知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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終章 選ばれた未来

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第37話

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トラグネスとの戦いが終わった後、変わらず彼らはエネルギー転送を試みたが、事前に阻止することで解決し、その後、私達は大きな戦いも無く、2年が過ぎようとしていた。

そして、世の中は急速に変わりつつあった。

まず、何といっても一番の出来事は世界中から戦争が無くなったことである。ニュースは「最後の武器庫が閉鎖されました」と感動的な知らせを伝えた。人類史上、初めてといっていいであろう、この出来事に人々は歓喜した。

一方、経済は安定しているが成長は止まった。これについては、戦争が経済を発展してきた歴史を考えると頷けることでもあり、平和の代償としては安いものだと人は考えた。

 この平和はひょっとしてトラグネスが手を引いたから訪れたのかも・・・、戦争がトラグネスによって引き起こされていたのなら、それも考えられるかもしれない。私はこの仮説が本当であることを願った。

そんなある日のこと。

「律佳ちゃん、ジョンが、話がしたいんだって」

茶丸がそう言い、言った後に床にゴロンと寝そべって伸びをする。

「ジョンが?何だろう?」

私は茶丸の背中とお腹を撫ぜて、口にした。

トラグネスの脅威が減ってきた今、ジョンとの会合の回数は減っていき、ここ最近は2匹の様子を見るため、つまり彼らの健康診断のようなものだが、それくらいしかなくなった。そして、それはつい最近あったばかりなのに・・・。

「わかんないけど、三木さんも呼んで欲しいって」

私は顔を曇らせた。三木を呼ぶということは、軽い内容ではなさそうだ。
私達の平和はまだまだ遠そうだ・・・。

「わかったわ。」

私は少しため息をついて言った。 



私は三木にコーヒーを用意して、淡く青い円柱状の光の中に入っていった。
「ジョン、久しぶりだなぁ。で、今日は何なんだ?」

前置き無く要件を話し始めるジョンのスタイルが三木にも移ったようだ。三木はためらいなく、ジョンに聞いた。

「まだはっきりとはわかっていないのだが、近々、トラグネスが発電所でエネルギー転送を行うのではという情報が入っている。そして今回、それが今までよりも大規模である可能性が高い。よって、相応の準備と計画が必要になる。」

「もう少し、情報が欲しいな。場所と時間はわからないのか?」

と三木が言う。

「あいにく、こちらでは不穏な動きがあるとしかわかっていない。」

「チッ、それでは、手が付けられねぇな」

三木は腕を組み、顎を触りながら、俯き加減に考え込む。

三木だけでなく、私も何か方法がないかとじっと考えてみたが、皆目見当がつかない。

ふと、その時、コタローがポツンと口にする。

「第3旭丘火力発電所。」

「え?」

「コタロー?」

私はコタローの突然の言葉にびっくりして尋ねる。

「第3旭丘火力発電所という情報が私の中に見つかりました」

「へえ!?すごい、コタロー!」

茶丸は素直に感心し、セイくんは、

「調べてみます。」

と調査を始める。

「第3旭丘火力発電所のセキュリティカメラをハッキング・・・・従業員以外の入館者をチェック、ここ数か月で増えたのは・・・あっ!」

セイくんが突然大きな声を上げた。

「どうしたの?!」

皆、驚いてセイくんを見つめる。

「あいつだ!黒い男だ!」

「何だって!?」

セイくんの言葉に、皆の中に緊張が走る。

「待って、もうちょっと調べる。黒い男の現れた時間と入館記録から、行先は・・・企画室・セキュリティチーム。担当者は中野って人。メールサーバーに入ってこの人のメールを見てみる。うーん、あの黒い男の名前がわからないからなぁ・・・このメール内容をAIに解析させる。・・・中野って人と男が会った日付とそのアポイントをとった内容のメールから・・・これだ!あの謎の黒い男の名前は、霧島。そしてメールの内容からすると・・・霧島の会社名はインプレックス社、この発電所は最近、そこからロボットを導入して対人セキュリティを大幅に向上させたみたい。」

「まったく、セイくんときたら、猫にしておくには惜しい存在ね」

「律佳ちゃん、それは猫をバカにした発言だよ!?」

糸口が見つかって一同に安心感が芽生える。

「それと、もうひとつ、それとは別にわかったことがあるんだが」

ジョンが続ける。

「以前に見つかった3つの金属片についてだが、2種類のパターンがあるのがわかった。一見どれも同じに見えるが、最初の2つと、最後のものはごく僅かに組成が異なる。これについてもまだそれだけしかわかってはいないが、心に留めておいて欲しい。・・・・では、他に何かこちらで手伝えることがあれば、遠慮なく言ってくれ。あの男が出てくるのであれば、テレポート抑制装置のアップグレードも検討しておこう」

ジョンはそう言って、通信を切った。
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