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序章 知性を与えられた日
知性を与えられた猫たちは何を見る? 第18話
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そんなコタローをハラハラしながら見守っていると
「律佳さん!!」
と後ろから声がした。
呼ばれて振り向くと、顔を赤くしゼー、ゼー、と息を切らせた山崎がいた。
「す、すみません・・・無理言って・・・。ど、どうですか?・・・・」
「ごめんね、まだ何も進展は無いの」
そこに、山崎の後ろを追いかけてきた若い女性もやってきて、同じく息を切らす。
「あ、えーと、こちらの女性は、トラオ、あ、トラオって猫の名前なんですけど、トラオの里親のまどかさんです。」
山崎は少し顔を赤らめて紹介した。
「はじめまして。すみません、こんなことお願いして・・・。山崎さんが頼れる方がいらっしゃるって言うので・・・」
「大丈夫よ。で、状況を詳しく教えてほしいんだけど」
「はい・・・・・」
まどかさんと呼ばれた女性は息を整えて話し始めた。
「昨日、トラオを連れて動物病院に行ったんです。その帰り道、ケージの蓋が開いてしまって、そのまま飛び出して…・・・」
「場所はどのあたりなのかしら?」
「これです。」
彼女はスマホを取り出してマップ見せた。私もスマホでマップを確認する。
「ここね。きっとそんなに遠くに行ってないんじゃないかと思うの。なので、まず半径100メートルくらいに絞って探しましょう。今、私たちが探しているのがここ3丁目、このあたりだから山崎君達は1丁目あたりを探してくれる?」
「ハイッ!」
そう言って一人で勢いよく駆け出した山崎を私は慌てて呼び止めた。
「山崎君、そっちじゃなくて・・・・」
「あ、あ、そうですね。」
そう言ってこちらを見ながら私が指さした方向に走り始める。すると前を見てなかったものだから、向かい側から来た自転車にぶつかりそうになる。その後ろをまどかさんは追いかけていった。
「なんか、心配しなきゃいけない要因が増えたなあ・・・」
セイくんがボソッと呟いた。
その後もコタローは聞き込み調査を続けていた。
私達は商店街のカフェのテラス席で遠くからコタローを見守っていた。
「頑張ってるね」
と私が言うと、茶丸が
「セイくん、こっそり助けてあげようよ」
と言う。
セイくんは「え?ボクが?」といった顔をしたが、
「まあ、この調子だと終わりそうもないしね・・・」
と言ってしぶしぶ了承。そして私の肩にちょんと前足を置いて
「律佳ちゃん、タブレット貸してー」
と言ってくる。
「悪用するんじゃないわよ。」
私は少し警戒しつつもタブレットを手渡した。
「僕を信じて!」
セイくんは自信たっぷりにタブレットを操作し始めた。
小さな肉球が画面を器用にタップし、文字が次々と入力されていく。画面には近所の防犯カメラのログインページが表示された。
「ちょっと、これって違法じゃないの?」
私が声を潜めて言うと、セイくんは無邪気な顔で答えた。
「僕はただ、既存のセキュリティの弱点をついて、善意の目的で活用してるだけだよー。」
「それを世間ではハッキングって言うのよ。」
「ハッキングというのは『技術的な知識を駆使して目標を達成すること』って意味だから!ほら、もうちょっとで入れる!」
画面に数字と英字の羅列が次々と表示され、セイくんの耳が微妙に動きながら集中しているのが分かる。
「解析中…あと3秒…2秒…よし、ログイン成功!」
画面には近所の防犯カメラの映像が並んで表示された。セイくんは鼻をぴくりと動かしながら映像を一つずつ確認していく。
「こっちの角度は死角になってるな…でも、このカメラが子猫の動きを捕捉してるはず。」
数分間の操作の後、セイくんが映像を一時停止した。「見て!これ!」
私が画面を覗き込むと、映像には小さな影がゴミ箱の間をすり抜ける様子が映し出されていた。
「これ、間違いなく子猫だわ!」
私が思わず声を上げると、セイくんは胸を張った。
「ほらね。僕のITスキルが役立つって言ったでしょ?」
「本当に役立ったけど…やり方がねえ。」
私がため息をつくと、茶丸が横から割り込んできた。
「まあまあ、律佳ちゃん。固いこと言わないで。で、次はどこに行くの?」
セイくんはタブレットの画面を指しながら、
「この映像だと、子猫はゴミ箱の後ろから公園の方向に向かってるみたいだね。あと少しで捕まえられるはず!」
と意気込んだ。
私は苦笑しながら、「全く、頼もしいけど油断ならないわね…」と呟き、コタローに指示を送る準備を始めた。
「律佳さん!!」
と後ろから声がした。
呼ばれて振り向くと、顔を赤くしゼー、ゼー、と息を切らせた山崎がいた。
「す、すみません・・・無理言って・・・。ど、どうですか?・・・・」
「ごめんね、まだ何も進展は無いの」
そこに、山崎の後ろを追いかけてきた若い女性もやってきて、同じく息を切らす。
「あ、えーと、こちらの女性は、トラオ、あ、トラオって猫の名前なんですけど、トラオの里親のまどかさんです。」
山崎は少し顔を赤らめて紹介した。
「はじめまして。すみません、こんなことお願いして・・・。山崎さんが頼れる方がいらっしゃるって言うので・・・」
「大丈夫よ。で、状況を詳しく教えてほしいんだけど」
「はい・・・・・」
まどかさんと呼ばれた女性は息を整えて話し始めた。
「昨日、トラオを連れて動物病院に行ったんです。その帰り道、ケージの蓋が開いてしまって、そのまま飛び出して…・・・」
「場所はどのあたりなのかしら?」
「これです。」
彼女はスマホを取り出してマップ見せた。私もスマホでマップを確認する。
「ここね。きっとそんなに遠くに行ってないんじゃないかと思うの。なので、まず半径100メートルくらいに絞って探しましょう。今、私たちが探しているのがここ3丁目、このあたりだから山崎君達は1丁目あたりを探してくれる?」
「ハイッ!」
そう言って一人で勢いよく駆け出した山崎を私は慌てて呼び止めた。
「山崎君、そっちじゃなくて・・・・」
「あ、あ、そうですね。」
そう言ってこちらを見ながら私が指さした方向に走り始める。すると前を見てなかったものだから、向かい側から来た自転車にぶつかりそうになる。その後ろをまどかさんは追いかけていった。
「なんか、心配しなきゃいけない要因が増えたなあ・・・」
セイくんがボソッと呟いた。
その後もコタローは聞き込み調査を続けていた。
私達は商店街のカフェのテラス席で遠くからコタローを見守っていた。
「頑張ってるね」
と私が言うと、茶丸が
「セイくん、こっそり助けてあげようよ」
と言う。
セイくんは「え?ボクが?」といった顔をしたが、
「まあ、この調子だと終わりそうもないしね・・・」
と言ってしぶしぶ了承。そして私の肩にちょんと前足を置いて
「律佳ちゃん、タブレット貸してー」
と言ってくる。
「悪用するんじゃないわよ。」
私は少し警戒しつつもタブレットを手渡した。
「僕を信じて!」
セイくんは自信たっぷりにタブレットを操作し始めた。
小さな肉球が画面を器用にタップし、文字が次々と入力されていく。画面には近所の防犯カメラのログインページが表示された。
「ちょっと、これって違法じゃないの?」
私が声を潜めて言うと、セイくんは無邪気な顔で答えた。
「僕はただ、既存のセキュリティの弱点をついて、善意の目的で活用してるだけだよー。」
「それを世間ではハッキングって言うのよ。」
「ハッキングというのは『技術的な知識を駆使して目標を達成すること』って意味だから!ほら、もうちょっとで入れる!」
画面に数字と英字の羅列が次々と表示され、セイくんの耳が微妙に動きながら集中しているのが分かる。
「解析中…あと3秒…2秒…よし、ログイン成功!」
画面には近所の防犯カメラの映像が並んで表示された。セイくんは鼻をぴくりと動かしながら映像を一つずつ確認していく。
「こっちの角度は死角になってるな…でも、このカメラが子猫の動きを捕捉してるはず。」
数分間の操作の後、セイくんが映像を一時停止した。「見て!これ!」
私が画面を覗き込むと、映像には小さな影がゴミ箱の間をすり抜ける様子が映し出されていた。
「これ、間違いなく子猫だわ!」
私が思わず声を上げると、セイくんは胸を張った。
「ほらね。僕のITスキルが役立つって言ったでしょ?」
「本当に役立ったけど…やり方がねえ。」
私がため息をつくと、茶丸が横から割り込んできた。
「まあまあ、律佳ちゃん。固いこと言わないで。で、次はどこに行くの?」
セイくんはタブレットの画面を指しながら、
「この映像だと、子猫はゴミ箱の後ろから公園の方向に向かってるみたいだね。あと少しで捕まえられるはず!」
と意気込んだ。
私は苦笑しながら、「全く、頼もしいけど油断ならないわね…」と呟き、コタローに指示を送る準備を始めた。
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