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23話:アーデン侯爵の敗け
しおりを挟む王宮に来た時と打って変わって、レティシアたちは、幸福に包まれていた。
[アーデン侯爵SIDE]
この感動の再開劇の間に、アーデン侯爵は、敗北を悟った。
自国の王から説明を受ける。
まだ切り札があると思ったのも束の間、フィリアが自分の子でないと知らされる。
「バカな!」
だがカイルを見て、納得せざるを得ない。
ライルとの親子関係は疑いようがないほどクリソツ!
そして、そのカイルとフィリアが双子と聞けば・・・。
「すでに国同士で話が付いておる。今後関わることは許さん。当然公爵夫人の実家にもだ。」
レティシアが、公爵夫人だと?いつの間に!!
自分の子であるディーナまで奪われた、とがっくりとうなだれるアーデン侯爵だった。
と、ねっとりとした目でディーナを見る王太子がいた。
「ディーナ。」
「これは、これは、ロリ王太子殿。ワイン美味しかったですよ。」
「っ!」
「王太子妃様の毛!剃っちゃったらいかがですか?」
「おお!それもそうだな・・・。(いや、そんなことどうでもよくて、、、)」
(よしよし、丸く収まったぞ。)とひとりごちたディーナであった。
第3王子は、偽婚約者のディーナにではなく、フィリアに心惹かれた。
この国の王太子が、自分を睨め付けて見ていることなど思いもせず、ただただフィーナを見つめていた。
ライルたちは、円満解決の報告も兼ね、レティシアの実家へ向かった。
家族一同号泣して喜んでくれた。
ライルの両親も、よくやったとライルとカイルを褒めた。
そして、初めて会ったフィリアとカイルを抱きしめた。
[ディーナの(義理の)伯父:ウィンロー]
レティシアの兄は、ディーナにロックオンした。
年の差20歳ちょい。
この家の存続の為にも、いい加減に結婚しないといけないとわかってはいた。
けれども食指が動く女性には、会えなかった。
よもや、この幼女に自分がこれほど心惹かれるとは。
一晩寝て起き、確信した。
ただの可愛い(義理の)姪ではない。
彼女が大人になるまで、余計な虫を寄せ付けず(時には、手厳しく排除!!)、待つことを決めた。
ただ、何らかの接点を持つことは大事だ。
できれば、頻繁に会える口実が欲しい。
両親には、以下のことを伝えた。
・好きな女がいるがまだ結婚できない状態だ。
・自分の子ができる前に、もしものことがあったら、レティシアの子を跡取りにしてほしい。
火傷しそうなほど熱々なレティシアとライルの間には、いくらでも子供が産まれそうだ。
それは、誰もが疑いようがなかった。
ウィンローの両親:子爵夫妻は、相手が誰かを悟った。
おっさんな年齢の息子が、血の繋がらない姪を食い入るように見つめている目つきから。
ディーナは、幼いが至高の薔薇のように美しい。
フィリアとは違った美しさがある。
義兄の様子を見て、ライルは思った。
この完璧な容姿の娘には、大人の男が似合うのかもしれない、と。
今現在は、ロリコン認定される状態ではあるが、ディーナが成長すれば・・・。
ディーナさえよければ、反対する理由はない。
レティシアは、自分が幸せすぎて、兄の不穏な想いには気がつかなかった。
* * *
魔導契約書によって首を絞められたのは、アーデン侯爵の方だった。
フィリアの代わりと、自分の娘全てを相手に会わせた。
しかし、俺様殿下はフィリアでないとダメだと譲らなかった。
契約不履行となり、多大な借金を負うことになってしまった。
金のことばかり考えているうちに、美しかった自慢の顔に陰りが出てきた。
他の娘たちを利用して金を集めようとしても、なぜか邪魔が入ってうまくいかない。
進退窮まって、さらに窶れ顔となってしまった。
その顔は、貧乏神を寄せ付けているようだった。
貧乏神を操る美しい薔薇の精がいることなど、侯爵は、思いもしなかった。
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