上 下
19 / 32

お揃いストラップ

しおりを挟む
まぁ、なんとなくは想像ついていたが山登りは班ごとだった。
僕らは先ほど、あんなことがあったため、気まずい雰囲気のまま山登りをすることになった。
「………………」
僕らは今、微妙な距離感で山登りをしている。
僕も彼方も一向に口を開こうとしない。
まぁ、あんなことの後なのだから当たり前といえば当たり前なのだが。
それにしてもこんな状況になった時はどうしたら良いのだろう?
どうしたら気まずい雰囲気を解消できる?
今まで、葵くらいとしか女と関わってきていないため、こんな状況になった時の対処法がわからない。
声をかけるのが正解なのか。
そっとしておくのが正解なのか。
正解は……

ー声をかけるー

だと信じたい!
そうやけになりながらも僕は彼方にこう言った。
「さっきの状況さ、なんだかんだ言って嬉しかったよ?」
自分でも何が言いたいのかわからなくなったからか、文末に?がついてしまった。
すると彼方は僕の方を見て噴き出した。
え?なんで?
変なこと言った?
僕が困惑していると、
「いい意味でも悪い意味でも鈍感で空気読めなすぎ」
そう彼方に言われてしまった。
個人的に鈍感ではないと思うんだけどな…
まぁ、でも、気まずい雰囲気ではなくなったしいっか。
と思い少し気が楽になった僕であった。

--------------

それからは順調に山登りをして行った。
僕の足が死にそうになったりだとかしたけど…
僕は基本、家から出ないのによくこんなに動けたなぁと思う。
それと同時に明日筋肉痛になってそうだなぁ。
とも思うが…
まぁなんだかんだ言って山登りは楽しいものだった。
そして今、僕らは現地の近くにある商店街をぶらついていた。
「惺、見て~、これすっごく可愛くない?」
こういう感じ女の子だな~って思うんだけどわかる人いる?
「うん、すごく可愛いと思うよ」
山登りを始めた時の気まずい雰囲気はもう完全に消え去っている。
「じゃあ、次はあっちの店行こうよ!」
「はいはい、わかったからそんなはしゃぐなって」
さっきから彼方は割と多くの買い物している。
そしてその荷物は全て僕が持っている。
UNOで負けたからしょうがないのだけれど、明らかに理不尽だなぁ。
ま、デートみたいな感じだしいっか。
そう思う僕であった。

--------------

買い物を続けていると、ふと、彼方が同じストラップを2つ持ってきた。
そして、
「ねぇ、惺?お揃いのストラップつけようよ!」
と提案してきた。
「お揃い?」
「そ、お揃い。あっ、私が全額払うから大丈夫」
いや、別にそこの心配してるわけじゃないんだけど。
ていうか、心配とか一切してないんだけど。
むしろ、お揃いストラップとかめっちゃ欲しい。
そして、彼方はストラップを持ってレジへ向かった。
お揃いか…
やっぱいいよね。
そうしている間に彼方はストラップを買ったらしく、ストラップを持ってこちらへきた。
「はい、ねぇ、つける場所もお揃いにしようよ!」
「じゃあ、財布でいいか?」
「うん、いいよ」
そして、僕らはお揃いの所にお揃いのストラップをつけたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】天上デンシロック

海丑すみ
青春
“俺たちは皆が勝者、負け犬なんかに構う暇はない”──QUEEN/伝説のチャンピオンより   『天まで吹き抜けろ、俺たちの青春デンシロック!』    成谷響介はごく普通の進学校に通う、普通の高校生。しかし彼には夢があった。それはかつて有名バンドを輩出したという軽音楽部に入部し、将来は自分もロックバンドを組むこと!  しかし軽音楽部は廃部していたことが判明し、その上響介はクラスメイトの元電子音楽作家、椀田律と口論になる。だがその律こそが、後に彼の音楽における“相棒”となる人物だった……!  ロックと電子音楽。対とも言えるジャンルがすれ違いながらも手を取り合い、やがて驚きのハーモニーを響かせる。   ---   ※QUEENのマーキュリー氏をリスペクトした作品です。(QUEENを知らなくても楽しめるはずです!)作中に僅かながら同性への恋愛感情の描写を含むため、苦手な方はご注意下さい。BLカップル的な描写はありません。   ---   もずくさん( https://taittsuu.com/users/mozuku3 )原案のキャラクターの、本編のお話を書かせていただいています。実直だが未熟な響介と、博識だがトラウマを持つ律。そして彼らの間で揺れ動くもう一人の“友人”──孤独だった少年達が、音楽を通じて絆を結び、成長していく物語です。   表紙イラストももずくさんのイラストをお借りしています。pixivでは作者( https://www.pixiv.net/users/59166272 )もイラストを描いてますので、良ければそちらもよろしくお願いします。   ---   5/26追記:青春カテゴリ最高4位、ありがとうございました!今後スピンオフやサブキャラクターを掘り下げる番外編も予定してるので、よろしくお願いします!

青天のヘキレキ

ましら佳
青春
⌘ 青天のヘキレキ 高校の保健養護教諭である金沢環《かなざわたまき》。 上司にも同僚にも生徒からも精神的にどつき回される生活。 思わぬ事故に巻き込まれ、修学旅行の引率先の沼に落ちて神将・毘沙門天の手違いで、問題児である生徒と入れ替わってしまう。 可愛い女子とイケメン男子ではなく、オバちゃんと問題児の中身の取り違えで、ギャップの大きい生活に戸惑い、落としどころを探って行く。 お互いの抱えている問題に、否応なく向き合って行くが・・・・。 出会いは化学変化。 いわゆる“入れ替わり”系のお話を一度書いてみたくて考えたものです。 お楽しみいただけますように。 他コンテンツにも掲載中です。

僕の周りの人達には秘密がある

ノア オリバー
青春
ぼくの周りの人たちには、何か秘密がある。例えば横の席の子とか前の席の子とか。女の子に囲まれたぼくは一人一人の秘密を解決していくのだった。 「僕に話してみなよ」 これは優しい声音で聞く、優しく頼りになる彼を好きになっていく少女達の恋物語。

OH MY CRUSH !!

文月 七
青春
一目惚れした女の子を探すために、倖尊は奔走する!

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

青のパラレルズ

白川ちさと
青春
冬野雪花はクラスでぼっちで過ごしている。同じくぼっちの美森葉瑠、ギャルメイクで雪花の元親友の浦上詩帆。三人は同じクラスで過ごすものの、言葉を交わすことはない。 花火大会の夜、空に不思議な青い光が走る。 その翌日から、詩帆の様子が変わり、きつい言葉をかけていた葉瑠に謝罪。雪花は知らない男子から告白されてしまう。決して交わることのなかった四人が過ごす夏が始まる。

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...