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五章
記憶の断片3
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あれから数年が経ち、私が生き血を吸った者のみが蘇り、血吸いの鬼となり、日光に当たって灰になることが判った。
目の前には、村一つ分の人間だったものの血吸いの鬼が憎しみの顔で、こちらを見ているが無視だ。
さて、この穴倉も飽きてきた。
実験も終えた。
俺様は処分することにした。
村一つ分の命をだ。
「殺し合え」
その言葉に悲鳴を上げながら、村の仲間同士が殴り合い、引き裂き合い、悲鳴を上げていく。
血まみれになった穴倉が赤く染まる。
さて、俺様も移動して程々にして、この世界と言うものを調べていこう。
いささか面倒ではあるが、俺様が生き血を吸った者だけが蘇ってしまうのが厄介だが、処分しようと思った。
岩から立ち上がろうとすると、死体の山に一つだけ立っている者がいた。
生き残りが居たか。
始末しても良いが、別の実験で使ってみたい。
「お前の名は?」
驚いたことに年端もいかぬ、少女だった。
顔は笑顔のままで、優しく笑っていた。
「丁と申します」
「何故、笑っている?」
丁と言った娘は、笑顔のまま答える。
「私は村の人たちと違い、奴隷のような生活をしていました。貴方に血を吸われ、力が沸き上がり・・・先ほどの命令で、怯えていたはずの心が解きはなされたように今はスッキリと穏やかです」
よほど、村の者を憎んでいたのかと思う。
俺様は面白いと思った。
暇つぶしとはいえ、面白い娘、丁を拾ったことに嬉しく思う。
数年後の話になる。
丁の血を吸っても、丁が再び死ぬことはない。
ただ、丁が吸った人間は死に至る。
俺様が吸ったら、血吸いの鬼となる。
「実験の結果か」
「難しいですね」
すっかり警戒心もなくなっている丁に対して俺様は、思ったことがあった。
この娘に俺様の血を吸わせたらどうなる?
単純な発想だったが、試してみる価値はある。
「丁、死ぬ覚悟はあるか?実験したいんだが」
「はい。貴方のためなら命を捧げます」
俺様は指を噛み、ジワリと血を流した。
それを丁に差し出した。
「え?」
「俺様の血を吸え」
丁は抵抗なく、俺様の手に口をつける。
そして喉に流し込んだ。
丁度、朝を迎えたころだ。
「体に異常はないか?」
「別段、問題はありません」
「では、外に出てみろ」
朝方ということは判っていたようで、少し戸惑いの表情を浮かべたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
暗い屋敷から出ていく姿を見ていた。
丁も何十人の血を吸っていたし、特に情もなかったので、灰になったところで問題はない。
だが、丁の姿が灰として散らない。
「主様、日光に当たっても灰になりません」
後ろ姿を見ながら思った。
俺様の血は特別らしい。
次の実験へと続けてみよう。
目の前には、村一つ分の人間だったものの血吸いの鬼が憎しみの顔で、こちらを見ているが無視だ。
さて、この穴倉も飽きてきた。
実験も終えた。
俺様は処分することにした。
村一つ分の命をだ。
「殺し合え」
その言葉に悲鳴を上げながら、村の仲間同士が殴り合い、引き裂き合い、悲鳴を上げていく。
血まみれになった穴倉が赤く染まる。
さて、俺様も移動して程々にして、この世界と言うものを調べていこう。
いささか面倒ではあるが、俺様が生き血を吸った者だけが蘇ってしまうのが厄介だが、処分しようと思った。
岩から立ち上がろうとすると、死体の山に一つだけ立っている者がいた。
生き残りが居たか。
始末しても良いが、別の実験で使ってみたい。
「お前の名は?」
驚いたことに年端もいかぬ、少女だった。
顔は笑顔のままで、優しく笑っていた。
「丁と申します」
「何故、笑っている?」
丁と言った娘は、笑顔のまま答える。
「私は村の人たちと違い、奴隷のような生活をしていました。貴方に血を吸われ、力が沸き上がり・・・先ほどの命令で、怯えていたはずの心が解きはなされたように今はスッキリと穏やかです」
よほど、村の者を憎んでいたのかと思う。
俺様は面白いと思った。
暇つぶしとはいえ、面白い娘、丁を拾ったことに嬉しく思う。
数年後の話になる。
丁の血を吸っても、丁が再び死ぬことはない。
ただ、丁が吸った人間は死に至る。
俺様が吸ったら、血吸いの鬼となる。
「実験の結果か」
「難しいですね」
すっかり警戒心もなくなっている丁に対して俺様は、思ったことがあった。
この娘に俺様の血を吸わせたらどうなる?
単純な発想だったが、試してみる価値はある。
「丁、死ぬ覚悟はあるか?実験したいんだが」
「はい。貴方のためなら命を捧げます」
俺様は指を噛み、ジワリと血を流した。
それを丁に差し出した。
「え?」
「俺様の血を吸え」
丁は抵抗なく、俺様の手に口をつける。
そして喉に流し込んだ。
丁度、朝を迎えたころだ。
「体に異常はないか?」
「別段、問題はありません」
「では、外に出てみろ」
朝方ということは判っていたようで、少し戸惑いの表情を浮かべたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
暗い屋敷から出ていく姿を見ていた。
丁も何十人の血を吸っていたし、特に情もなかったので、灰になったところで問題はない。
だが、丁の姿が灰として散らない。
「主様、日光に当たっても灰になりません」
後ろ姿を見ながら思った。
俺様の血は特別らしい。
次の実験へと続けてみよう。
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