らないんですか?
貴方を騙していたも同然の俺を」
「もしも、姫様を誑かしていたなら即座に首を斬っていた。だが、そうではないと分かったのなら当方の感情だけで沙汰は下せぬ」
どこまでも初音ファーストの考えとは恐れ入った。
なるほど。
これが日ノ本武士という生き方か…。
「ふむ、双方の蟠りも綺麗さっぱりとしたようで重畳の至りじゃ。ところでのう、そろそろ穴堀と夕餉の関係について教えてくれぬか?」
空腹に耐えかねた初音が別の理由を尋ねる。
確かにコレが料理の工程とは思えないもんな。
「あぁ、済まない。
これだけ大きな魚を調理するなら丸ごと蒸し焼きにするしかないって考えたんだ」
かつては世界中の様々な地域で行われていた古来の調理方法『アースオーブン』は、熱した石や火山地域の地熱を利用して食材を蒸し焼きにする。
今回は都合よく地面が砂利だったので、このまま穴の中で焚き火をした後、ツチナマズを埋めれば準備完了だ。
「石を暖めてる間にナマズの処理をしとくよ。
それと…あのスープ? なんだけど……」
「うむ、ワシの自信作じゃ!
存分に食すがよいぞ!」
あれを?
いやいや、完食のハードル高いって!
人の作った物にケチをつけるようで申し訳ないけど、ナマズ三匹を丸々煮込んだだけの半固体状スープ擬きがどんな味なのか想像もつかない。
けど、初音が初めて作った料理なんだし、ちゃんと食べてやらないとな。
「…ダッチオーブンから禍々しい妖気を感じるけど……」
多分、食べても死なないだろう。……多分。
二人に火の番を頼む傍ら、巨大ツチナマズの下処理も可能な範囲で行う。
とはいえ、これだけ大きい魚ともなれば、洗うだけでも大変な重労働。
そこでAwazonで新たに購入したのが、アウトドア用簡易シャワー。
電気を使わずにポンピングでタンク内の空気を圧縮し、屋外でシャワーを浴びられるアイテムだ。
「おぉ、こりゃ楽ちんだ~♪」
通常のシャワーと比較して圧力が弱く、タンクの容量も十分とは言えないが、格段に作業が捗るのは大きなメリット。
なにより、外でシャワーが浴びれる事で洗髪も楽々になるし、もっと早く買えば良かった。
ヌメリやハラワタを処理した後、表面に等間隔で切り込みを入れて調味料やハーブ、輪切りにしたカドデバナを挟み、追加で購入したアルミホイルで全体を包む。
最後に型崩れを防ぐ金網をグルグル巻きにすれば完了なのだけど、マジに料理というよりミイラに近い見た目になってしまった。
……まぁ、食えりゃいいんだよ。
「よーし、これで下処理は終わり!」
恐ろしくクッソ重い巨大魚でも、鬼属サマの手にかかれば石ころと変わらない。
初音が穴にツチナマズを放り込んだ後は、焼けた石を上から丁寧に被せれば全ての工程は終了。
「さて、焼き上がるまでに待望の発酵石で酒を作ろうか。楽しみに待っててくれよ」
――いつぞやの礼も含めて、今夜は一杯奢ってやらないとな。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここまでのAwazonポイント収支
『発酵石を入手――50000P』
以下を購入
『マイクロトーチ――1600ポイント』
『爆竹――260ポイント』
『鉈――9400ポイント』
『モグラ撃退器(16個合計)――32000ポイント』
『治療キット一式――26000ポイント』
現在のAwazonポイント――272,140P
12
お気に入りに追加
333
あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

スキル【レベル転生】でダンジョン無双
世界るい
ファンタジー
六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。
そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。
そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。
小説家になろう、カクヨムにて同時掲載
カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】
なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】

いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる