356 / 368
最終話:これからの事。
02これからの事。
しおりを挟むウキウキと喜ぶ鞍馬に対し、白狼がげんなりとして答える。
違う意味で大変だったんだろうと伺えた。
「スーツでネクタイをちょうちょ結びするヤツがあるか!しかもそのフサフサ持ち込むなっつーの!」
「うるっさいわね!このヴァカが!大事な物持ち歩いて何が悪いのよ!」
「お忍びなのに隠れきれてねェーんだよ!バカみてェーに目立ってんじゃねーやい!バーカ!」
睨み合い、今にも喧嘩を始めそうな彼らを眺めながら、なんだかんだこの二羽は仲が良いと紗紀は改めて思う。
「まぁ、政府側はなんも知らされてねェーみてーでサ。静かなモンだったぜ~」
「夕暮れ時だったし?人がほとんど居なかったってのもあるんだろうけどねぇ」
白狼の言葉に、鞍馬もウンウンと頷いた。
「まぁ、でも。転移装置や研究のデータはそれ専門の鴉天狗のおかげで復元出来たぜ。今、春秋達がそれを世界変えるために活用しようと方向性決めてる」
「春秋さんもご無事みたいで良かったです」
随分と弱り跪いている春秋の姿が脳裏を過ぎった。
「春秋様は元気よぉ!紗紀ちゃんのコト、とても心配していたから報告したら明日にでも飛んで来るわ」
鞍馬がウインクして笑う。
一体どれくらいの時間が流れてしまったのだろうと紗紀はぼんやりと思考を巡らせた。
全てが終わったと言う実感がわかない。
まだどこか現実味が無くて、ふわふわしている。
「さぁ、もう少し横になって。紗紀はまだ病み上がりなんだ、長くなる話しはもう少し落ち着いてからにしよう」
ミタマがそう行ってみんなに出ていくよう促した。
「タマちゃんズルいんだ~。アレでしょ?久しぶりに目覚めた紗紀ちゃん独り占めしたいんでしょ?」
フフフ、と七曲が笑って茶化す。
「紗紀も女子なんじゃから、寝起きをこんな大勢に見られるのも可哀想じゃろう?ほら、野郎どもは散りな」
しっしと雪女の雪音が男性陣を追い払った。
そこには雪音とマミ、そしてミタマだけが残る。
「ミタマ、アンタもだよ。紗紀はこれから湯殿に浸かって服も交換するんじゃ。その方がスッキリ眠れるじゃろう?」
「それは、そうだね。じゃあお願いするよ。紗紀、後でゆっくり食事でもしよう」
ミタマは雪音の言葉にすんなりと頷き、そう言い残すと部屋を後にした。
「本当に気の利かない男どもだよ。悪いね、紗紀」
「紗紀お姉ちゃん、目が覚めて良かった~!」
雪音もマミも紗紀の無事を喜んで、抱きしめ合う。
そしてハッと我に返る紗紀、バッと離れて自分の匂いを嗅いだ。
(もしかして臭う……?)
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
僕の彼女は婦人自衛官
防人2曹
ライト文芸
ちょっと小太りで気弱なシステムエンジニアの主人公・新田剛は、会社の先輩の女子社員に伊藤佳織を紹介される。佳織は陸上自衛官という特殊な仕事に就く女性。そのショートカットな髪型が良く似合い、剛は佳織に一目惚れしてしまう。佳織は彼氏なら職場の外に人が良いと思っていた。4度目のデートで佳織に告白した剛は、佳織からOKを貰い、2人は交際開始するが、陸上自衛官とまだまだ底辺エンジニアのカップルのほのぼのストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
(続)人斬り少女は逃がさない
tukumo
ライト文芸
短編小説
人斬り少女は逃がさない
なんとも中途半端で続きを書きたくなったので数話連続小説として帰ってきた
あ、作者の気まぐれで投稿頻度は早かったり遅かったりするのはご愛嬌ということで良ければ緩利と読んでみて下さいまし~by tukumo
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
形而上の愛
羽衣石ゐお
ライト文芸
『高専共通システムに登録されているパスワードの有効期限が近づいています。パスワードを変更してください。』
そんなメールを無視し続けていたある日、高専生の東雲秀一は結瀬山を散歩していると驟雨に遭い、通りかかった四阿で雨止みを待っていると、ひとりの女性に出会う。
「私を……見たことはありませんか」
そんな奇怪なことを言い出した女性の美貌に、東雲は心を確かに惹かれてゆく。しかしそれが原因で、彼が持ち前の虚言癖によって遁走してきたものたちと、再び向かい合うことになるのだった。
ある梅雨を境に始まった物語は、無事エンドロールに向かうのだろうか。心苦しい、ひと夏の青春文学。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
初愛シュークリーム
吉沢 月見
ライト文芸
WEBデザイナーの利紗子とパティシエールの郁実は女同士で付き合っている。二人は田舎に移住し、郁実はシュークリーム店をオープンさせる。付き合っていることを周囲に話したりはしないが、互いを大事に想っていることには変わりない。同棲を開始し、ますます相手を好きになったり、自分を不甲斐ないと感じたり。それでもお互いが大事な二人の物語。
第6回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる