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第二話
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加藤は原稿明けにも関わらず、ビールをどんどん開けていくが酔う様子はなく今までの担当になった男の事を愚痴り始めた。
「最初になった担当の人なんてさ、いきなりセクハラだよ!?こちとら恋愛もの書いてるってだけで、興味ないっつーの!!」
興味がないという割にラブシーンや男女のやり取りの表現が出来ていて、場数を踏んでいると思っていたが小説と現実と違うのだろうか?確かに加藤の作品は女性に人気でベストセラーとしてテレビでも取り上げられる作品でもある。それでも興味がないのは、ピンキリでどこまで本気なのだろう?となる
「興味が無いって、今までの作品の内容を見ると興味がないなんて感じさせませんよね?女性の心や男性とのやりとりの中で起こるドラマチックなシーンとか」
「あー、それ?取材する相手も居ないけど、唯一売れたのがそれってだけで、他のも書いてみてるんだけど、いまいちピンとこないのよ」
そう言って作品らしきものをポンと出すと、佐川はペラペラと作品を見ると言った通り、途中で終わった状態のままで先に進んでいる物はない。今の作品、恋愛小説とはジャンルは違えど全然売れるような感じではない。
「あ、その目は「うわ!マジだー」って感じでしょ?あははは!でもさ、なんでか恋愛なんだろう?ってなってるのよ?サスペンスとかホラー系が好きなんだけどね?ホラーのイメージがわかなくてさー」
「他の作家さんのを参考にしてもですか?」
加藤はビールの缶をペコっとへこませて、次のビールの缶に手を出そうと手を伸ばし、質問に対して考えて缶を開けるとグイっと飲む。
「読んでみたんだけど、イメージがわかないのよ。シーンがよくわかんない」
お手上げばかりにグイっとビールを飲みながらツマミの生ハムをチミチミ食べている。その顔は本当に分らないと言っている。今日皆がない作品が売れるってのは複雑な気持ちだろうと思っていると、顔に出てたらしく加藤が佐川の顔を持ち上げる。
「例えば、女同士でも書けるんだけどね?こうやって実際に体験してみる?可愛いし結構お互いに相性良いかもよ?今まで男には興味なかったし、女ならいけるかもね~」
「!!?酔ってます?もしかして凄く酔ってます!!?」
顔に見えないだけで酔っているような発言と危機感が強くなり、顔を包み込んでいた手を掴みながら講義すると加藤の眼が赤くなっており、ビクッと体が跳ねかえった。
「せ・・先生?」
スルッと手が落ちて、加藤は佐川にもたれかかる様に倒れた。まるで寝込みを襲われたような形になっていて、首に当たる吐息が彼女が眠っていることを物語っている。少しホッとして、どうしたら良いのかと思うと自分が座っているソファーに寝かせ何か被せるものを探そうと加藤をゆっくりとソファーに寝かし、失礼だと判っていながら家の中で寝室と思われるところを探す。
しかし、途中で気になった部屋があった。金庫の様な鉄扉で頑丈にしてあると思ったが隙間が開いており少しだけならと中を覗くと、眠っているように男性が横になっていた。
「大丈夫ですか!!?」
声を掛けるが返答はなく、体温もなかった。
そこでパチンと電気が付き、振り返ると加藤がニヤリと笑ったまま立っていた。熟睡しているようだったはずなのだが、目の前の光景が焼き付き、悲鳴を上げる瞬間に加藤も冷たい手で佐川の口を優しく抑え込んだ。
加藤の眼は赤く、先ほどまで化粧なんてしていなかったはずなのに、唇は真っ赤で髪も綺麗な絹糸の様に整っていた。
「さっきの子だわ・・・、もしかして次の子かしら?困ったわね・・・・。女の子には手出しできないのよ」
さっきといえば、男に襲われて女性に助けられたという話を思い出すが目の前の加藤、いや助けてもらった彼女がもしかしたら加藤の双子かもしれないと思っても、今まで加藤の担当の男性を何故殺すような・・・、いや殺すと言うよりも、どう考えていいか分からないまま真っ白な頭で考えると、彼女は美しい笑みを浮かべ。
「冴子に言わないなら助けてあげる。この部屋は、あの子に見えてないの、ここを見つけたのは貴方が初めて・・・使えるかもしれないわね」
使えるって何をさせられるのだろうかと、心臓がビクンと跳ね上がる。
「簡単よ?この部屋を誰にも教えないだけで良いの」
「最初になった担当の人なんてさ、いきなりセクハラだよ!?こちとら恋愛もの書いてるってだけで、興味ないっつーの!!」
興味がないという割にラブシーンや男女のやり取りの表現が出来ていて、場数を踏んでいると思っていたが小説と現実と違うのだろうか?確かに加藤の作品は女性に人気でベストセラーとしてテレビでも取り上げられる作品でもある。それでも興味がないのは、ピンキリでどこまで本気なのだろう?となる
「興味が無いって、今までの作品の内容を見ると興味がないなんて感じさせませんよね?女性の心や男性とのやりとりの中で起こるドラマチックなシーンとか」
「あー、それ?取材する相手も居ないけど、唯一売れたのがそれってだけで、他のも書いてみてるんだけど、いまいちピンとこないのよ」
そう言って作品らしきものをポンと出すと、佐川はペラペラと作品を見ると言った通り、途中で終わった状態のままで先に進んでいる物はない。今の作品、恋愛小説とはジャンルは違えど全然売れるような感じではない。
「あ、その目は「うわ!マジだー」って感じでしょ?あははは!でもさ、なんでか恋愛なんだろう?ってなってるのよ?サスペンスとかホラー系が好きなんだけどね?ホラーのイメージがわかなくてさー」
「他の作家さんのを参考にしてもですか?」
加藤はビールの缶をペコっとへこませて、次のビールの缶に手を出そうと手を伸ばし、質問に対して考えて缶を開けるとグイっと飲む。
「読んでみたんだけど、イメージがわかないのよ。シーンがよくわかんない」
お手上げばかりにグイっとビールを飲みながらツマミの生ハムをチミチミ食べている。その顔は本当に分らないと言っている。今日皆がない作品が売れるってのは複雑な気持ちだろうと思っていると、顔に出てたらしく加藤が佐川の顔を持ち上げる。
「例えば、女同士でも書けるんだけどね?こうやって実際に体験してみる?可愛いし結構お互いに相性良いかもよ?今まで男には興味なかったし、女ならいけるかもね~」
「!!?酔ってます?もしかして凄く酔ってます!!?」
顔に見えないだけで酔っているような発言と危機感が強くなり、顔を包み込んでいた手を掴みながら講義すると加藤の眼が赤くなっており、ビクッと体が跳ねかえった。
「せ・・先生?」
スルッと手が落ちて、加藤は佐川にもたれかかる様に倒れた。まるで寝込みを襲われたような形になっていて、首に当たる吐息が彼女が眠っていることを物語っている。少しホッとして、どうしたら良いのかと思うと自分が座っているソファーに寝かせ何か被せるものを探そうと加藤をゆっくりとソファーに寝かし、失礼だと判っていながら家の中で寝室と思われるところを探す。
しかし、途中で気になった部屋があった。金庫の様な鉄扉で頑丈にしてあると思ったが隙間が開いており少しだけならと中を覗くと、眠っているように男性が横になっていた。
「大丈夫ですか!!?」
声を掛けるが返答はなく、体温もなかった。
そこでパチンと電気が付き、振り返ると加藤がニヤリと笑ったまま立っていた。熟睡しているようだったはずなのだが、目の前の光景が焼き付き、悲鳴を上げる瞬間に加藤も冷たい手で佐川の口を優しく抑え込んだ。
加藤の眼は赤く、先ほどまで化粧なんてしていなかったはずなのに、唇は真っ赤で髪も綺麗な絹糸の様に整っていた。
「さっきの子だわ・・・、もしかして次の子かしら?困ったわね・・・・。女の子には手出しできないのよ」
さっきといえば、男に襲われて女性に助けられたという話を思い出すが目の前の加藤、いや助けてもらった彼女がもしかしたら加藤の双子かもしれないと思っても、今まで加藤の担当の男性を何故殺すような・・・、いや殺すと言うよりも、どう考えていいか分からないまま真っ白な頭で考えると、彼女は美しい笑みを浮かべ。
「冴子に言わないなら助けてあげる。この部屋は、あの子に見えてないの、ここを見つけたのは貴方が初めて・・・使えるかもしれないわね」
使えるって何をさせられるのだろうかと、心臓がビクンと跳ね上がる。
「簡単よ?この部屋を誰にも教えないだけで良いの」
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