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月見里翠
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学校に着き、周囲を見渡す。
今は、集合時間の3分前なので当たり前といえば当たり前だが生徒の姿は僕と彼方以外ない。
僕は上履きを履き、歩いて集合場所である体育館へ向かおうとすると、
正面から特徴的な時計をカバンにつけた女が歩いてきた。
誰だったかな…と思考を巡らせていると、その女が声を発した。
「彼方、もう3分前よ。ちょっとぐらい急いだら?」
彼方への言葉か。なら僕は関係ないな。
と思いその場を去ろうとすると、
「そこの惺くんだっけ?君も急いだ方がいいんじゃない?」
話しかけられるという予想外の展開になった。
とりあえず相手が誰かわからないので名前だけ確認する。
「彼方、その方は?」
一応敬語でその人のことを呼んでおく。
「えーと、この子は月見里翠(やまなしみどり)。私の親友」
そういえば、学校じゃいつも僕と話してるから彼方の友達っていう概念を忘れてたわ。
親友と言われ、満更でもなさそうな感じで月見里さんは彼方とやり取りをする。
「もう、この子って(笑)」
「この子じゃん。料理だって1人じゃできないくせに」
「や、やめて。それ言わないで」
「ふふふっ、やっぱ翠は可愛いよね」
「う、うるさい」
と女の子独特の会話を繰り広げ、月見里さんはふと思い出したように
「あっ、こんなことしてる場合じゃない!あと2分もないよ。急ごう」
と言い、月見里さんと彼方は同時に駆け出した。
その後ろ姿を見ながら、彼女ら親友っていうだけあって息が合ってるな~と思うのだった。
-------------ー
あれから体育館では恒例の始まりの会的なものをし、今はバスに乗って現地へ向かっている途中だ。
バスの座席は自由なので、彼方が当たり前のように隣に座っている。
そして、バスの真ん中の通路を挟んで反対側に月見里さんが座っている。
通路を挟みながらも2人は会話を繰り広げている。
彼方が楽しそうで良かったと思う自分もいれば、
彼方に話しかけられなくて寂しいと感じてしまう自分もいた。
ーこの気持ちはいったいなんなのだろうかー
唐突だが、月見里さんと彼方の会話を聞き、僕が確認した情報をまとめる。
月見里さんと彼方は中学からの付き合いらしく、
部活で意気投合し、友達になったらしい。
高校選びでは彼方が行く高校に月見里さんが合わせたらしい。
大学も同じところに行こうとしてるらしいが、大学は僕には関係ないなと思った。
これが僕が確認した情報だ。
ふと、彼方が
「ふぁぁぁ~~~」
と大きなあくびをかました。
話しかけるチャンスと言わんばかりに彼方に声をかける。
「どうした?寝不足か?」
「うん。昨日あんま寝付けなかったから」
「そっか、バスの中で寝ていったら?」
すると彼方はなぜかニヤッとし、
「そうだね。寝させてもらおうかな」
と言った。
次の瞬間、彼方は僕に寄り添うように肩にもたれかかってきた。
すると、女の子特有の匂いが鼻をくすぐる。
そして、僕の理性は飛びかける。
え?ドユコト⁉︎
「じゃあ遠慮なく寝させてもらうね」
とだけ言い彼方はまぶたを閉じた。
「ちょ、まっ、え?この体勢で寝るの?」
「おやすみ~」
もう僕の質問に答える気は無いようだ。
嬉しさからなのか呆れからなのかわからない吐息を僕はそっと吐き、
「おやすみ彼方」
となるべく優しい声音で言った。
ふと、殺気を感じた。
元は通路を挟んで反対側の席からだ。
恐る恐る視線をそちらへやると月見里さんが
『親友になんかしたら殺す』
といったような鋭い目つきでこちらを睨んでいた。
彼方の親友さん怖っ!
そんな月見里さんの視線と自分の理性と戦いながら僕は彼方が起きるのをひたすら待つのだった。
今は、集合時間の3分前なので当たり前といえば当たり前だが生徒の姿は僕と彼方以外ない。
僕は上履きを履き、歩いて集合場所である体育館へ向かおうとすると、
正面から特徴的な時計をカバンにつけた女が歩いてきた。
誰だったかな…と思考を巡らせていると、その女が声を発した。
「彼方、もう3分前よ。ちょっとぐらい急いだら?」
彼方への言葉か。なら僕は関係ないな。
と思いその場を去ろうとすると、
「そこの惺くんだっけ?君も急いだ方がいいんじゃない?」
話しかけられるという予想外の展開になった。
とりあえず相手が誰かわからないので名前だけ確認する。
「彼方、その方は?」
一応敬語でその人のことを呼んでおく。
「えーと、この子は月見里翠(やまなしみどり)。私の親友」
そういえば、学校じゃいつも僕と話してるから彼方の友達っていう概念を忘れてたわ。
親友と言われ、満更でもなさそうな感じで月見里さんは彼方とやり取りをする。
「もう、この子って(笑)」
「この子じゃん。料理だって1人じゃできないくせに」
「や、やめて。それ言わないで」
「ふふふっ、やっぱ翠は可愛いよね」
「う、うるさい」
と女の子独特の会話を繰り広げ、月見里さんはふと思い出したように
「あっ、こんなことしてる場合じゃない!あと2分もないよ。急ごう」
と言い、月見里さんと彼方は同時に駆け出した。
その後ろ姿を見ながら、彼女ら親友っていうだけあって息が合ってるな~と思うのだった。
-------------ー
あれから体育館では恒例の始まりの会的なものをし、今はバスに乗って現地へ向かっている途中だ。
バスの座席は自由なので、彼方が当たり前のように隣に座っている。
そして、バスの真ん中の通路を挟んで反対側に月見里さんが座っている。
通路を挟みながらも2人は会話を繰り広げている。
彼方が楽しそうで良かったと思う自分もいれば、
彼方に話しかけられなくて寂しいと感じてしまう自分もいた。
ーこの気持ちはいったいなんなのだろうかー
唐突だが、月見里さんと彼方の会話を聞き、僕が確認した情報をまとめる。
月見里さんと彼方は中学からの付き合いらしく、
部活で意気投合し、友達になったらしい。
高校選びでは彼方が行く高校に月見里さんが合わせたらしい。
大学も同じところに行こうとしてるらしいが、大学は僕には関係ないなと思った。
これが僕が確認した情報だ。
ふと、彼方が
「ふぁぁぁ~~~」
と大きなあくびをかました。
話しかけるチャンスと言わんばかりに彼方に声をかける。
「どうした?寝不足か?」
「うん。昨日あんま寝付けなかったから」
「そっか、バスの中で寝ていったら?」
すると彼方はなぜかニヤッとし、
「そうだね。寝させてもらおうかな」
と言った。
次の瞬間、彼方は僕に寄り添うように肩にもたれかかってきた。
すると、女の子特有の匂いが鼻をくすぐる。
そして、僕の理性は飛びかける。
え?ドユコト⁉︎
「じゃあ遠慮なく寝させてもらうね」
とだけ言い彼方はまぶたを閉じた。
「ちょ、まっ、え?この体勢で寝るの?」
「おやすみ~」
もう僕の質問に答える気は無いようだ。
嬉しさからなのか呆れからなのかわからない吐息を僕はそっと吐き、
「おやすみ彼方」
となるべく優しい声音で言った。
ふと、殺気を感じた。
元は通路を挟んで反対側の席からだ。
恐る恐る視線をそちらへやると月見里さんが
『親友になんかしたら殺す』
といったような鋭い目つきでこちらを睨んでいた。
彼方の親友さん怖っ!
そんな月見里さんの視線と自分の理性と戦いながら僕は彼方が起きるのをひたすら待つのだった。
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