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帰れない夜
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「車って……。社長、さっきビール飲んでましたよね?」
「ん、もう平気。すっかり抜けてるから」
「何言ってるんですか、全然抜けてませんよ。2本開けてましたよね?すっごい眠そうだし、その状態で運転とか怖くて助手席に乗れません」
「大丈夫だよ。俺、運転上手いだろ?」
「そういう問題じゃないですよ。睡眠不足でお酒入ってたら絶対運転しちゃダメです。捕まりたくなかったら、言うこと聞いてください」
渚は冷えたビールに口をつけながら、相変わらずいい加減な小野寺に呆れ果てた。
送ってくれるという気持ちは正直嬉しい。けれども万が一、社長が事故でも起こしたらとんでもないことになるのは明らかだ。
「でもさぁ、この天気で金曜の夜中で、タクシー捕まえるの大変だぜ?」
「そりゃそうですけど……」
そうだった。以前雨の金曜日に飲み会があって、深夜に延々タクシー乗り場で待たされたのを思い出す。あれをもう一度経験する気力も体力も今の渚には残っていない。
「うーん、どうしよう。……もう、社長があんなにビール飲むからいけないんですよ!」
「飲まずにいられるかよ、あのハゲオヤジに無理難題押し付けられてよ」
「まあ、それはそうですよね。あのハゲには私もいい加減キレそうに……」
「だろっ?!俺の繊細なハートがあのアホハゲに踏みにじられたんだぜ。飲まずにいられるかよ」
小野寺はそう言いながらもどこか楽しげに笑っている。ああいうややこしいクライアントを相手にするほど、小野寺は面白がって俄然燃えるタイプなのだ。
同席していた渚も、あのハゲオヤジには内心ムカムカして仕方なかった。「こんな非常識な人の依頼なんて受けるのやめましょう」と、何度も小野寺の腕を引っ張りたくなった。
それでも苛立ちをグッと堪え、穏やかな笑顔を浮かべたままなんとか話をまとめた小野寺を見て、やっぱり自分などには想像もつかない修羅場をくぐってきた人なのだと改めて感心したのも事実だった。
飄々としていてすぐにおちゃらけて、口も悪いしセクハラ気質。でも仕事は早いし意外と頼りになって優しいところもある。それに、悔しいけれど見た目はクールな色男なのだから余計に癪に障るのだ。
小野寺に振り回されて、イライラソワソワしながらつい面倒を見てしまうことに我ながら呆れつつ、心のどこかでこういう立ち位置を気に入っている自分がいる。社内の誰よりも自分が小野寺の一番近くにいるということが、渚の秘かな自慢となっているのも否定しようのない事実だ。ただ、渚自身がその気持ちを認めたくないだけで。
結局そのまま深夜のオフィスに残り、小野寺とビールを飲みながら他愛無い会話を続けた。
渚は小野寺とどうでもいい話をするのが結構好きだ。小野寺は独特のペースで面白い話をしてくれるし、本音を言えば彼の声を聞いているのが心地良かった。渚がいちいち小野寺の話に反応して驚いたり笑ったりすると、小野寺もまた気を良くして更に話を発展させる。
一緒にクライアント先に同行した時など、帰りの車では大抵くだらない話でふたりして盛り上がることが多い。もちろん口が悪いのでムッとすることもあるけれど、それ以上に楽しい気持ちの方が勝っていた。そのままずっとおしゃべりしていたくて、会社に到着するのが勿体ない気持ちになることも少なくなかった。
今夜もまた、一仕事終えた解放感とアルコールの影響もあってダラダラと話し込んでしまった。
今日のお昼に食べた定食が値段のわりに不味くて腹が立ったという話の延長で、小野寺がピーマンを嫌いな理由を真剣な顔で滔々と語り出した。
裏通りに最近オープンした居酒屋の「ピーマン焼き」が絶品らしいと渚が言うと、「だったら今度おまえの奢りで食いに行こう」と図々しく甘えてくる。部下が上司に奢るなんておかしいと文句を言うと、「いつも散々奢ってやってるだろーが、ワガママ娘」と頭をポンと叩かれた。
だらしない姿勢でデスクに頬杖をつき、次々繰り出される話に突っ込みを入れてはケラケラ笑いあった。そうしているうちに本格的に睡魔が襲ってきて、小野寺が盛大なあくびをした。
釣られて渚も大きなあくびをし、その様子を小野寺にまじまじと見られて訳もなく恥ずかしくなった。ふと、真夜中に誰もいないオフィスで小野寺とふたりきりだという事実を意識してしまい、さてこれからどうすべきかと今更迷い始めた。
表の雨はまだ激しく降り続いているようだ。もう帰ることは諦め、始発の時間までここで待機していた方がいいような気がする。
「さすがに疲れたな……。運転できない、タクシー捕まらないとなると、しょうがねーなぁ。酒が抜けるまでここでちょっと仮眠するか」
そう言って小野寺はおもむろに立ち上がり、フラフラと応接室に向かって歩き出した。
「ほら、来いよ」
振り返って渚を手招きする。
来いよと言われても……。え?一緒に応接室で仮眠しろってこと?
小野寺の考えていることがいまいち分からないまま、渚は戸惑いつつも彼の後を追った。
小さな会社ゆえ狭く簡素な応接室だが、座り心地の良い大きなソファと、向かい側に一人掛けの椅子、そして間に小さなガラステーブルが置いてある。小野寺はこのソファで時々仮眠を取っているらしく、奥の物入れには愛用のフリース素材のブランケットが常備してあった。
「おまえはソファを使え。ほら、俺の仮眠用グッズを貸してやる」
小野寺は物入れからブランケットを取り出して渚に放って寄越した。自分は当然のように一人掛けの椅子を選び、深々と身体を預けてさっさと眼を閉じる。
「あ、でも社長……。そっちの椅子で寝たら身体が痛くなりますよ。もう若くないんだから……」
渚の言葉に小野寺が眼を開け、ぎろっと睨んだ。
「人をジジイ扱いするんじゃねえ」
「そういうわけじゃ……。でも、その椅子は絶対身体に良くないですって。首とか背中を痛めちゃいます」
一瞬の沈黙。小野寺が渚の顔をじっと見た。
「……なんだよ。そっちで一緒に寝てほしいのか?俺はそれでもいいぞ」
真顔でそう言われ、渚は意に反してみるみる赤面した。
この男は、妙に真面目な顔でこういうセクハラ発言をするクセがある。その度に渚がドギマギするのを見て面白がり、「中学生みたいだな」とからかって喜ぶのだ。
そして何よりも、いつまで経っても小野寺のこの手の冗談に慣れず、大人の反応ができない自分が情けなくて仕方なかった。気の利いた冗談で切り返してみたいのに、なぜだか渚はムキになって子供っぽさを露呈してばかりいる。
普段、他の男性たちに対してはこんなにオタオタしないのに。
必死でクールダウンしようと難しい顔を作り、「私は社長の身体を心配しただけです!」とそっぽを向いた。
人がせっかく心配して言ってるのに、すぐにそうやっていやらしい冗談に持っていこうとするんだから……!だいたい一緒の部屋で仮眠を取ろうと言うこと自体、セクハラじゃないのか。……まあ確かにこのオフィスで横になれる場所なんて、この応接室くらいしかないのだけれど。
「と、とにかくそっちの椅子だと身体痛めちゃいますから、ソファを半分ずつ使いましょう」
渚は小野寺の顔を見ないようにしながら、ソファの左端に身体を寄せた。柔らかい肘掛け部分に頭を乗せて身体を倒せば、半分のスペースでなんとか足りる。
「そっち半分、社長が使ってくださいね。おやすみなさい」
渚はブランケットを半分だけ身体に引き寄せると、ギュッと眼を閉じて眠る体勢に入った。
妙に気づまりなこの空気から早く逃れたかった。なぜかさっきから心臓が騒いで仕方ないのだ。
しばらく様子を伺っていた小野寺が、「ふーん」と言いながらソファの反対側に腰を下ろす気配がした。
ふーん、とは何なのだ。渚の余裕のない態度をバカにしているのだろうか。
小野寺が応接室の照明を落とした。開け放したドアから、オフィスのフロアの明かりが差し込むだけになる。
小野寺は腰を下ろした後、動く気配が感じられない。ブランケットを引っ張る様子もない。
どうしても気になってしまい、恐る恐る眼を開けてみた。暗がりの中、至近距離で小野寺に顔を覗かれていたことに気づき、思わず「ひゃっ!」と声を上げてしまった。
「……何ですか?まだ何か用事あります……?」
薄暗い室内で、小野寺の瞳が黒々と光って見える。どうしてこんなに距離が近いのか。息までかかりそうなほど顔が近付いている。
「おまえさ、緊張してる?」
「し、してませんよ……!何言って……」
「だってさっきから様子が変だぞ。あたふたしちゃってさ。……もしかして、俺に襲われるとか期待してたりする?」
「バ……っ!期待って、どこまで自惚れてるんですか!もうほんと、信じられない」
なんだか無性に腹が立ってきた。緊張しているのは図星だったので、余裕しゃくしゃくの小野寺の態度が悔しくて仕方なかった。
「もう、寝ますから!」
渚がブランケットを肩まで引き上げようとすると、小野寺がそれを遮って渚の手を握ってきた。
心臓がドキンと大きく跳ね上がる。こんな暗い場所で、ここまで顔を近づけて、この男はどうして手なんて握ってくるのだろう……?
「おまえってさ、あんまり男を知らないだろ」
一番知られたくないところを突かれ、渚は小野寺の顔を見上げながら絶句した。
「ん、もう平気。すっかり抜けてるから」
「何言ってるんですか、全然抜けてませんよ。2本開けてましたよね?すっごい眠そうだし、その状態で運転とか怖くて助手席に乗れません」
「大丈夫だよ。俺、運転上手いだろ?」
「そういう問題じゃないですよ。睡眠不足でお酒入ってたら絶対運転しちゃダメです。捕まりたくなかったら、言うこと聞いてください」
渚は冷えたビールに口をつけながら、相変わらずいい加減な小野寺に呆れ果てた。
送ってくれるという気持ちは正直嬉しい。けれども万が一、社長が事故でも起こしたらとんでもないことになるのは明らかだ。
「でもさぁ、この天気で金曜の夜中で、タクシー捕まえるの大変だぜ?」
「そりゃそうですけど……」
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「まあ、それはそうですよね。あのハゲには私もいい加減キレそうに……」
「だろっ?!俺の繊細なハートがあのアホハゲに踏みにじられたんだぜ。飲まずにいられるかよ」
小野寺はそう言いながらもどこか楽しげに笑っている。ああいうややこしいクライアントを相手にするほど、小野寺は面白がって俄然燃えるタイプなのだ。
同席していた渚も、あのハゲオヤジには内心ムカムカして仕方なかった。「こんな非常識な人の依頼なんて受けるのやめましょう」と、何度も小野寺の腕を引っ張りたくなった。
それでも苛立ちをグッと堪え、穏やかな笑顔を浮かべたままなんとか話をまとめた小野寺を見て、やっぱり自分などには想像もつかない修羅場をくぐってきた人なのだと改めて感心したのも事実だった。
飄々としていてすぐにおちゃらけて、口も悪いしセクハラ気質。でも仕事は早いし意外と頼りになって優しいところもある。それに、悔しいけれど見た目はクールな色男なのだから余計に癪に障るのだ。
小野寺に振り回されて、イライラソワソワしながらつい面倒を見てしまうことに我ながら呆れつつ、心のどこかでこういう立ち位置を気に入っている自分がいる。社内の誰よりも自分が小野寺の一番近くにいるということが、渚の秘かな自慢となっているのも否定しようのない事実だ。ただ、渚自身がその気持ちを認めたくないだけで。
結局そのまま深夜のオフィスに残り、小野寺とビールを飲みながら他愛無い会話を続けた。
渚は小野寺とどうでもいい話をするのが結構好きだ。小野寺は独特のペースで面白い話をしてくれるし、本音を言えば彼の声を聞いているのが心地良かった。渚がいちいち小野寺の話に反応して驚いたり笑ったりすると、小野寺もまた気を良くして更に話を発展させる。
一緒にクライアント先に同行した時など、帰りの車では大抵くだらない話でふたりして盛り上がることが多い。もちろん口が悪いのでムッとすることもあるけれど、それ以上に楽しい気持ちの方が勝っていた。そのままずっとおしゃべりしていたくて、会社に到着するのが勿体ない気持ちになることも少なくなかった。
今夜もまた、一仕事終えた解放感とアルコールの影響もあってダラダラと話し込んでしまった。
今日のお昼に食べた定食が値段のわりに不味くて腹が立ったという話の延長で、小野寺がピーマンを嫌いな理由を真剣な顔で滔々と語り出した。
裏通りに最近オープンした居酒屋の「ピーマン焼き」が絶品らしいと渚が言うと、「だったら今度おまえの奢りで食いに行こう」と図々しく甘えてくる。部下が上司に奢るなんておかしいと文句を言うと、「いつも散々奢ってやってるだろーが、ワガママ娘」と頭をポンと叩かれた。
だらしない姿勢でデスクに頬杖をつき、次々繰り出される話に突っ込みを入れてはケラケラ笑いあった。そうしているうちに本格的に睡魔が襲ってきて、小野寺が盛大なあくびをした。
釣られて渚も大きなあくびをし、その様子を小野寺にまじまじと見られて訳もなく恥ずかしくなった。ふと、真夜中に誰もいないオフィスで小野寺とふたりきりだという事実を意識してしまい、さてこれからどうすべきかと今更迷い始めた。
表の雨はまだ激しく降り続いているようだ。もう帰ることは諦め、始発の時間までここで待機していた方がいいような気がする。
「さすがに疲れたな……。運転できない、タクシー捕まらないとなると、しょうがねーなぁ。酒が抜けるまでここでちょっと仮眠するか」
そう言って小野寺はおもむろに立ち上がり、フラフラと応接室に向かって歩き出した。
「ほら、来いよ」
振り返って渚を手招きする。
来いよと言われても……。え?一緒に応接室で仮眠しろってこと?
小野寺の考えていることがいまいち分からないまま、渚は戸惑いつつも彼の後を追った。
小さな会社ゆえ狭く簡素な応接室だが、座り心地の良い大きなソファと、向かい側に一人掛けの椅子、そして間に小さなガラステーブルが置いてある。小野寺はこのソファで時々仮眠を取っているらしく、奥の物入れには愛用のフリース素材のブランケットが常備してあった。
「おまえはソファを使え。ほら、俺の仮眠用グッズを貸してやる」
小野寺は物入れからブランケットを取り出して渚に放って寄越した。自分は当然のように一人掛けの椅子を選び、深々と身体を預けてさっさと眼を閉じる。
「あ、でも社長……。そっちの椅子で寝たら身体が痛くなりますよ。もう若くないんだから……」
渚の言葉に小野寺が眼を開け、ぎろっと睨んだ。
「人をジジイ扱いするんじゃねえ」
「そういうわけじゃ……。でも、その椅子は絶対身体に良くないですって。首とか背中を痛めちゃいます」
一瞬の沈黙。小野寺が渚の顔をじっと見た。
「……なんだよ。そっちで一緒に寝てほしいのか?俺はそれでもいいぞ」
真顔でそう言われ、渚は意に反してみるみる赤面した。
この男は、妙に真面目な顔でこういうセクハラ発言をするクセがある。その度に渚がドギマギするのを見て面白がり、「中学生みたいだな」とからかって喜ぶのだ。
そして何よりも、いつまで経っても小野寺のこの手の冗談に慣れず、大人の反応ができない自分が情けなくて仕方なかった。気の利いた冗談で切り返してみたいのに、なぜだか渚はムキになって子供っぽさを露呈してばかりいる。
普段、他の男性たちに対してはこんなにオタオタしないのに。
必死でクールダウンしようと難しい顔を作り、「私は社長の身体を心配しただけです!」とそっぽを向いた。
人がせっかく心配して言ってるのに、すぐにそうやっていやらしい冗談に持っていこうとするんだから……!だいたい一緒の部屋で仮眠を取ろうと言うこと自体、セクハラじゃないのか。……まあ確かにこのオフィスで横になれる場所なんて、この応接室くらいしかないのだけれど。
「と、とにかくそっちの椅子だと身体痛めちゃいますから、ソファを半分ずつ使いましょう」
渚は小野寺の顔を見ないようにしながら、ソファの左端に身体を寄せた。柔らかい肘掛け部分に頭を乗せて身体を倒せば、半分のスペースでなんとか足りる。
「そっち半分、社長が使ってくださいね。おやすみなさい」
渚はブランケットを半分だけ身体に引き寄せると、ギュッと眼を閉じて眠る体勢に入った。
妙に気づまりなこの空気から早く逃れたかった。なぜかさっきから心臓が騒いで仕方ないのだ。
しばらく様子を伺っていた小野寺が、「ふーん」と言いながらソファの反対側に腰を下ろす気配がした。
ふーん、とは何なのだ。渚の余裕のない態度をバカにしているのだろうか。
小野寺が応接室の照明を落とした。開け放したドアから、オフィスのフロアの明かりが差し込むだけになる。
小野寺は腰を下ろした後、動く気配が感じられない。ブランケットを引っ張る様子もない。
どうしても気になってしまい、恐る恐る眼を開けてみた。暗がりの中、至近距離で小野寺に顔を覗かれていたことに気づき、思わず「ひゃっ!」と声を上げてしまった。
「……何ですか?まだ何か用事あります……?」
薄暗い室内で、小野寺の瞳が黒々と光って見える。どうしてこんなに距離が近いのか。息までかかりそうなほど顔が近付いている。
「おまえさ、緊張してる?」
「し、してませんよ……!何言って……」
「だってさっきから様子が変だぞ。あたふたしちゃってさ。……もしかして、俺に襲われるとか期待してたりする?」
「バ……っ!期待って、どこまで自惚れてるんですか!もうほんと、信じられない」
なんだか無性に腹が立ってきた。緊張しているのは図星だったので、余裕しゃくしゃくの小野寺の態度が悔しくて仕方なかった。
「もう、寝ますから!」
渚がブランケットを肩まで引き上げようとすると、小野寺がそれを遮って渚の手を握ってきた。
心臓がドキンと大きく跳ね上がる。こんな暗い場所で、ここまで顔を近づけて、この男はどうして手なんて握ってくるのだろう……?
「おまえってさ、あんまり男を知らないだろ」
一番知られたくないところを突かれ、渚は小野寺の顔を見上げながら絶句した。
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