夜這いの秘書

茜色

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蕩ける情熱

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 颯一郎の両脚の間に、後ろ向きに座らされた。
 顔が見えないので少し不安になる。けれども背後から長く力強い腕が回されると、身体がすっぽりと包みこまれてなんとも言えない幸福な気持ちに満たされた。
 覗き込むように颯一郎の顔が近づき、不安をすべて受け止めるような甘いキスをされる。舌の絡まりに呼応するように、真雪の手が颯一郎の腕を強く掴んだ。
 
 キスしながら、後ろからまろやかに乳房を揉まれる。真雪の両脚がしどけなく勝手に開いていく。
 お尻に硬い何かが触れた。それが颯一郎の勃起したペニスだと分かり、真雪の心臓がまた大きく跳ねた。

「あ・・・。颯一郎さん、動いてる・・・?」
 真雪のお尻を撫でるように触れてはピクピク動くそれを感じ、真雪は恥ずかしいほどに興奮している自分に戸惑った。
「さっきからもう、痛いくらいだよ。真雪があんまり可愛くていやらしいから、こいつが勝手に暴れ出しそうで困ってる。ほら」
 颯一郎が真雪の手を掴んで後ろへ導き、自分の性器に触れせた。

「・・・すごい、熱いわ・・・。この前より、もっと」
 社長室のソファで颯一郎自身に触れたときを思い出した。あのときも想像よりずっと硬くて大きなペニスにドキドキしたけれど、今日はもっと熱を帯びて太いように感じる。
「そのまま、触ってて」
 颯一郎が低い声で囁きながら、真雪の乳首をクリクリと指で転がしはじめた。
「あっ、あぁ・・・っ」
 胸をいじられると身体からすぐに力が抜けてしまう。颯一郎はそのことに充分気づいていて、わざと苛めるように真雪の胸のつぼみを指で摘んでは絶妙な加減で捏ねまわした。

「や、あ、ダメぇ。おかしくなる・・・っ」
「いいよ。そのままいくらでもおかしくなって。・・・ああ、真雪の手、すごくいい・・・」
 真雪は握っていたペニスを無意識に上下にさすっていた。手に吸いつくような質感のそれは、真雪の指の動きに合わせてますます剛直にそそり立っていく。

 呼吸が乱れる。胸の先からじわじわと伝わるせつない刺激で、秘裂から愛液があふれ出すのが自分でも分かる。それを察したように颯一郎の右手が胸から真雪の下腹部へと移り、2本の指がぬるぬると性器を撫で回した。
「あっ・・・、もぉ、それ・・・っ。あぁん」
 自分の秘部からぐちゅぐちゅと淫らな音が零れ、リズムを合わせるように乳房も同時に転がされる。身体を貫く快感にめまいを起こしかけ、ペニスを刺激する手が疎かになった。

 颯一郎が真雪の耳の中へと舌を差し込んできた。
 また別の快楽がゾクゾクと真雪をいたぶる。長い指が真雪の膣内へと密やかに挿入され、更にもう一本増やされる。
 恥ずかしいほどの水音とともに、真雪の腰が激しく浮いた。なかを探る颯一郎の指は、内側の窪んだ場所を撫でるように擦り、より深い欲望を暴いていく。

「ほら、ここ。真雪の好きなところ」
「ん、あ・・・っ。そこ、じわじわきちゃう・・・」
 だらしなく息が乱れ、お腹の奥が引き攣るように甘苦しく疼いた。
「あ、もう、ほんとにダメ・・・っ。颯・・・、お願・・・」
「ん・・・。もう挿れてあげるよ」
 颯一郎が真雪の身体を抱きかかえたまま、ベッドの上に仰向けに寝かせた。
 ベッドサイドに用意していた避妊具を取り出す。さっき他の品と一緒に颯一郎がコンビニで購入したものだ。あのとき、真雪はひどくドキドキすると同時に、自分たちが本当にどこにでもいる普通の恋人同士になれた気がしてとても嬉しかった。

 颯一郎の準備が整うのを待ちながら、真雪は深く息を吐いて緊張を鎮めようと眼を閉じていた。 
 ギシッとベッドがきしむ音。そっと眼を開けると、いつも以上に優しい眼差しで颯一郎が見下ろしている。安心させるように柔らかなキスをされ、真雪はごく自然に颯一郎の背中に両手を回していた。

「もう少し、脚を開いて。大丈夫だから」
「これ、見えちゃって恥ずかしい・・・」
「恥ずかしいの?どうして?この眺めは最高だよ。いやらしくて綺麗で、このピンクの色がとても可愛い」
 颯一郎が指で花びらの内側をゆるやかに撫でた。それだけで身体に震えが走る。もう一度快楽を呼び覚ますように、クリトリスを優しくいじってくれる。

 真雪の身体から徐々に力が抜けていく。小さな花芽が指の腹で転がされて硬く膨れていくにつれ、真雪の内側からまた透明な蜜がたらたらと溢れだしてくる。
「何も怖くないから、俺の眼を見てて」
 颯一郎はペニスの先を真雪の膣口にそっと当てがった。ぬるりとした感触に、真雪は自分がこれほどに颯一郎を欲していることを思い知らされた。

