天魔の作り方

嵯乃恭介

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二章

精霊

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「私は、誰からも必要とされないオマケなの、姉さん・・・・貴女のオマケにすぎないのよ」

「なぁに言ってやがる!俺と姉妹なんだろ?全てを受け止めてやるから、こいや!!」

「レイちゃんには無理だって」

シザーメとタオが前に出る、そしてパチパチと夜の薄暗さを消すようにシザーメは発光していた。
レイの目には、まるで雷のようなものがシザーメを包んでいるように見えたが、幻覚ではなく電気系統の光に見えた。

「精霊との契約でなせることです。ユキルもですよ」

「精霊?」

魔族、神族、人間以外にあったのは驚きだが、契約というのは意味が判らなかった。
シザーメはパチパチと電撃をまとっているし、レノは冷たい目で見ている、それが気に入らなかった。
発光するシザーメを思い切り後ろから蹴飛ばした、見事に不意を突かれたシザーメは地面にダイブする。

「レイ!!?」

「・・・?」

見ていた全員が思っただろう。
何故止めたのかと言うことに。

「邪魔すんな。俺はレノと喋ってるし決着をつける」

ー俺の契約者見つけた~

ユキルの影から水の塊が流れてきて、それが人間の姿に変わるが、青い髪と何か頭から角のようなものが見えていた。

「おぉぅ?」

「やぁ久しぶりだね」

「おうおう、久しぶり!そこの嬢ちゃん。俺と正式な契約を結ばせてくれ」

「私を無視するなぁぁあぁぁ!!」

レノはレノで炎を身にまとい、業火のごとく燃え上がった。
それを見たレイは、契約を求める精霊と言う男を無視してレノをまとう炎に構わず、レノに近づきビンタした。
レノがキョトンとし、炎が消えていく。
その場にいた全員がシンとしたが、レイが炎が消えたレノを抱きしめた。

「俺たちは姉妹なんだろ?ちょっとやちょっとで仲良くなれとは言わねぇよ・・・。もしも考え直してくれるなら・・・こっちに来てほしい・・・」

いつものレイの言葉づかいではなく、まるで幼子を宥める母親のように抱きしめていた。
レノは呆気に取られて呆然としていたが、レイの腕から逃れ、睨みつける。それでもレイは変わらずに真剣な面持ちでレノを見ていた。

「所詮、育ちが違うのよ。私は魔族・・・姉さんには判らないでしょうね?中途半端な異端を集めて、私の血で契りを交わして使って捨ててを繰り返させられた私の気持ちなんて!!」

レイ目掛けて鋭くなった爪を向けるが、一瞬の隙にレノの腕を取った者がいた。

「タオさん!」

「何よ!あんた!!」

「レノ、君の考えはまとまっていないだろうが、レイの言葉を思い出して奴と離れるか、こっちに来るかを考えてくれ。それでも奴の方に行くというなら次は容赦しない」

ギリっとレノの手首を握りしめると、レノの表情が変わり憎しみの表情が濃くなった。
タオは手を離し、ニコリと笑う。

「今回は戻ると良いよ。あとは君次第だ」

「・・・私の心は変わらないわ」

そう言ってレノは再び闇夜に消えた。
残された皆が呆然とする、が。ユキルから出てきた精霊と思われる男がレイの前に立ち、そして口づけをした。

「!!?」

「レイさん!!?」

だが、精霊の男はレイに吸い込まれるようにして体に溶け込んでいった。
パニックになったラックをタオが抑え込むが、レイも呆然としている、そしてユキルがポンと肩を叩いた。

「正式に契約おめでとう!」

「え?今ので?」

そこにタオも口を出した。

「正式な契約には体内に取り込む必要があるんですよ。ユキルの場合、水の精霊の一部を飲み込んだだけですが。レイは口から直接流し込んだので、自由に水を操れるでしょう」

そういわれてレイは試しに水たまりの水に触れてバシャバシャとするが、変化はない。
首を傾げている。

「念じるんだよ」

そういわれて、レイは水を持ち上げると念じると水たまりのまま持ち上がった。

「おー」

ラックの束縛が離されて、レイに駆け寄りレイの肩を掴むと皆の前で唇を奪った。
キョトンとする皆がラックの行動が判らないままだったが、ユキルやシザーメは理解していた。
レイがラックに拳骨をかませると、ラックは子供のようにすねていた。

「レイちゃん、ラックはヤキモチ焼いてるんだよ」

「あぁ・・・」

「さて、騒動も終わったことですし、寝ましょうか」

またもやタオに流されたが、レノの事も気になるしレイはレノが去っていた夜空を眺めていた。
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