24 / 39
「呉越同舟」——常盤仁作——
しおりを挟む
「若!! 鴬さん!! 起きてください!!」何やら朝から騒々しい。カードキーを共有していないはずだが、部下が部屋まで侵入し、仁作と鴬2人を叩き起こしてくる。
「何やってるんですか!! 2人とも!! 鴬さんは普通に学校ですよ?!」
仁作が先に目を擦り、部下の母性愛溢れる起こし方に苛立ちを覚えながら、「今日は日曜だろ……もうちっと寝かせてくれや」と文句を垂れる。
「何言ってんスか! 今日は月曜です!!」
「……」
「マジですって!! 鴬さんが遅刻します!! 早く鴬さんを起こして!!」
「……」
「早く!!」
「……ん? お前、どうやって部屋に入ったんだ」
「そんなのは鴬さんを送り出した後で教えますから、早く鴬さんを起こしてください!!」
漸次、覚醒しだす脳で、部下が自分と鴬を同時に呼んだので、同じ部屋に鴬がいることを把握する。
横を見れば、健やかに眠る鴬が高校生のあどけなさを前面に押し出している。勝手に開けられたカーテンから差し込む光が、やけに目を刺激して眉根を寄せた。
「……鴬、起きろ。お前、学校らしいぞ」とのっそり覇気のない声で起こす。寝ぼけ眼で隣の童顔高校生を揺するが、こちらはピクリともしない。
(ま、そう簡単に起きれるわけねぇか)
仁作も何度目をこすっても、微睡む眼と格闘しているのに、朝方まで受ける方であった鴬に数時間で戻る体力は持ち合わせていない。
いつの間にかエプロン姿の部下が、「もう! あんまり遅いからこちらの部屋まで朝食作りに来たんですから!! 食べて学校行かせないと、会長から怪しまれすよ」と鴬に視線を移さずにぼやく。
そういえば、仁作は着衣だったが、鴬は裸体だ。これでは、まごうことなき情事があったのだと公言しているようなものだ。
「……なぁ、何でそんな驚かねぇの」
「え、どこに驚く要素があるんですか」
部下は続けて「もしかして、隠してたつもりだなんて、言いませんよね」といった。
それに言葉を返せずに思考を止めていると、部下はそそくさと話の腰をぶった斬って「そんなことはまた後で、鴬さんを学校に送り届けてからたくさんしてあげますから!」とオカンになりかわった。
「ほら、鴬さん!! 起きてください! 若、俺少しだけ支度残してるんで、先にキッチン行ってます。鴬さんを抱き抱えてでも起こしてくださいよ!!」
「……おーう」
朝からオカンの役割を果たしに行った部下を横目に、鴬に視線を戻す。
「何で僕らのピロートークは部下の雄々しい声から始まるんだよ、クソ」と大いに陰口を叩く鴬が、裸体のまま仁作の胸にぴとりとくっついて爪を噛んでいた。
「起きてたのか」
「ふぇ、ふぁ、あ、お、おはよう!」
「いやいや、このゼロ距離でさっきのが聞こえないわけないから」
「だって、寝ぼけてるかと思ってたから」
「俺が先に起きたんだから有り得ねぇよ」
「そう? 仁作が起きなければ、部下も諦めて僕の欠席も許してくれるかと思ってたんだけど」
「……は? 鴬が先に起きてたのかよ。つか、昨日! 俺のワガママとはいえ、今日が月曜だって分かってて、承諾したな?」
「やっぱりバレちゃう?」
起き抜けのはずの童顔高校生は、既にぱっちり二重の目力でこちらに視線を寄越す。ハリもツヤも調子がいいらしい。仁作の大きな手で頬を包むと、吸い付いてもっちりとした弾力を伴いながら、また、手から離れていった。
「何やってるんですか!! 2人とも!! 鴬さんは普通に学校ですよ?!」
仁作が先に目を擦り、部下の母性愛溢れる起こし方に苛立ちを覚えながら、「今日は日曜だろ……もうちっと寝かせてくれや」と文句を垂れる。
「何言ってんスか! 今日は月曜です!!」
「……」
「マジですって!! 鴬さんが遅刻します!! 早く鴬さんを起こして!!」
「……」
「早く!!」
「……ん? お前、どうやって部屋に入ったんだ」
「そんなのは鴬さんを送り出した後で教えますから、早く鴬さんを起こしてください!!」
漸次、覚醒しだす脳で、部下が自分と鴬を同時に呼んだので、同じ部屋に鴬がいることを把握する。
横を見れば、健やかに眠る鴬が高校生のあどけなさを前面に押し出している。勝手に開けられたカーテンから差し込む光が、やけに目を刺激して眉根を寄せた。
「……鴬、起きろ。お前、学校らしいぞ」とのっそり覇気のない声で起こす。寝ぼけ眼で隣の童顔高校生を揺するが、こちらはピクリともしない。
(ま、そう簡単に起きれるわけねぇか)
仁作も何度目をこすっても、微睡む眼と格闘しているのに、朝方まで受ける方であった鴬に数時間で戻る体力は持ち合わせていない。
いつの間にかエプロン姿の部下が、「もう! あんまり遅いからこちらの部屋まで朝食作りに来たんですから!! 食べて学校行かせないと、会長から怪しまれすよ」と鴬に視線を移さずにぼやく。
そういえば、仁作は着衣だったが、鴬は裸体だ。これでは、まごうことなき情事があったのだと公言しているようなものだ。
「……なぁ、何でそんな驚かねぇの」
「え、どこに驚く要素があるんですか」
部下は続けて「もしかして、隠してたつもりだなんて、言いませんよね」といった。
それに言葉を返せずに思考を止めていると、部下はそそくさと話の腰をぶった斬って「そんなことはまた後で、鴬さんを学校に送り届けてからたくさんしてあげますから!」とオカンになりかわった。
「ほら、鴬さん!! 起きてください! 若、俺少しだけ支度残してるんで、先にキッチン行ってます。鴬さんを抱き抱えてでも起こしてくださいよ!!」
「……おーう」
朝からオカンの役割を果たしに行った部下を横目に、鴬に視線を戻す。
「何で僕らのピロートークは部下の雄々しい声から始まるんだよ、クソ」と大いに陰口を叩く鴬が、裸体のまま仁作の胸にぴとりとくっついて爪を噛んでいた。
「起きてたのか」
「ふぇ、ふぁ、あ、お、おはよう!」
「いやいや、このゼロ距離でさっきのが聞こえないわけないから」
「だって、寝ぼけてるかと思ってたから」
「俺が先に起きたんだから有り得ねぇよ」
「そう? 仁作が起きなければ、部下も諦めて僕の欠席も許してくれるかと思ってたんだけど」
「……は? 鴬が先に起きてたのかよ。つか、昨日! 俺のワガママとはいえ、今日が月曜だって分かってて、承諾したな?」
「やっぱりバレちゃう?」
起き抜けのはずの童顔高校生は、既にぱっちり二重の目力でこちらに視線を寄越す。ハリもツヤも調子がいいらしい。仁作の大きな手で頬を包むと、吸い付いてもっちりとした弾力を伴いながら、また、手から離れていった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる