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Lesson 2
毛布
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まだ浅い箇所に挿れただけなのに、桃が声を上げて俺の肩にきつくしがみついてきた。
「んっ・・・!ふ、あっ・・・!」
苦しげに身をよじらせ、反射的に上へ上へと逃げようとする。
「痛いか?桃、大丈夫?」
「あ・・・、少し・・・っ。でも、思ったより平気・・・。けど、あ、すごい圧迫感・・・」
桃はしゃくりあげるような呼吸をして、不安げに俺を見上げた。前髪を掻き上げて額にそっとキスしてやると、表情が少し和らぐ。甘えた瞳が嫌になるほど可愛い。
「ゆっくり息を吐いてごらん。そう、脚をもうちょっと上げて。ん、いいよ、桃・・・」
桃のなかは熱くてぬるぬると柔らかくて、だが俺のペニスを締めあげるようにきゅうっときつく吸いついてきた。まだ半分しか挿れていないのに、気持ち良すぎて腰が痺れそうになる。
「先生・・・、私、大丈夫。もっと、きて・・・」
桃が俺を欲してすがりついてきた。
俺は唇を吸うようにキスしながら、更に奥へと腰を動かした。乳首を摘みながら舌先を絡ませあうと、快楽で桃の身体から力が抜ける。
桃の左足を抱えるようにしてやや持ち上げ、更に深くまで挿入できるように身体を密着させた。
グッとめり込ませるように最後の一押しをする。
「あ、ああっ・・・!」
桃が喉を反らせ、ひと際せつない声を上げた。皮膚が打ち合う音。根元まで挿入った充足感に深く包まれ、俺は激しく身震いした。
「・・・がんばったな、桃。俺の全部、おまえのものになったよ」
桃の髪を撫でながら、こめかみにくちづけた。
「あっ、せんせ・・・。先生、嬉しい・・・」
「俺はもっと嬉しいよ。・・・痛いか?辛い?」
「ん、大丈夫。少し、このままでいて・・・」
桃の涙を舌ですくい取り、それから唇に優しくキスした。桃が俺の首にしがみつくように手を回してきて、ちゅ、ちゅくっと濡れた唇で俺を求めてくる。
溶けあう舌が心地良くて、桃のなかに包まれている俺の熱の塊がビクビクと反応した。大きくなっているのが分かるのか、桃が唇を離して「あっ・・・」と俺の眼を覗き込んだ。
「分かるか?なかで、もっと大きくなってるの」
「うん、・・・分かる。先生、気持ちいい?」
「気持ちいいよ。桃のなか、気持ち良すぎて身体が溶けそうだ」
ふふっ、と桃が涙顔で笑った。桃が幸せそうに笑う顔を見ていると、俺の方がもっと幸せで泣けてきそうになる。
「少し、動いていいか?」
「うん、平気。・・・少し馴染んで、なんだか気持ち良くなってきた。先生のしたいようにして」
「・・・痛かったら言えよ」
「うん。でも大丈夫。もっと先生に気持ち良くなってほしい」
桃が俺の顔を引き寄せて、甘く舌を絡めてきた。短時間で、あっという間にキスが上手くなっている。本当に、なんて悪い娘だろう。
俺は桃に夢中になった。もともと夢中だったが、今夜を境に完全に虜になるのが分かった。
最初はできるだけゆっくり抽送を繰り返した。桃を痛がらせないよう、苦しくさせないよう、できる限り気を付けているつもりだった。
だが桃の喉から甘い喘ぎが漏れ、俺の肌を掴む手が汗ばんで来たのを感じると、これ以上セーブができなくなった。桃がどんどん乱れていく。そのあられもない姿態に俺のモノが激しく煽られていく。
桃のなかの、複雑で柔らかな小部屋を繰り返し激しく攻め立てた。
スピードを上げるにつれ、桃の身体がどんどんしなる。俺の背中に爪を立てて、俺の愛しい女が必死にしがみついてくる。
繋がっているところからふたりの液が混じりあって飛び散り、互いの肌をいやらしく濡らした。俺はもう加減することを忘れてしまい、ひたすら桃のなかに深く溺れてのめり込んだ。
「桃・・・!ごめ・・・、俺、もうイク・・・」
「あぁっ・・・、あんっ・・・。竜一、先生・・・!」
名前を呼ばれ、俺の胸がドキンと激しく打った。
甘い喜びに一瞬我を忘れる。ペニスを抜くタイミングを間違え、そのまま俺は桃のなかに勢いよく射精してしまった。
「ふ・・・っ、んんっ・・・!」
しまった、とは思ったが、桃のなかで精を解き放つのはあまりに気持ち良すぎた。
そのまま桃の腰を掴まえてドクドクとすべてを出し切ってしまい、放心状態のまま俺は桃の身体の上に倒れ込んだ。
「ごめん、桃・・・。ほんと、ごめん。なかで出しちまった・・・」
荒い息のまま桃の髪を撫でて謝ると、桃が俺の腕をギュッと胸に抱き寄せた。
「・・・いいの。私、そうしてほしかったから・・・。先生、心配しないで。今日、大丈夫な日だと思う」
胸を上下させて呼吸を乱しながら、桃が俺に笑顔を向ける。額や首筋に汗が光っていて、瞳は憎らしいくらい色っぽかった。
「それに私、先生の赤ちゃん、欲しいもん・・・」
言ってから桃は、真っ赤になって俺の首筋に顔を突っ伏した。
胸が痛くなった。幸福で胸が痛むという感覚を、俺は桃に出逢って初めて知った。
「先生が、結婚してなくて良かった」
俺の胸でまどろみながら、桃がぽつんと呟いた。
裸で抱きあったまま毛布にくるまっているだけで、たまらなく甘い気持ちになる。俺は桃の髪を何度も手で梳きながら、オレンジ色のライトを映す瞳を覗き込んだ。
「きっと、もう結婚してると思ってたの。高校のとき、結婚目前の彼女がいるって噂だったから」
「ああ・・・。アレか・・・」
たしか教師になりたての頃、女子生徒が寄ってきては「センセイ、カノジョいるのー?」とうるさくて面倒だったので、適当に「いるかもな」と答えたのだ。「ケッコンするのー?」「かもな」などとやり過ごした気がする。それがいかにも信憑性の高い噂となって広まり、桃たちの代まで伝わっていたとは迂闊だった。
「まあ、つきあってた相手はいたけどな。でもおまえの担任になった頃には、もう上手くいかなくなってろくに会ってなかったぞ」
「・・・そうなの?!」
桃がガバッと身を乗り出して俺の顔を凝視した。乳房が柔らかく俺の胸に当たり、非常に気持ちがいい。俺は桃の肩が冷えないように改めて毛布を掛け直し、腰を抱き寄せた。
「そうだよ。そんな、驚くことか?」
「・・・だって、先生には決まった人がいるって思ってたから。私ずっと、好きになっても望みはないと思って我慢してたのに」
「・・・別に我慢するなよ。て言うか、そのわりに俺にまとわりついてたじゃないか」
俺がからかうように言うと、桃がふくれっ面をして俺の鼻を指で摘んだ。
「だから、せめて生徒として少しでも仲良くなりたかったんだもん。でも先生に近づけば近づくほど、やっぱり本当に好きになっちゃって、困っちゃった」
そう言ってから、しばらくいろいろ昔を想い返すような顔をしていた桃は、ハアッと大きく息をついた。
「やだもう・・・。彼女とダメになってたなら教えてよ。先生の意地悪」
「だって、おまえそういうこと聞かなかったじゃないか」
「そうだけど。・・・でも」
桃が俺の胸をぶった。結構痛い。
俺は桃の手を掴んで動きを封じ込め、「ゴメン」と言って、宥めるようにキスした。すぐに濡れた音が響き、俺たちはまたしばらくキスに夢中になる。
「・・・きっともう、結婚してると思ったけど、でもどうしても逢いに来たかったの。もう一度だけ先生に逢いたかった。そうじゃないと、一生後悔するって思った」
桃は俺の胸に頬っぺたを預けた状態で言葉を続けた。
「先生、私がここの予備校で働くことになったの、偶然だと思った・・・?」
俺は桃の顔をじっと見た。偶然だろうと思いつつ、心のどこかで偶然じゃないことを期待していた。桃が俺を探し出して、自分の意思で会いに来てくれたならいいのにと。
「正直、未だにこの展開が信じられないよ。偶然、なのか・・・?」
桃はしばらく俺の顔を見つめてから、ちょっと決まり悪そうな顔で打ち明けた。
「・・・偶然じゃないの。先生に逢いたくて、私が追いかけてきたの。先生がいる予備校を調べて、事務の求人が出てるのを見て会社辞めて、東京に出てきたの。私、ストーカーみたいなことしたの。先生、そういうの、キモチワルイと思う・・・?」
桃は少し不安な顔をしていた。俺は桃の頬をそっと撫でた。気持ち悪いわけがない。俺は心の奥で、そうであってほしいと願っていたのだから。
「いや、嬉しいよ。桃が俺を見つけて逢いたいと思って来てくれたことが、本当に嬉しい」
そうでもしてくれなければ、俺は今もまだ過去の苦しい想い出にすがったままだった。こんなふうに本気で大事に想う女を抱いてまどろむことなんて、一生縁がない人生を送っていたと思う。
俺の言葉に桃がまた涙ぐんだ。先生、と呟いて、俺の胸に鼻をすり寄せてきた。
「どうやって、知ったんだ?俺が予備校の講師をやってるって」
「真樹ちゃんに電話で聞いたの。先生、覚えてる?私が仲良かった向井真樹ちゃん」
「ああ、向井。覚えてるよ、もちろん」
桃が転校した後、廊下で『桃の携帯が繋がらない』と嘆いていた女子生徒を思い出した。
「私、転校するとき真樹ちゃんたちにも黙ってたし、それまで使ってた携帯は解約しちゃったから連絡も絶ってたんだけど、真樹ちゃんの番号は手帳にメモしたのが残ってて。それを思い出して、今年の初めに思い切って真樹ちゃんに電話してみたの」
「黙って転校したのを謝りたくて?」
「それもあるけど・・・先生が今どうしてるか知りたくて」
桃は「話すと長くなるんだけど」と断って、長野にいた頃の話を始めた。
「んっ・・・!ふ、あっ・・・!」
苦しげに身をよじらせ、反射的に上へ上へと逃げようとする。
「痛いか?桃、大丈夫?」
「あ・・・、少し・・・っ。でも、思ったより平気・・・。けど、あ、すごい圧迫感・・・」
桃はしゃくりあげるような呼吸をして、不安げに俺を見上げた。前髪を掻き上げて額にそっとキスしてやると、表情が少し和らぐ。甘えた瞳が嫌になるほど可愛い。
「ゆっくり息を吐いてごらん。そう、脚をもうちょっと上げて。ん、いいよ、桃・・・」
桃のなかは熱くてぬるぬると柔らかくて、だが俺のペニスを締めあげるようにきゅうっときつく吸いついてきた。まだ半分しか挿れていないのに、気持ち良すぎて腰が痺れそうになる。
「先生・・・、私、大丈夫。もっと、きて・・・」
桃が俺を欲してすがりついてきた。
俺は唇を吸うようにキスしながら、更に奥へと腰を動かした。乳首を摘みながら舌先を絡ませあうと、快楽で桃の身体から力が抜ける。
桃の左足を抱えるようにしてやや持ち上げ、更に深くまで挿入できるように身体を密着させた。
グッとめり込ませるように最後の一押しをする。
「あ、ああっ・・・!」
桃が喉を反らせ、ひと際せつない声を上げた。皮膚が打ち合う音。根元まで挿入った充足感に深く包まれ、俺は激しく身震いした。
「・・・がんばったな、桃。俺の全部、おまえのものになったよ」
桃の髪を撫でながら、こめかみにくちづけた。
「あっ、せんせ・・・。先生、嬉しい・・・」
「俺はもっと嬉しいよ。・・・痛いか?辛い?」
「ん、大丈夫。少し、このままでいて・・・」
桃の涙を舌ですくい取り、それから唇に優しくキスした。桃が俺の首にしがみつくように手を回してきて、ちゅ、ちゅくっと濡れた唇で俺を求めてくる。
溶けあう舌が心地良くて、桃のなかに包まれている俺の熱の塊がビクビクと反応した。大きくなっているのが分かるのか、桃が唇を離して「あっ・・・」と俺の眼を覗き込んだ。
「分かるか?なかで、もっと大きくなってるの」
「うん、・・・分かる。先生、気持ちいい?」
「気持ちいいよ。桃のなか、気持ち良すぎて身体が溶けそうだ」
ふふっ、と桃が涙顔で笑った。桃が幸せそうに笑う顔を見ていると、俺の方がもっと幸せで泣けてきそうになる。
「少し、動いていいか?」
「うん、平気。・・・少し馴染んで、なんだか気持ち良くなってきた。先生のしたいようにして」
「・・・痛かったら言えよ」
「うん。でも大丈夫。もっと先生に気持ち良くなってほしい」
桃が俺の顔を引き寄せて、甘く舌を絡めてきた。短時間で、あっという間にキスが上手くなっている。本当に、なんて悪い娘だろう。
俺は桃に夢中になった。もともと夢中だったが、今夜を境に完全に虜になるのが分かった。
最初はできるだけゆっくり抽送を繰り返した。桃を痛がらせないよう、苦しくさせないよう、できる限り気を付けているつもりだった。
だが桃の喉から甘い喘ぎが漏れ、俺の肌を掴む手が汗ばんで来たのを感じると、これ以上セーブができなくなった。桃がどんどん乱れていく。そのあられもない姿態に俺のモノが激しく煽られていく。
桃のなかの、複雑で柔らかな小部屋を繰り返し激しく攻め立てた。
スピードを上げるにつれ、桃の身体がどんどんしなる。俺の背中に爪を立てて、俺の愛しい女が必死にしがみついてくる。
繋がっているところからふたりの液が混じりあって飛び散り、互いの肌をいやらしく濡らした。俺はもう加減することを忘れてしまい、ひたすら桃のなかに深く溺れてのめり込んだ。
「桃・・・!ごめ・・・、俺、もうイク・・・」
「あぁっ・・・、あんっ・・・。竜一、先生・・・!」
名前を呼ばれ、俺の胸がドキンと激しく打った。
甘い喜びに一瞬我を忘れる。ペニスを抜くタイミングを間違え、そのまま俺は桃のなかに勢いよく射精してしまった。
「ふ・・・っ、んんっ・・・!」
しまった、とは思ったが、桃のなかで精を解き放つのはあまりに気持ち良すぎた。
そのまま桃の腰を掴まえてドクドクとすべてを出し切ってしまい、放心状態のまま俺は桃の身体の上に倒れ込んだ。
「ごめん、桃・・・。ほんと、ごめん。なかで出しちまった・・・」
荒い息のまま桃の髪を撫でて謝ると、桃が俺の腕をギュッと胸に抱き寄せた。
「・・・いいの。私、そうしてほしかったから・・・。先生、心配しないで。今日、大丈夫な日だと思う」
胸を上下させて呼吸を乱しながら、桃が俺に笑顔を向ける。額や首筋に汗が光っていて、瞳は憎らしいくらい色っぽかった。
「それに私、先生の赤ちゃん、欲しいもん・・・」
言ってから桃は、真っ赤になって俺の首筋に顔を突っ伏した。
胸が痛くなった。幸福で胸が痛むという感覚を、俺は桃に出逢って初めて知った。
「先生が、結婚してなくて良かった」
俺の胸でまどろみながら、桃がぽつんと呟いた。
裸で抱きあったまま毛布にくるまっているだけで、たまらなく甘い気持ちになる。俺は桃の髪を何度も手で梳きながら、オレンジ色のライトを映す瞳を覗き込んだ。
「きっと、もう結婚してると思ってたの。高校のとき、結婚目前の彼女がいるって噂だったから」
「ああ・・・。アレか・・・」
たしか教師になりたての頃、女子生徒が寄ってきては「センセイ、カノジョいるのー?」とうるさくて面倒だったので、適当に「いるかもな」と答えたのだ。「ケッコンするのー?」「かもな」などとやり過ごした気がする。それがいかにも信憑性の高い噂となって広まり、桃たちの代まで伝わっていたとは迂闊だった。
「まあ、つきあってた相手はいたけどな。でもおまえの担任になった頃には、もう上手くいかなくなってろくに会ってなかったぞ」
「・・・そうなの?!」
桃がガバッと身を乗り出して俺の顔を凝視した。乳房が柔らかく俺の胸に当たり、非常に気持ちがいい。俺は桃の肩が冷えないように改めて毛布を掛け直し、腰を抱き寄せた。
「そうだよ。そんな、驚くことか?」
「・・・だって、先生には決まった人がいるって思ってたから。私ずっと、好きになっても望みはないと思って我慢してたのに」
「・・・別に我慢するなよ。て言うか、そのわりに俺にまとわりついてたじゃないか」
俺がからかうように言うと、桃がふくれっ面をして俺の鼻を指で摘んだ。
「だから、せめて生徒として少しでも仲良くなりたかったんだもん。でも先生に近づけば近づくほど、やっぱり本当に好きになっちゃって、困っちゃった」
そう言ってから、しばらくいろいろ昔を想い返すような顔をしていた桃は、ハアッと大きく息をついた。
「やだもう・・・。彼女とダメになってたなら教えてよ。先生の意地悪」
「だって、おまえそういうこと聞かなかったじゃないか」
「そうだけど。・・・でも」
桃が俺の胸をぶった。結構痛い。
俺は桃の手を掴んで動きを封じ込め、「ゴメン」と言って、宥めるようにキスした。すぐに濡れた音が響き、俺たちはまたしばらくキスに夢中になる。
「・・・きっともう、結婚してると思ったけど、でもどうしても逢いに来たかったの。もう一度だけ先生に逢いたかった。そうじゃないと、一生後悔するって思った」
桃は俺の胸に頬っぺたを預けた状態で言葉を続けた。
「先生、私がここの予備校で働くことになったの、偶然だと思った・・・?」
俺は桃の顔をじっと見た。偶然だろうと思いつつ、心のどこかで偶然じゃないことを期待していた。桃が俺を探し出して、自分の意思で会いに来てくれたならいいのにと。
「正直、未だにこの展開が信じられないよ。偶然、なのか・・・?」
桃はしばらく俺の顔を見つめてから、ちょっと決まり悪そうな顔で打ち明けた。
「・・・偶然じゃないの。先生に逢いたくて、私が追いかけてきたの。先生がいる予備校を調べて、事務の求人が出てるのを見て会社辞めて、東京に出てきたの。私、ストーカーみたいなことしたの。先生、そういうの、キモチワルイと思う・・・?」
桃は少し不安な顔をしていた。俺は桃の頬をそっと撫でた。気持ち悪いわけがない。俺は心の奥で、そうであってほしいと願っていたのだから。
「いや、嬉しいよ。桃が俺を見つけて逢いたいと思って来てくれたことが、本当に嬉しい」
そうでもしてくれなければ、俺は今もまだ過去の苦しい想い出にすがったままだった。こんなふうに本気で大事に想う女を抱いてまどろむことなんて、一生縁がない人生を送っていたと思う。
俺の言葉に桃がまた涙ぐんだ。先生、と呟いて、俺の胸に鼻をすり寄せてきた。
「どうやって、知ったんだ?俺が予備校の講師をやってるって」
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「ああ、向井。覚えてるよ、もちろん」
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「私、転校するとき真樹ちゃんたちにも黙ってたし、それまで使ってた携帯は解約しちゃったから連絡も絶ってたんだけど、真樹ちゃんの番号は手帳にメモしたのが残ってて。それを思い出して、今年の初めに思い切って真樹ちゃんに電話してみたの」
「黙って転校したのを謝りたくて?」
「それもあるけど・・・先生が今どうしてるか知りたくて」
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