22 / 26
22話:それぞれの再会
しおりを挟む母さんに会えるんだ。
そして俺には、妹たちもいるんだ。
一度に家族が3人増える。嬉しくてたまらない。早く会いたい。
なによりも、父さんと母さんを早く会わせてあげたい。
「母さんと妹たちを迎えに行くの?」
「ああ、おまえも一緒に行こう。この国が後ろ盾となってくれ、国同士で話も通っている。」
「ただ、懸念事項がある。フィリアは俺たちの子だが、ディーナは侯爵の子だ。ディーナの安全確保はしっかりとしたい。」
「アーデン侯爵は、ディーナを王太子に売るつもりだと聞いている。」
「妹たちの事情もわかっているんだね。」
「ああ、レティのそばに妹がいて定期的に連絡をくれるからな。」
「母さんたちは、何も知らないの?」
「妹のミリーもどんなに話したいと思ったか、でもヌカ喜びはさせたくないからとレティシアには今も伝えていないわ。」
「きっと、物凄く喜んでくれるね、母さんたち。」
「ああ、そうであってほしい。」
「そこで、人誑しのおまえの出番だ、カイル。」
「伯父さん?」
[後日、王城にて第3王子と密談中のカイル]
王子は12歳で、婚約者を決めろとやいのやいの言われて疲れていた。
「まだ12歳なのにさ、結婚相手を決めるのは早いと思うだろ?」
(俺は8歳だけれど、キールと結婚するつもり。言わないでおこう。)
「そうですね、そんなあなた様に偽の婚約者はいらないかな~と思いまして。」
「何?詳しく頼む。」
・
・
・
「さすがカイルだ。第3王子殿下がディーナの婚約者と決まった。」
「例の味方の王族の後押しもあったことだし、スムーズだった。カイルお手柄だ。」
「役に立ててよかった。」
【ライルの故国:王宮にて】
アーデン侯爵は、王宮に呼ばれていた。
レティシアと娘二人も伴っていた。
マリー医師もミリーも付いてきていた。
呑気に、ディーナが王太子の側室になる話だと浮かれていた。
一方レティシアとフィリアの顔色は悪かった。
ディーナは全く気負っていなかった。
「どうするのよ、ディー。このままじゃロリ王太子の餌食に・・。」
「心配しなくとも大丈夫。いざとなったらお母様やフィーたちの安全確保だけしたら、王宮ごと吹っ飛ばしてもいいし。他国で暮らすという手もある。こう見えて金を稼ぐことには長けているから心配すんなって。」
「そんなこと言って、8歳の子供なんて信用されないわよ。」
「見かけわな。中身は70歳のジジイだ。酸いも甘いもわかってるって。手足となる大人を隠れ蓑にすればいいだけさ。」
そして、通された部屋には、ライルとカイル、リリー、隣国の第3王子も牽制役としていた。
レティシアは、事情がわからぬまま愛しいライルの胸に飛び込んだ。
「ライル!ライル!!」
「俺のレティ!迎えにきたよ。遅くなってすまない。」
「いいえ、いいえ、私を許してくれるの?ライル。」
「許すも何も君は何も悪くない、そうだろう?」
「ライル、でも私は・・。」
「君が、俺以外の男を知らないってこともわかっているよ。」小声で。
真っ赤になったレティにライルは口付ける。
「一応、公衆の面前で王族もいるんですが、まあいいでしょう。」
「マリー先生、全てあなたの助言からはじまった。爵位の件もディーナの婚約の件も心からの感謝をあなたに。」
「ふふふ、いいのよ。気まぐれで国を出奔した末端の王族が、少しは役に立ったかしらね。」
「少しどころか十二分に。はじめまして、マリー殿下。」
「わかっていたけれど、ライルにソックリね。産まれたままの顔でそのまま育ったという感じだわ。」
「カイル。なにもしてあげられなくてごめんなさい。」
「いいえ、母さん、迎えが遅くなったのは俺のせいなんです。」
カイルから事情を聞き、「ごめんなさい、私の悪いところが遺伝してしまったのね。」とレティシアが悲しそうに言う。
「母さんはなにも悪くないよ。」
「それを言うならカイルもなにも悪くないわ。カイルを健康にしてくれてありがとう、ライル!」
「リリー姉様、本当にありがとう。ライルのところへカイルを連れて行ってくれたのね。」
「ふふ、この顔なら自分の子だと弟も疑いようがないと思って。」
「ありがとう。ライルのところほど安心な場所はなかったわ。そして、結婚おめでとう。」
「まさか私が結婚して子にも恵まれるとはね。乳兄妹同士で結婚するかもしれないわよ。」
「そうなったら嬉しいわ。」
「フィリア、ディーナ、不安だっただろう?迎えにきたよ。これからは俺が守るよ。」
「お父様!」「ライル父様、私のことも守ってくれるの?」
「勿論だ。ディーナの風除けとなってくれる王子殿下も一緒に来てくれている。」
「おや、私の風除け殿、よろしく。」とディーナは、唐突に第3王子に言った
「・・ああ。」
「フィリア、俺の半身、会いたかったよ。」
「カイル、私の半身、会えて嬉しいわ。」
2人は、ひしと抱き合った。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
皇妃は寵愛を求めるのを止めて離宮に引き篭ることにしました。
鍋
恋愛
ネルネ皇国の后妃ケイトは、陰謀渦巻く後宮で毒を盛られ生死の境を彷徨った。
そこで思い出した前世の記憶。
進んだ文明の中で自ら働き、 一人暮らししていた前世の自分。
そこには確かに自由があった。
後宮には何人もの側室が暮らし、日々皇帝の寵愛を得ようと水面下で醜い争いを繰り広げていた。
皇帝の寵愛を一身に受けるために。
ケイトはそんな日々にも心を痛めることなく、ただ皇帝陛下を信じて生きてきた。
しかし、前世の記憶を思い出したケイトには耐えられない。命を狙われる生活も、夫が他の女性と閨を共にするのを笑顔で容認する事も。
危険のあるこんな場所で子供を産むのも不安。
療養のため離宮に引き篭るが、皇帝陛下は戻ってきて欲しいようで……?
設定はゆるゆるなので、見逃してください。
※ヒロインやヒーローのキャラがイライラする方はバックでお願いします。
※溺愛目指します
※R18は保険です
※本編18話で完結
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
クソつよ性欲隠して結婚したら草食系旦那が巨根で絶倫だった
山吹花月
恋愛
『穢れを知らぬ清廉な乙女』と『王子系聖人君子』
色欲とは無縁と思われている夫婦は互いに欲望を隠していた。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる