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第十七話:激動。

02激動。

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「じゃあ、俺らも一旦戻って神鳩かみばとの像を撤去てっきょして来る」


楓が紗紀にそう告げる。

彼のパートナーも狛犬なのだから他人事ではない。


「うん、分かった」

「じゃあ後でそちらの空間も歪めますね」


春秋も了承し、楓達は転移装置から自分達の神社へと戻った。


「……へぇ。これが噂の転移。……ふーん?GPSで場所の把握をしてそうだね。移動できる範囲は決まってるんだっけ?」


春秋は消えた楓と神鳩の居た拝殿をキョロキョロと見渡す。

政府が作り出したと言う転移装置が気になっているのだろう。


「はい。政府の会議室と、本来の神社、偽りの神社は行き来が出来ます。狛犬とタブレット端末が必須みたいです」

「なるほどね。後でそのタブレット見せてもらっても?」

「はい」


紗紀は春秋の申し出に、快く頷いて見せた。


「ハイいっちょ上がり!んで?コレどこに置いとくワケ?安全な場所ってあんの?偽物の神社にでも置いとく?」

「もう少し丁重に扱ってよ、白狼」


一人で狛犬の像をかつぎ上げる白狼に、春秋は不安いっぱいだ。


「蔵に置くか、拝殿内がいいとは思うけど……」


ミタマはスルーして、袖口を口元に添えると思案する。


「そうだね。戦場になった場合、どの程度ここが破壊されるか分からないからね。偽物の神社に置くのも一つの選択だよね」

「そうか。蔵も拝殿も壊れる可能性は否めないね」


春秋の推測に、ミタマも納得した。


「じゃあ、さっくり空間を歪めますね。呼び出したかった子達もこのタイミングで連れて来てください」


笑顔で紗紀を見る春秋に、頷いて見せた。

それに突然七曲だけ消えて、みんな心配してるに違いない。

春秋は両手を合わせて、ブツブツと何かをつぶやいている。

青白い光が彼を中心に光放たれた。

風が吹き荒れると、光とともに小さくなっていく。

目を開いた春秋が合わせていた両手を、前に押し出した。


「これが……空間を歪めるって、コト?」


七曲がマジマジと黒く渦を巻く異空間を見つめる。


「さぁ、どうぞ」


春秋はそう言って、手の平で空間へと促した。


「行ってきます!」


◇◆◇


「ココが偽物?凄く本物っぽいじゃなぁい?」


物珍しそうに辺りをキョロキョロと見渡す鞍馬。


「なぁなぁなぁ、コレどこ置くんだよ。邪魔なんだケド」

「ロウちゃん、ボクが持つから貸して~」


白狼からひょいと像を取り上げる七曲。


「拝殿の中へ。そこが一番安全だ」

「分かりました。開けますね」


拝殿の中へ踏み入った事が無くて、少しだけ躊躇ためらわれる。

#履物__はきもの_#を脱いで上がると、意を決して扉を開いた。


「ここが、拝殿の中……」

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