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桜と恋
タイムリミット11ヶ月
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僕は今、先輩の隣を歩調を合わせながら歩いている。
まぁ、歩くスピードはほとんど変わらないから合わせる必要もないが…
……ふと、横を向くと満開の桜を背景に恵奈先輩の横顔が目に映った。
ーやっぱ可愛いなー
そんなことを考えたり、てきとうに雑談したりしながら僕は先輩と学校へ向かった。
-------------
学校に到着し、先輩と別れ、名残惜しい気持ちを抱えながら僕は廊下を歩いていた。
保健室の前を通ったあたりで後ろから
「おーい、涼~!」
と、元気な声が響いてきた。
こんな風に馴れ馴れしく話しかけて来るような人は一人しか心当たりがない。
声の主に返答しながら振り返る。
「まだ始業式から1週間なのに、なんでそんな元気なんですか?」
春休みという朝遅く起きても問題がない、休日の塊が過ぎ去って、
1週間というのになぜこいつはこんなにも元気なのだろう?
「えー、新しいスタートがきれて良い気分にならない?」
と言いながらそいつは僕の背中をパチーンと叩いて来る。
「いだっ!葵先輩、少しは手加減してくださいよ」
そう、こんな風に馴れ馴れしく話しかけて来るような人とは、僕の友達兼先輩。
達川葵(たちかわあおい)先輩だ。
「惺には手加減なしで叩いたから、涼だけ手加減するってことはしないの」
「惺先輩に手加減なしで叩いたからって、僕を手加減なしで叩くのやめてくれません⁉︎」
僕には、先輩で仲のいい人がもう一人いる。
その先輩は、さっきの話の中で出てきた天音惺(あまねせい)先輩だ。
惺先輩は線路を挟んで反対側にある学校に通っている。
惺先輩は葵先輩の紹介によって知り合い、
今では、メールを交換するなど、僕の中で非常に信頼できる先輩になっている。
「それにしても、なんで惺先輩を手加減なしで叩いたんですか?」
どうせ、『気分で』とか言われると思っていたら、
「いや、あいつの様子をこの前見にいったら、知らない女があいつの家にいたからさ。
問答無用で叩くというより引っ叩いてきた」
「その方、彼女とかだったんじゃないんですか?」
これで、彼女じゃなかったら惺先輩の信用が男として地に落ちるが……
「彼女だったよ。あいつなんかに彼女か~って正直思った」
ほっと安堵する。
「『なんかに』って、めっちゃディスるじゃないですか」
「いや、実際あいつが勝手に彼女作ったとかいってるもんだと思ってたし、
けど、その彼女さんが『はい、惺の彼女です』って言ったからね。間違いないよ」
惺先輩に彼女か~。
いいな~というのが本心だ。
僕も恵奈先輩と付き合えたらなぁ……
よし、頑張るぞ!と、何故かやる気に満ち溢れた。
「じゃあ、そろそろ行くね!」
そう残し、葵先輩は去っていった。
さて、恵奈先輩が卒業するまであと11ヶ月。僕は、想いを伝えることはできるのだろうか。
まぁ、歩くスピードはほとんど変わらないから合わせる必要もないが…
……ふと、横を向くと満開の桜を背景に恵奈先輩の横顔が目に映った。
ーやっぱ可愛いなー
そんなことを考えたり、てきとうに雑談したりしながら僕は先輩と学校へ向かった。
-------------
学校に到着し、先輩と別れ、名残惜しい気持ちを抱えながら僕は廊下を歩いていた。
保健室の前を通ったあたりで後ろから
「おーい、涼~!」
と、元気な声が響いてきた。
こんな風に馴れ馴れしく話しかけて来るような人は一人しか心当たりがない。
声の主に返答しながら振り返る。
「まだ始業式から1週間なのに、なんでそんな元気なんですか?」
春休みという朝遅く起きても問題がない、休日の塊が過ぎ去って、
1週間というのになぜこいつはこんなにも元気なのだろう?
「えー、新しいスタートがきれて良い気分にならない?」
と言いながらそいつは僕の背中をパチーンと叩いて来る。
「いだっ!葵先輩、少しは手加減してくださいよ」
そう、こんな風に馴れ馴れしく話しかけて来るような人とは、僕の友達兼先輩。
達川葵(たちかわあおい)先輩だ。
「惺には手加減なしで叩いたから、涼だけ手加減するってことはしないの」
「惺先輩に手加減なしで叩いたからって、僕を手加減なしで叩くのやめてくれません⁉︎」
僕には、先輩で仲のいい人がもう一人いる。
その先輩は、さっきの話の中で出てきた天音惺(あまねせい)先輩だ。
惺先輩は線路を挟んで反対側にある学校に通っている。
惺先輩は葵先輩の紹介によって知り合い、
今では、メールを交換するなど、僕の中で非常に信頼できる先輩になっている。
「それにしても、なんで惺先輩を手加減なしで叩いたんですか?」
どうせ、『気分で』とか言われると思っていたら、
「いや、あいつの様子をこの前見にいったら、知らない女があいつの家にいたからさ。
問答無用で叩くというより引っ叩いてきた」
「その方、彼女とかだったんじゃないんですか?」
これで、彼女じゃなかったら惺先輩の信用が男として地に落ちるが……
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ほっと安堵する。
「『なんかに』って、めっちゃディスるじゃないですか」
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けど、その彼女さんが『はい、惺の彼女です』って言ったからね。間違いないよ」
惺先輩に彼女か~。
いいな~というのが本心だ。
僕も恵奈先輩と付き合えたらなぁ……
よし、頑張るぞ!と、何故かやる気に満ち溢れた。
「じゃあ、そろそろ行くね!」
そう残し、葵先輩は去っていった。
さて、恵奈先輩が卒業するまであと11ヶ月。僕は、想いを伝えることはできるのだろうか。
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