知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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終章 選ばれた未来

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第47話

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翌日、私は出社の前にネクサーク社に直接出向き、秋月を訪ねた。
しかし、秋月はいなかった。

「秋月さん、しばらく来てないんですよ。連絡もとれないらしくて・・・」

おそらくトラグネスのことなど、何も知らないのであろう受付の女性はそう言った。

「社内でもちょっとした騒ぎで・・・あっ・・」

女性が続けようとしたとき、後ろにいた他の社員がそれを制した。
私はそれだけを聞き、早々とネクサーク社を後にした。
「行方不明?秋月さんが?」

三木は不安の入り混じった顔で私に聞き返した。

「ええ、社内でもわかっていないみたい。」

「拉致されたか・・・、それとも口封じのため・・・・」

青ざめた顔で三木が言う。

「わからない・・・。でも、どうだろう?トラグネスがまだ彼の知識を必要としているなら、それは無いと思うけど・・・」

「考えてみれば、俺たちもよく無事でいられるよな。」

「怖い事、言わないで。でも、そうよね・・・?私達のことがまだよくわかっていないか、それとも取るに足りないと考えているのか・・・。とにかく、今は秋月の行方を探すことが先決だわ」

私の提案に三木は頷いて言った。

「彼は家族はいなかった。友人も多くは無い。それなら研究者仲間をあたってみよう。」
私達は開発中のロボットに使うAIについてのインタビューという名目で、秋月の大学時代の友人の村田という男を訪ね、彼の勤める大学の研究室へと出向いた。

「ああ、秋月ですか」

実直に研究を続けている真面目そうな人柄に、懐かしむような表情が浮かぶ。

「ええ、秋月博士の研究にも興味がありまして、ただ、私には難しすぎて・・・」

三木はそう言って頭をかく。

「ああ、無理もないですよ。私にだってちゃんとした理解はできませんからね。」

村田はそう言って話を続ける。

「彼は・・・、秋月は、いわゆる天才ですね。大学院の頃から、AIと人工生命の融合ということを研究し始めたのですが・・・」

「人工生命ですか?」

「そう、彼の研究は、AIに人間的な感情や、柔軟な意思決定、倫理観を加えるというものでした。技術的には、人間のDNAをベースにしてコンピューター内の仮想空間の中で生きる人口生命体を設計するのです。そして、そこから得られた感情や直感などの仕組みを従来のAIアルゴリズムに統合するというものです。」

「コンピューター内の人工生命って・・・そんなのが出来るんですか?」

「ええ、ゲームなどでもありますよ。」

「あ!私、やったことあります!シムアースとか・・」

「ははは、そう、それと同じです。」

「でも、それを人間のDNAを元に進化させるなんて、そんなこと、可能なんですか?」

「ううーん、どうなんでしょうねえ?ただ、言えることは、これを実現させるためには従来のAIに比べて数百倍、いやもっと大きなエネルギーを必要とします。なので机上の空論と言えなくない・・・」

「それじゃあ、それを例えば、小型化して持ち歩くなんてことは・・・」

「ははは、それは完全にSFの世界ですね」
村田から得た話を元に、私達は帰りの車の中で話し合った。

「ということは、あの金属片は何なのかしら?私はてっきりあの金属片が秋月の研究したAIなのだと思っていたのだけど・・・」

「ああ、俺もてっきりそうだと思っていた。あー、もう、完全に詰んだわ!進んだと思ったら行き止まりだ。秋月さんの行方もわからないし。
とりあえず、腹減ったわ。真崎、ちょっと、何かお前んとこで食わしてよ」

「まぁ・・・仕方ないわね。」

私が家のドアを開けると、珍しく2匹は出てこず、コタローだけが出迎えてくれた。

「あれ?茶丸とセイくんは?」

中では、茶丸とセイくんがPCの前で何やら話をしていた。

「だからー!このアプリを起動すると、こうやってお絵描きができるでしょ?これはアプリをダウンロードして使ってるよね?でも何でユーチューブはダウンロードしないで使えてるの?」

と茶丸がとぼけた顔でセイくんに聞く。彼の口元には茶色く丸い模様があるのだが、それが一層とぼけた様子に見える。

「何度も言ってるじゃないか。ユーチューブはwebアプリなの!webアプリは本体がサーバーにあってネットを介して使えるようになってるの!」

ああ、こういう会話、よく聞くわ・・・と思いながら私は彼らの会話を聞いていた。

「ふぅん?サーバーって言われてもピンと来ないよね。要するに、ユーチューブが見れるのは、どこかにあるサーバーが必死に働いてるからで、ネットが無ければ使えないってこと?」

「そうだって、言ってるじゃん!ここで見てるユーチューブは窓口の機能しかないの!本体はサーバー側にあって、そこで全部処理してるんだって!」

そこまで聞いたとき、私の頭の中でピンと繋がるものがあった。

「窓口!そうよ、窓口よ!」

私は声を上げた。

「えー、律佳ちゃんまでー」

茶丸が少ししょんぼりした様子でそう言う。

「あ、茶丸、ごめんね、違うのよ。三木!あの金属片は窓口なのよ。」

突然振られた三木は驚いて聞き返す。

「どういうことだ?」

「この金属片だけじゃ、全ての情報を処理するには容量が足りない。本体がどこかに隠されているに違いないわ!」

「ということは、つまり・・・」

「そうよ。金属片を作っている工場を破壊しても、いたちごっこに終わるけど、本体を破壊してしまえば、解決するわ!」
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