1 / 26
01話:レティシアとライル(*)
しおりを挟む
子爵家令嬢レティシアは、生まれつき心の臓が悪かった。
医師には、成人まで生きられないだろうと宣告されていた。
そんなレティシアを両親と兄は溺愛し、大切にしていた。
溺愛された彼女は、ワガママ放題に育つことなどなく、優しく穏やかな性格だった。
レティシアの護衛騎士ライルの父は騎士爵だった。
レティシア付きのメイド姉妹は、ライルの姉妹たちだった。
成人前には死ぬだろうと言われたレティシアが、あと1週間で成人を迎える。
子爵家では、家族会議が行われていた。
残念ながら、未だに、体調の悪い時があり、今まで死の危険も何度もあった。
家族としては、このまま最期の時まで一緒に過ごしたい。
レティシアからも自分たちへの愛情を感じる。
だが、家族の中で一人、レティシアの母親だけが、
「娘に、レティに女としての幸せを感じてほしい。」と言った。
父親も兄も結婚生活には耐えられない、と反対した。
母親は、「貴族に生まれながら、幸運にも旦那様と恋愛結婚できました。今でも幸せです。
息子と娘にも恵まれ、、、。レティには子を産むことは難しいでしょうが・・・。
レティに残された時間を、愛する人と過ごさせてやりたい。」と言い、静かに涙を流し続けた。
男連中も折れた。
しかし、レティの結婚生活は、絶対にこの邸で送ること、と父親は条件をつけた。
母親は、困った旦那様ですね・・・、それでよいわと言った。
父親は、突然ハッとして、結婚相手は誰に?と。
母親も息子も、当然のように『ライル』の名を出した。
父親と当人たち以外は、レティとライルが想い合っていることに邸の皆が気付いていた。
お互いの気持ちを伝えてはいないようだったが、時々甘い雰囲気を醸し出している二人を子爵夫人は温かい目で見つめていた。
父親は、ライル ?なぜ騎士爵の息子を?と不思議に思った。
しかし、自身の妻が家格が上の伯爵令嬢であったこと、入り婿のようにこの邸での結婚生活を強いるのなら、ライルでいいか、と思った。
本当は娘に結婚などさせたくない、ないが・・。
娘の体の心配より、娘を奪われることにやるせなさを感じていた。
真っ先に、ライルが子爵夫妻と子息のいる部屋に呼ばれた。
子爵からレティシアと結婚してほしいと告げられる。
(え?旦那様は何を・・聞き間違いか・・?)
「レティシアを頼む。」
「これからは、私のことは兄と呼んでくれ。」
そう言い、男連中は部屋を出て行った。
俺は、どれだけの時間かわからないが呆けていたようだ。
ふと視界に、夫人の顔が・・。
「あ、、申し訳ございません。」
「謝らないで、突然でごめんなさいね。貴方は、レティを愛してくれている、ということでいいのかしら?」
「っ・・ずっとお慕いしておりました。お許しいただけないこととは知りながら・・。」
「ならよいのよ。結婚式はレティの誕生日に。急だけれど準備はこちらでするから心構えだけお願いね。」
「ほ、本当によろしいので?」
「娘も望んでいます。それに先に謝っておくわ。レティは、、、長くは貴方と過ごせないでしょう。」
「っ!・・・は、い。」
「却って、貴方を苦しめることになるかもしれない・・。」
「い、いいえ!お嬢様と結婚できるなら、これ以上の幸せはありません!」
涙目の二人で見つめ合う。
「では、最後に老婆心ながら伝えます。閨事のことですが。」
「わかっています、お嬢様には指一本触れません!」
「まあ。逆よ、ライル。貴方はレティの体の負担を考えているのでしょうが・・。ちゃんと妻にしてやってちょうだい。」
「え?ですが・・。」
「愛し合っている者同士、当然でしょう?お互いに相手の一番深いところを知りたいはずよ。」
ライルは顔を赤くする。
「この際、恥ずかしいなんて言ってられないからハッキリ言いますね。」
ライルはドキドキしながら身構える。
「初めての女性に対し、ほぐすでしょう?」
「ほぐす?」
「初めてだと中が狭いから、受け入れやすいように指が3本入るまで、とか?」
ライルは、夫人の言ったことがわかり、身体中真っ赤になった。
「それは、レティの負担になります。指3本まですすめているうちに体力がなくなってしまうわ。
経験者の私が言うのだからまちがいないわ。」
「いえ、ですが・・。」(ああ、この上なく、は、恥ずかしい。)
「頃合いを見計らって、一気にお願いしたいわ。」
「!・・・・・。」(も、もう死にそうだ・・。)
「女医を控えさせているから、不安なら彼女と話してみて。・・私の愛するレティに女としての幸せを与えてやって。お願い・・。娘のこと、頼んだわね。」
夫人は女医を呼ぶと部屋から出て行った。
(なんて余裕綽々。それに比べて俺は・・いや、やはり恥ずかしすぎる!)