「あ、あっ・・・!」
 思ったよりも強い力で内側を圧迫され、真雪は颯一郎の肩にギュッとしがみついた。
「大丈夫。力を抜いて」
 安心させるように、こめかみや額に優しいキスがいくつも落とされる。真雪の表情が緩んだのを確かめると、颯一郎は真雪の太腿を抱きかかえるようにして更に深く挿入してきた。

 すごく大きい。お腹が苦しくて、押し上げられるような威圧感に震える。けれども颯一郎の強い想いが身体に注がれている気がして、痛みよりも喜びの方がはるかに大きかった。
「ん、ふっ・・・!」
「半分、入ったよ。とても上手だ」
 唇を濡らすようなキス。手のひらが乳房を優しくまさぐり、痛いくらいに尖ったつぼみを指が摘んでしごく。胸の先から一気に快感が走り、思わず腰が浮いて真雪の両脚が大きく開いた。
 その動きを見越していたかのように、颯一郎が一気に奥まで貫いた。
 ぱんっと皮膚がぶつかる音。
 悲鳴を上げる間もなく、真雪のなかは颯一郎で奥までいっぱいに満たされた。

「あっ・・・!は、ぁっ・・・」
「真雪のなかに、全部挿入はいったよ。・・・感じる?」
「あ・・・。颯一郎さんが奥まで、来てる。嬉しい・・・」
 真雪はお腹の熱さに身震いしながら、颯一郎の唇を求めた。颯一郎は優しいキスで応えながら、真雪の腰をぐっと引き寄せて挿入の角度を更に深める。

 膣内が男の存在に馴染み、じんわりと気怠い心地良さを感じ始めた。それを伝えると、颯一郎が吐息まじりの声で満足げに囁いた。
「真雪のなか、俺のに吸いついて包み込んでるよ。本当に気持ちがいい。もうこのまま死んでもいいくらいだ」
「嫌。死んだらダメ。これから何度でも抱いてほしいもの」
 言ってから、なんだか妙に恥ずかしくなって赤面してしまう。
「何度でも、真雪がもういらないって言うまで抱くよ。これからずっと。覚悟しておいて」
 颯一郎はせつなげな眼差しで真雪を見下ろすと、ゆっくりと腰を動かし始めた。

 繋がった場所から真雪の愛液がくちゅくちゅと音を漏らしている。卑猥なのに胸を昂ぶらせるその響きはますますふたりを煽り、ひとつになれた喜びを肌と肌で確かめあった。
 暗い部屋の小さな灯りの下で、颯一郎の黒い切れ長の瞳が濡れたように見える。眼を開けたままくちづけを交わし、お互いの腰を擦り合わせてもっと奥まで溶けあおうとした。

 颯一郎の律動は、真雪の深い部分を愛おしげに探っているかのようだった。ゆるやかなペニスの動きに、真雪のお腹の奥が柔らかな快楽の兆しを生み始める。

「あ、あ、そこ・・・っ」
「ここ・・・?苦しくない?・・・気持ちいい?」
「・・・いい・・・。あ、なんか、きゅって来る・・・」
「ここが感じやすいんだ。初めてなのに、やっぱりエッチなお嬢さんだな」

 颯一郎はわざと真雪が恥ずかしがるような言葉でからかった。
 人前で真雪に接するときは常に礼儀正しく控えめな彼が、ベッドでは真雪を翻弄し、意地悪なほど執拗に攻め、それ以上にひたむきな愛を身体で伝えてくる。
 初めて逢ったときから心を奪われていた人にこうして抱かれ、繋がりあって、もう決してこの人なしでは生きていけないと実感した。本能で分かった。真雪が結ばれるべき人は、世界中で颯一郎だけなのだと心と身体がはっきりと訴えていた。

「そう、いちろ、さん・・・っ。ふ・・・っ、あっ・・・ぁ」
 最奥をえぐるように繰り返し突かれ、子宮に響くような快感に全身が汗ばんできた。荒い息と猫みたいな声が勝手に喉から飛び出してくる。
「ん・・・。イイよ、真雪。ものすごく、いい・・・」
  颯一郎が汗を浮かせながら、抽送のスピードを一気に上げてくる。真雪のお腹の奥がきゅうっと弓を引き絞るようにせつなく収縮し、甘苦しく喘ぎながら颯一郎を締め付けた。

 自分の身体と颯一郎の身体の境目が分からなくなり、真雪の意識が遠くなりかけた。
 熱いペニスで突かれながら同時に親指でクリトリスをいじられた瞬間、頭の中で何かがゆっくり弾けて真っ白になった。

「ふ、あ、あぁ・・・っ!」
「真雪・・・っ、一緒に・・・」
 経験したことのない深い官能の波に呑み込まれ、真雪の身体が内側から激しく痙攣した。
 ビクビク震える背中を抱きかかえられ、のけぞった瞬間に膣内がじわりと熱に染まる感覚に満たされる。
 颯一郎が射精しているのだと分かり、何故だか無性に涙があふれ出した。避妊具をつけているとは言え、愛する人が自分のなかに精を解き放つ感覚に胸が締め付けられた。

 
 真雪は胸の上に倒れ込んできた颯一郎の頭を抱きしめ、その髪にそっとくちづけた。自分の乳房に顔を埋め、満たされたように荒い息を吐く恋人が愛おしくてたまらない。

 颯一郎を抱きしめながら、今夜彼がここまで自分を連れ戻しに来てくれたことを生涯決して忘れまいと真雪は心に固く誓った。


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