不死の王様は一人ぼっち

嵯乃恭介

文字の大きさ
上 下
41 / 52
最終章

不死の王様は一人ぼっち3

しおりを挟む
山の中に入ると、即座に気配があった。
血と土の匂い。
この匂いは・・・あぁあれだ。
鼎を拾った時についていた匂いだ。

山奥をガサガサと進んでいくと、昔のままのように蔵があった。
私が住んでいた蔵だ。
ボロボロで、今にも崩れそうな蔵の中から気配はあった。
ギシギシと音が鳴り、出てきたのは男だった。

「今回の俺様も失敗か。しかし、学んだこともある」

目の前の男は記憶の断片に出てきた男だった。
何故、目の前にいるという疑問と、警戒心が高まっていく。

「あっはっは。お前が一番出来が良かったぜ?丁を仕留めて、あと腐れなく人間と別れてきた。お前は俺様の影ではなく、お前と言う存在として生きるんだな」

「え?」

目の前に居る存在は、私を影と呼び私という存在として生きろという。
どういうことだろうか?
判らない。
けれど、彼の言葉に圧力がかかったかのように、逆らえない。
何だというのだ?
寝床に戻っていく彼は、私にとって・・・どういう存在なのだろうか?

呪縛がとけたかのように体が動き、彼の後を追って中に入ると、何十人もの彼と同じ姿をした動かない者たち。
死体と思ったが、少し違う。

「ここまで来るか?普通に考えろよ。お前は影、こいつらも影だ。一人の女に固執し、妖魔として蘇らせ、裏切られて発狂していった俺様の影だ」

「わ・・わたしも影・・・?」

「おっと、そこに絶望するなよ?お前は、丁を殺しても発狂しなかっただけでも優秀だ。今まで見てきた中でもな、それでも人間と共に暮らし過ぎた。おめぇは、人間になるべきだ」

「え?」

言っていることが判らない。
人間として暮らせ?
無理な話だと分かっているはずだ、自分の影と言うならば、尚更・・・

「おっと、曖昧な記憶でもあるのか?もしくは、こいつらみたいになりてぇの?」

影と呼ばれた者の頭を素足で蹴り飛ばす。
もちろん、反応なんてしない。
自分と同じ顔や姿をした者を蹴り飛ばして笑っている。

「私は、貴方の影なのか?では・・・私の判断は・・・」

「ん?なんだ?言ってみろ?大抵のことは聞き入れてやるよ」

「貴方の中に帰りたい」

シンと静まり返る。
二人に会話が止まってしまう。
私は揺るがない答えに満足はしてる。
影と呼ばれて消されても構わない。
それでも、存在自体が別のものになるなら、それはそれで満足するだろう。

「あーっはっはっは!!お前、影にしておくには惜しいな。良いだろう、一番良い子には、俺様の中に戻ることを許してやる」

そう言われたとたん、男の近くに無意識に歩み寄る感覚になり、自ら服をまくり上げ、胸をさらけ出した。
男は、冷たい指先で胸を触り、一気に私の胸を突き刺した。

「ぐ・・・」

「精々、終わるまで踏ん張れよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

献身的な女

紫 李鳥
ミステリー
蓉子は、夫の健康を第一に考える、いい女房だった。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

ピエロの嘲笑が消えない

葉羽
ミステリー
天才高校生・神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美から奇妙な相談を受ける。彼女の叔母が入院している精神科診療所「クロウ・ハウス」で、不可解な現象が続いているというのだ。患者たちは一様に「ピエロを見た」と怯え、精神を病んでいく。葉羽は、彩由美と共に診療所を訪れ、調査を開始する。だが、そこは常識では計り知れない恐怖が支配する場所だった。患者たちの証言、院長の怪しい行動、そして診療所に隠された秘密。葉羽は持ち前の推理力で謎に挑むが、見えない敵は彼の想像を遥かに超える狡猾さで迫ってくる。ピエロの正体は何なのか? 診療所で何が行われているのか? そして、葉羽は愛する彩由美を守り抜き、この悪夢を終わらせることができるのか? 深層心理に潜む恐怖を暴き出す、戦慄の本格推理ホラー。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

私の母

ami
ミステリー
現在22歳の主婦が実際に経験した人生小説。 あなたは私の母をどう思いますか…

処理中です...