[女医と対面]
「あ、あの・・・。」(ああ、どうしてこんな羞恥プレイに・・。)
「ふふ。・・奥様が仰ったことは本当ですよ。」
「え、ど、どのことですか?」(ま、まさか・・。)
「『ほぐす』の禁止ってことです。」
(あああぁ、やめてくれ、心がもたない。)
「深い口付けと愛撫で濡れるでしょうから、濡れているのを確認したら『一気に』挿入してください。」
(いや、だから、やめてくれ~~・・・。)
「まあ。落ち着いて。せっかくだからお茶をいただきましょう?」
二人でお茶に口をつける。
「当日の夜、レティシア様を診察してその状態で指示を出します。何回までならOKとか?」
「ブフゥーーッ!・・・ごほっごほ・・。」
「あ、それと、奥様からの指示を伝えます。今日からあなたには結婚後レティシア様と過ごす部屋を使ってください。
それとおはようとおやすみのキスをレティシア様に欠かさないようにと、今晩からですね。」
「え?」
「あ、もちろん唇にですよ。お嬢様の期待を裏切らないでくださいね~。では。」
「は?」
医師には、成人まで生きられないだろうと宣告されていた。
そんなレティシアを両親と兄は溺愛し、大切にしていた。
溺愛された彼女は、ワガママ放題に育つことなどなく、優しく穏やかな性格だった。
レティシアの護衛騎士ライルの父は騎士爵だった。
レティシア付きのメイド姉妹は、ライルの姉妹たちだった。
成人前には死ぬだろうと言われたレティシアが、あと1週間で成人を迎える。
子爵家では、家族会議が行われていた。
残念ながら、未だに、体調の悪い時があり、今まで死の危険も何度もあった。
家族としては、このまま最期の時まで一緒に過ごしたい。
レティシアからも自分たちへの愛情を感じる。
だが、家族の中で一人、レティシアの母親だけが、
「娘に、レティに女としての幸せを感じてほしい。」と言った。
父親も兄も結婚生活には耐えられない、と反対した。
母親は、「貴族に生まれながら、幸運にも旦那様と恋愛結婚できました。今でも幸せです。
息子と娘にも恵まれ、、、。レティには子を産むことは難しいでしょうが・・・。
レティに残された時間を、愛する人と過ごさせてやりたい。」と言い、静かに涙を流し続けた。
男連中も折れた。
しかし、レティの結婚生活は、絶対にこの邸で送ること、と父親は条件をつけた。
母親は、困った旦那様ですね・・・、それでよいわと言った。
父親は、突然ハッとして、結婚相手は誰に?と。
母親も息子も、当然のように『ライル』の名を出した。
父親と当人たち以外は、レティとライルが想い合っていることに邸の皆が気付いていた。
お互いの気持ちを伝えてはいないようだったが、時々甘い雰囲気を醸し出している二人を子爵夫人は温かい目で見つめていた。
父親は、ライル ?なぜ騎士爵の息子を?と不思議に思った。
しかし、自身の妻が家格が上の伯爵令嬢であったこと、入り婿のようにこの邸での結婚生活を強いるのなら、ライルでいいか、と思った。
本当は娘に結婚などさせたくない、ないが・・。
娘の体の心配より、娘を奪われることにやるせなさを感じていた。
真っ先に、ライルが子爵夫妻と子息のいる部屋に呼ばれた。
子爵からレティシアと結婚してほしいと告げられる。
(え?旦那様は何を・・聞き間違いか・・?)
「レティシアを頼む。」
「これからは、私のことは兄と呼んでくれ。」
そう言い、男連中は部屋を出て行った。
俺は、どれだけの時間かわからないが呆けていたようだ。
ふと視界に、夫人の顔が・・。
「あ、、申し訳ございません。」
「謝らないで、突然でごめんなさいね。貴方は、レティを愛してくれている、ということでいいのかしら?」
「っ・・ずっとお慕いしておりました。お許しいただけないこととは知りながら・・。」
「ならよいのよ。結婚式はレティの誕生日に。急だけれど準備はこちらでするから心構えだけお願いね。」
「ほ、本当によろしいので?」
「娘も望んでいます。それに先に謝っておくわ。レティは、、、長くは貴方と過ごせないでしょう。」
「っ!・・・は、い。」
「却って、貴方を苦しめることになるかもしれない・・。」
「い、いいえ!お嬢様と結婚できるなら、これ以上の幸せはありません!」
涙目の二人で見つめ合う。
「では、最後に老婆心ながら伝えます。閨事のことですが。」
「わかっています、お嬢様には指一本触れません!」
「まあ。逆よ、ライル。貴方はレティの体の負担を考えているのでしょうが・・。ちゃんと妻にしてやってちょうだい。」
「え?ですが・・。」
「愛し合っている者同士、当然でしょう?お互いに相手の一番深いところを知りたいはずよ。」
ライルは顔を赤くする。
「この際、恥ずかしいなんて言ってられないからハッキリ言いますね。」
ライルはドキドキしながら身構える。
「初めての女性に対し、ほぐすでしょう?」
「ほぐす?」
「初めてだと中が狭いから、受け入れやすいように指が3本入るまで、とか?」
ライルは、夫人の言ったことがわかり、身体中真っ赤になった。
「それは、レティの負担になります。指3本まですすめているうちに体力がなくなってしまうわ。
経験者の私が言うのだからまちがいないわ。」
「いえ、ですが・・。」(ああ、この上なく、は、恥ずかしい。)
「頃合いを見計らって、一気にお願いしたいわ。」
「!・・・・・。」(も、もう死にそうだ・・。)
「女医を控えさせているから、不安なら彼女と話してみて。・・私の愛するレティに女としての幸せを与えてやって。お願い・・。娘のこと、頼んだわね。」
夫人は女医を呼ぶと部屋から出て行った。
(なんて余裕綽々。それに比べて俺は・・いや、やはり恥ずかしすぎる!)
[女医と対面]
「あ、あの・・・。」(ああ、どうしてこんな羞恥プレイに・・。)
「ふふ。・・奥様が仰ったことは本当ですよ。」
「え、ど、どのことですか?」(ま、まさか・・。)
「『ほぐす』の禁止ってことです。」
(あああぁ、やめてくれ、心がもたない。)
「深い口付けと愛撫で濡れるでしょうから、濡れているのを確認したら『一気に』挿入してください。」
(いや、だから、やめてくれ~~・・・。)
「まあ。落ち着いて。せっかくだからお茶をいただきましょう?」
二人でお茶に口をつける。
「当日の夜、レティシア様を診察してその状態で指示を出します。何回までならOKとか?」
「ブフゥーーッ!・・・ごほっごほ・・。」
「あ、それと、奥様からの指示を伝えます。今日からあなたには結婚後レティシア様と過ごす部屋を使ってください。
それとおはようとおやすみのキスをレティシア様に欠かさないようにと、今晩からですね。」
「え?」
「あ、もちろん唇にですよ。お嬢様の期待を裏切らないでくださいね~。では。」
「は?」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる